松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆子ども・若者総合支援条例⑤子どもの権利・若者の権利を比較する(中間メモ)

2020-12-04 | 子ども・若者総合支援条例
 子どもの権利・若者の権利を比較してみた。

 子どもの権利条約では、飢餓や戦争に見舞われるなか、子どもの権利として、次の4つを示している。
1.生きる権利・・・すべての子どもの命が守られること
2.育つ権利・・・もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療や教育、生活への支援などを受け、友達と遊んだりすること
3.守られる権利・・・暴力や搾取、有害な労働などから守られること
4.参加する権利・・・自由に意見を表したり、団体を作ったりできること

 子どもの権利条例では、基本的には、子どもの権利条約と基本的には同じであるが、これを日本的事情、地方自治の観点から変えている。
 知多市子どもの権利条例も
1.安心して暮らす権利
(1) あらゆる暴力、危害及び差別から守られること。
(2) 平和で良好な生活環境で、健康に暮らせること。
(3) 自分を守るために必要な情報が得られ、安心して相談できること。

2.自分らしく生きる権利
(1) ありのままの自分が認められ、自信が持てること。
(2) 自由に過ごせる時間が得られること。
(3) 自分のプライバシーが守られること。

3.自分らしく育つ権利
(1) 遊びなど自分の楽しみが大切にされ、やりたいことにチャレンジできること。
(2) 必要な教育が受けられ、自ら学びたいことを学ぶ機会が得られること。
(3) 文化、芸術、スポーツ、社会体験など豊かな自己を育む経験ができること。

4.参加する権利
(1) 自分の気持ちや意見が聴かれ、尊重されること。
(2) 必要な情報が得られ、意思決定に参加すること。
(3) 仲間をつくり、集い、対話し、自治的な活動を通じ、その力を養うこと。

5.(地域社会で共に生きる権利)
(1) 地域の人とのつながり、支え合いが大切にされ、思いやりと笑顔に包まれて暮らせること。
(2) 性別、年齢、国籍、文化、障がいの有無などにかかわらず、共に生き、互いに認め合うことができること。
(3) 社会の一員として必要とされ、まちづくりに貢献できること。

 これをスウェーデンの若者政策の4つの原則と比較してみよう。
1.若者は資源という視点である。若者には、若者の持つ知識や経験、行動力があり、それは資源であるという発想である。
2.権利という視点である。若者には、良質な生活条件を享受する権利(自分自身の生活、自分の住む地域の環境、社会全般の発展に関与し、影響を与える権利)があるというものである。
3.自立という視点である。公的な取り組みは、若者が自立するための機会を支援しなければならないというものである。
4.多様性という視点である。若いというだけの理由で、すべての若者が同じというわけではないからである。

(まとめ) 
1.比較して気がついたが、子どもの権利に、もう少し、まちや社会に対する主体性、積極性を付加すれば、ほぼカバーできるだろう。
*良質な生活条件を享受する権利(自分自身の生活、自分の住む地域の環境、社会全般の発展に関与し、影響を与える権利)

2.子どもの権利条約・条例では、子ども・若者の価値・資源という観点が弱いと思う。子どもの権利条約・条例は、守りに入って消極的な感じがする。時代にやや遅れているように感じる。

3.子どもの権利条約・条例における権利は、自由権的な権利に比重がかかっているように思う。それ故、公的支援が弱くなる。社会権的な要素も取り入れて、子ども・若者の権利を構築すると、公的な支援が体系的に射程に入ってくるように思う。
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