勇者が飛び出したか……ということは、流石にこっちの人達では手に余りそうなやつが出てきたということたろう。だって基本は私達はお手伝いに徹しようとおもってるからね。でも彼我の勢力差ってのはどうしてもあるのだ。だってなにせ、教会はずっとこの世界を支配してて、このときまでずっと準備をしてきたのだ。そして技術とか色んなものを溜め込んでる。
それにたいして、こっちはそもそもがずっとその日暮らしみたいなもので、行き当たりばったり感が強い。本当なら、きっと戦いにすらならなかった筈。まあそもそも、私達が居なければ、こんな状況にさえならなかっただろう。私達がこの世界に居なかったら、抵抗も出来ずに地上の民はあの空の扉をあけるための養分になっただろう。
楽園……そこに行くために教会は活動してる。そして楽園に行けるのなら、地獄のようなこの世界なんて心底どうでもいい……それが教会の上層部の考えだ。だがら命を残す……なんて考えなんてない。最後の最後には一匹の生き残りも許さないように、教会は波によって世界全てに砂獣を満たす……そんなつもり――それを私達はミレナパウスさんから聞いた。
私だけじゃなく、そこには各街の代表者だっていた。憤慨してたよ。
「なんだと!?」
「あいつらめ!!」
「我らから全てを奪っていくというのか!! これ以上……」
そんな声が聞こえてた。そして何を思ったのかミレナパウスさんに暴力を振るおうとした人もいた。それは勇者が防いでたけどね。なにせそれはお門違いだから勇者としては許せる事ではなかったんだろう。そんな勇者が目指すのは空だった。流石に既存の戦力はなるべく現地の人達に任せたい。なにせこの世界を本当の意味で守るのは彼らでないと行けないからだ。
でも教会側には魔法がある。超常に干渉できる人の手段。それがあるとないとではぜんぜん違う。今、奴らは空からとんでもない化け物を呼び出そうとしてた。この戦場の死体……そしてこれまでの業を生け贄に、更には中央で作ってた砂獣たちも使ってるんだろう。それによって空には大きな雲の渦が出来てた。そこから伸びで来るのは人の腕が連なってるような……そんな物。明らかにやばい……そんなふうにきっと勇者は感じたんだろう。だから被害は出てないけど、勇者は飛び出した。そして勇者は聖剣を抜く。暗くなってた世界に聖剣の光が差し込む。そしてその光が空に出来た渦へと差し込まれた。
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