4月25日の夕刻、雨の降る天の川通りに、200人を超える傘をさした学生が並ぶ動画がツイッターにアップされました。55秒の映像には、約1万9000件の閲覧数が。なぜ、帰りのスクールバス待ちの列が異常に伸びたのか。バス会社は「通常の運行だった」と証言。学生からは「こんなに長い列は初めて見た」という声があがっています。列がここまで伸びた原因を取材しました。<宮原裕>
(2023年4月25日18時34分に投稿されたツイッターの動画。撮影:torikengoesonさん)
▽キッチンカー横まで伸びる長蛇の列 雨の中200人超える学生
4月25日18時20分ごろ、雨が降る中、大阪芸大の真ん中の天の川通りに傘をさした学生たちの長蛇の列ができていました。
ツイッターにアップされた映像には、帰りのスクールバス(芸バス)に乗ろうとする人たちが、20号館ピロティーのキッチンカー横まで約270mにわたって、数えられるだけでも200人以上が雨の中で並んでいる状況が写っています。
ツイッターには、「やばかった」、「マジなのか…」、「ポケカ販売の列がここまできたのか」など、あまりの列の長さに驚く反応が。55秒の映像には、約1万9000件閲覧数と、4700件近くの再生数が記録されています(4月29日22時30分現在)。
4年生の記者も、ドレミの広場まで伸びた列は見たことがありましたが、ここまで長い列は見たことがありませんでした。
▽ツイッターの映像 5000件近くの再生数
撮影したtorikengoesonさん(放送学科3年)は、「まず最初に思ったのはなんだこりゃっていう素直な驚きと、どうしてこんなことになってるんだという疑問ですね」と、取材に答えてくれました。
たまたま通りかかった2年生男子は、「何の行列なんだと一瞬戸惑う思いと、梅田バスで帰宅できる自分はラッキーだという思いでした」と振り返ります。
▽バス会社は「通常の運行」「傘で列が伸びたのでは」
バスの運行に事故などがあったのか?MK観光バスの営業所に取材すると、「この日のバスは18時台に19台を運行しています。通常通りです。道路状況も特に普段と違うところはありませんでした」と、特段異常はなかったといいます。
考えられる可能性として、「火曜日(の夕刻)は人が多いのではないか」、「傘の影響で列が長くなったり、乗車に手間取ったりしたこともあるかもしれない」とも話します。
「列が長くても、そこまで並んでいた時間は長くなかったと思うんですけどね」と答えてくれました。
▽雨天と帰宅新入生の多さ 原因が重なる?
学園祭実行委員会の役員をしているというtorikengoesonさんは、動画に収めた映像をこう分析します。
第一に雨天だったことをあげます。「自転車で喜志駅周辺に帰宅する人たちもバスに流入。いつもは近隣のスーパーなどで買い物しながら徒歩で帰る人もバスに流れるでしょう」。
もうひとつ、新年度が始まって間もない時期からということも指摘。「サークル活動の所属が決まっていない新入生は、授業後そのまま帰宅する人がほとんどなので、この時期はバスが例年混みやすい傾向がある」と解説。
雨とこの時期ならではの学生の動向が重なって、思わぬ行列ができたのではと考えています。
▽11号館前ロータリーの構造も要因か
朝の混雑とは別の事情も帰宅時のバスには存在します。
本来なら学生が分散するはずの夕刻ですが、喜志駅前のバス停ではバスが7台ほど同時に待機することが可能なのに比べて、11号館前のロータリーには5台ほどしか待機できません。しかも撮影された 時間帯には、18時45分発の梅田行きバスも待機していたとすれば2、3台の待機が限度。
しかも、坂の上り下りは交互通行するルールになっているため、バスの入れ替えが喜志駅の乗り場ほどスムーズにいかないわけです。
▽混雑予想はできないの?
撮影者のtorikengoesonさんは、「大学側はこの事実を認識して、手立てを打つ必要があるのでは」と取材に答えてくれました。
混みやすい曜日や、天候、時間帯を把握したうえで、「大学はそれをわかりやすく告知してほしい」という声も学生のあいだから出ています。
「テーマパークでは混雑予想もでているし」とtorikengoesonさん。「昔、芸バス乗り場として使用されていた坂下の停留所も利用して、(坂上のロータリーと)坂下の停留所を並行して運用するなど工夫できないでしょうか」と、バス乗り場の構造上の問題についても改善の余地があるのではないかと指摘しています。
(画像:動画の行列の様子)
了