還り見れば酔生夢死か?

80歳代の聾人でネットの話題を書いています。足が悪いので家で得ることが出来るネット情報と私自身の唯我独尊の偏向文です。

俺達は刷毛(ハケ)をくわえる?

2006-09-22 06:14:05 | 建築
私が勤めていた頃、同僚から

「○○職業訓練所で建築学の担当をお願いしたいのだが?」と依頼があり、私でよければと引き受けた。

週 1回 2時間 の授業で生徒は12~15人くらい。全員 塗装が専攻の方だ。学習は1年間で卒業になる。生徒の皆さんは中学出身の地方の方で将来は田舎に帰り塗装業を生業とする希望の持ち主である。

あれは、もう 卒業が近い教室での質問であった。

「先生 職人って何ですか?」唐突な質問に少々驚いたが

「何故、そのような事が気になるの?」と逆に聞き返したところ

「現場で仕事をしていると時々自分が悲しくなる、職人って何なのだろうと思うことが多い」多分 他の業種の方から若いためにイロイロと嫌な言葉を投げかけられたのではないかと想像した。

「職人は手先で物を造る素晴らしい人たちだ」

「例えば大工、左官、そしてあなた方の塗装 などだ」

「皆さん姫路城を知っていますか?」

「あの姫路城を8年がかりで心血を注ぎ造った棟梁は桜井源兵衛と言う方です」彼は完成したお城に奥さんを連れて行って見せた、皆さんも、ご存知のようにお城の道は複雑な九十九折の道でやっと天守閣のふもとに着いた時、奥さんが

「お城は立派ですが、惜しいことに少し傾いていますね」と指摘され、棟梁は女の目に判るほど、とすれば自分の寸法が狂っていたに違いないと8分の鑿(ノミ)を我が口にくわえて天守閣から飛び降りて自殺しました」

「自分の仕事に誇りを持っていたのです!」

「これが職人気質ではないでしょうか?」

「判りますか?」生徒のひとりが

「先生 私たちが(色を)間違えたときは刷毛をくわえて飛び降りるのですね」全くしょうのない生徒に、みんなが爆笑した次第です。

この職業訓練所にはその後5年間も通うことになった。少し話が逸れましたが、これだけはと

「実はお城が傾いていたのは事実ですが原因は石積み地盤の沈下でした。棟梁の過ちは無かったのです」

早まったことはしてはいけません。原因の追究が先です。

何故?どうして?の疑問の解決が大事です。

建物の色一つでも、その日の天候、太陽の高さ、塗装の部位や光の方向 等で色の変化があります。

そこはプロとしての判断を大事に・・・
もう直ぐ卒業です、みなさん自分の仕事に誇りを持って下さい。終わり!

姫路城の続きを少し

俗謡に「東に傾く姫路の城 花のお江戸が恋しいか?」  

私の知るところでは、お城は東南に約30cm傾いているとか?真実の数値は知りませんが、そのように言われています。

姫路城に行かれましたらその麓からよく天守閣を見て下さいね








最新の画像もっと見る

コメントを投稿