松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆第三世代の自治基本条例の可能性(三浦半島)

2018-04-01 | 1.研究活動

 逗子市の検討会を経て、自治基本条例(第三世代)の可能性が見えてきたような気がする。忘れないうちに、書いておこう。

 自治基本条例の第一世代は、2000年のニセコ町のまちづくり基本条例である。この条例は、もともと行政基本条例的な内容で出発し、のちに議会の項目も加わって、自治基本条例となった。ニセコ町のまちづくり基本条例が話題になったときのことはよく覚えている。率直に言って、この条例に書いてあるようなことはすでに横浜市でやっていて、「え、当たり前のことではないか」と不思議だったことを覚えている。ただ、それを条例に記述した点は、「そうか、条例にはそうした使い方があるのか」と、これは目からうろこだった。ニセコ町の条例は、信託論に基づく条例である。

 その後、市民と自治基本条例を作っていく中で、ニセコ町の条例は、市民の関心とずれていることに気が付いていった。市民から見れば、役所内部のことは、役所できちんとやってくれればよくて、この条例でやってほしいのは、自分たちが存分に活躍するための後押しの仕組みを用意してほしいというものだった。小田原市の条例づくりでは、これをいやというほど、感じた。その理論は、新しい公共論で、これに基づく第二世代の条例である。政府の民主的統制とともに、市民が、存分に活躍できる規定を併せ持った条例である。

 そして、第三世代の条例が、新城市で改正されようとしている条例、あるいは今回の逗子市の自治基本条例の検討のなかで、明確になってきた条例である。信託論、新しい公共論の次の「公共の内実化論」とでもいうべき内容である。

 公共の内実論は、2つの内容から構成されていて、一つは、信託論の内実化といった内容で、これまでの信託論は、信託された行政や議会ばかりに目が行っていたが、もちろんそれもあるが、同時に信託する市民が、ちゃんと信託しているか、要するに、キチンと信託できるような制度や仕組みに踏み込んだ内容である。もう一つは、民も公共を担うが、その中にも、存分に力を発揮していない民(若者、定住外国人、企業など)がいるので、彼らが存分に力を発揮できるように後押しする内容である。これらによって、公共の内実化を図っていこうというのが次の世代の自治基本条例になると思う。ちなみに、ここでの公共とは、ナショナル・ミニマム、シビル・ミニマムとは違う、ローカルスタンダードというべきものである。

 時間を取って整理すれば、もう少し、明確になるだろう。

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