松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆子ども若者育成支援推進法(子若法)の一部改正案(2)・基本理念

2021-11-26 | 子ども・若者総合支援条例
(基本理念)
第二条 子ども・若者育成支援は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
 一 一人一人の子ども・若者が、健やかに成長し、社会とのかかわりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに次代の社会を担うことができるようになることを目指すこと。
 二 子ども・若者について、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な差別的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつ つ、その最善の利益を考慮すること。
 三 子ども・若者が成長する過程においては、様々な社会的要因が影響を及ぼすものであるとともに、とりわけ良好な家庭的環境で生活することが重要であることを旨とすること。
 四 子ども・若者育成支援において、家庭、学校、職域、地域その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力しながら一体的に取り組むこと。
 五 子ども・若者の発達段階、生活環境、特性その他の状況に応じてその健やかな成長が図られるよう、良好な社会環境(教育、医療及び雇用に係る環境を含む。以下同じ。)の整備その他必要な配慮を行うこと。
 六 教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における知見を総合して行うこと。
 七 修学及び就業のいずれもしていない子ども・若者その他の子ども・若者であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対しては、その困難の内容及び程度に応じ、当該子ども・若者の意思を十分に尊重しつつ、必要な支援を行うこと。
 
(基本理念)
第二条 青少年の健全な育成については、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野における全ての構成員がそれぞれの役割及び責任を担いつつ、相互に協力しながら一体的に取り組まなければならない。
2 青少年の健全な育成については、次代を担う青少年が、心身ともに健やかに成長し、社会との関わりを自覚しつつ、次代の社会の担い手としてふさわしい自立した個人としての自己を確立できることを旨としてなされなければならない。
3 青少年の健全な育成については、青少年の発達段階に応じて必要な配慮がなされなければならず、特に、十八歳未満の青少年に対しては、良好な社会環境の整備が図られるよう配慮されなければならない。
4 青少年の健全な育成に関する施策を講ずるに当たっては、家庭及び学校が青少年の健全な育成において果たすべき役割の重要性に鑑み、家庭及び学校が青少年を健全に育成する機能を十分に発揮することができるよう配慮しなければならない。

条文を対比しておこう。

 一 → 2に
(現行)一人一人の子ども・若者が、健やかに成長し、社会とのかかわりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに次代の社会を担うことができるようになることを目指すこと。
(改正)青少年の健全な育成については、次代を担う青少年が、心身ともに健やかに成長し、社会との関わりを自覚しつつ、次代の社会の担い手としてふさわしい自立した個人としての自己を確立できることを旨としてなされなければならない。

*似ているが、まずスタートが違う点に注意すべき。現行は、子ども・若者育成支援にあたっての基本理念。改正案は、青少年の健全な育成に当たっての基本理念。子ども・若者を社会を構成する重要な主体としてとらえるのではなく、育成の対象としてとらえている。

 二 → 削除
(現行)子ども・若者について、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な差別的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつ つ、その最善の利益を考慮すること。

 *個人の尊厳や意見の尊重になると、途端に、拒否反応が出るようだ。すでに述べたように、ここがきちんと理解できていることが大事。
 
 三 → 4に。ただし、家庭に重点が移っている。
(現行)子ども・若者が成長する過程においては、様々な社会的要因が影響を及ぼすものであるとともに、とりわけ良好な家庭的環境で生活することが重要であることを旨とすること。
(改正)青少年の健全な育成に関する施策を講ずるに当たっては、家庭及び学校が青少年の健全な育成において果たすべき役割の重要性に鑑み、家庭及び学校が青少年を健全に育成する機能を十分に発揮することができるよう配慮しなければならない。

 *改正案は、家庭、学校がポイントと考えるが、現行は、さまざまな要因が影響を与えるが、そのうちでは家庭環境が重要であるとしている。

 四 → 1に
(現行)子ども・若者育成支援において、家庭、学校、職域、地域その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力しながら一体的に取り組むこと。
(改正)青少年の健全な育成については、家庭、学校、職場、地域その他の社会のあらゆる分野における全ての構成員がそれぞれの役割及び責任を担いつつ、相互に協力しながら一体的に取り組まなければならない。

*改正案は、相互協力を第一位に挙げている。順番の原則は、「重要なものから軽微なものへ」

 五 → 3に
(現行)子ども・若者の発達段階、生活環境、特性その他の状況に応じてその健やかな成長が図られるよう、良好な社会環境(教育、医療及び雇用に係る環境を含む。以下同じ。)の整備その他必要な配慮を行うこと。
(改正)青少年の健全な育成については、青少年の発達段階に応じて必要な配慮がなされなければならず、特に、十八歳未満の青少年に対しては、良好な社会環境の整備が図られるよう配慮されなければならない。

 六 → 削除
(現行)教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用その他の各関連分野における知見を総合して行うこと。

 七 → 削除
(現行)修学及び就業のいずれもしていない子ども・若者その他の子ども・若者であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対しては、その困難の内容及び程度に応じ、当該子ども・若者の意思を十分に尊重しつつ、必要な支援を行うこと。

 子ども・若者の育成支援か、青少年の健全育成かで、政策を進める考え方や原則が違ってくる。
 ・困難を抱える子ども・若者は、射程に入ってこない。だから、六や七の規定は削除される。
 ・個人の尊重は、どちらのケースでも、基本コンセプトになる(個人の尊重から青少年の健全育成を組み立てる)。意図的に除外排除しているのだろう。
 ・家庭や学校も重要なのは同じであるが、
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