「はあはあはあ……」
球のような汗が全身からあふれ出てた。体から力が抜けていつもは脚しか浸かってないこの容器に自ら肩までつかる。脚までしか普段はつかってないからそこまで深さがないのかと思うかもだけど、全身入るくらいはできるのだ。脚だけの時は別に温度なんて気にもしてなかったが、今ならこの容器の液体がひんやりと体を冷やしてくれる。
きっと自身の体がほてってるんだろうって私は思った。なにせ頭をめっちゃ使った。それだけなんだけど、頭を酷使しすぎて体までそれは伝染してるみたい。
塔の側面にできた入り口。開いた扉。それに入る。その瞬間、上下の平衡感覚がなくなる。下に落ちてるようにも、上に登ってるようにも感じる。全身がグルグル回ってるようにだって……
「ついたね」
そこに特別な事はなかった。いつの間にか、突如といっていいだろう。寧ろ最初から私達はここにいたんじゃないか? と思えるような……そんな感覚さえある。G-01は両足でそこにしっかりとたってる。そして……そんなG-01の前にそれがある。
「むーむー!」
なんか内側からガンガンガン! ――という音が雰囲気をぶち壊す。どうやら収納したアイが暴れてるみたい。しょうがないから私は胸のあたりの装甲を開封して出してあげる。
そしてすぐに目の前にそれ……に気づいたアイはこういった。
「これが……これがユグドラシルシステム」
そう……きっとそうなんだろうなって思ってたけど、これがユグドラシルシステム。いや、G-01にもあるんだけどね。けど実物を見たことはない。ただなんかあるってわかるだけ。見守ってるなってわかるだけ。私やG-01を支えてる全ての根幹。だからこそ、これから莫大なエネルギーを感じる。
ユグドラシルシステムはまるでDNAみたいな形をしてた。でっかいDNAだ。その中になにかが走ってる。
そしてどこまでも続いてる。上を見ても、下をみても、延々と続いてるようにみえた。
ドクン……
私の胸の鼓動が強く打ち付けてくる。そしてそれに合わせるように……目の前のユグドラシルシステムも――ドクン――と鼓動を打った気がした。
ドクン、ドクン――その鼓動は私と目の前のユグドラシルシステムでずれてる感じがした。私の鼓動が早くて、それを目の前のユグドラシルシステムが追ってくる感じだ。
けどそれも……鼓動が続くたびに近くなっていく。そしてついには……『ドクン』――と重なった。
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