携帯電話をかけている。
まだ朝の7時なのだが、すでに亮ちゃんに持たせる花束は玄関に出してある。
「にいやんかえ。用事があるがやけんど、今日中に来てくれんろうかなあ。」
「いまから?。」「いや今日中でえいがやけんど。」
「え~と、午前中は約束があるき、昼からにしてくれる?」
「わかった。待ちゆうき。」
にいやんに仕事として、やって欲しい事柄を一覧表にして書き出した紙面を読み返している。今朝起きてからパソコンに向かって書いたのだ。
待遇の話など何にも決めていないのだが、まあおいおい相談して決めようかと思っている。
「ありがとう。爺やん。」亮ちゃんだ。花束を抱えて車に乗っている後姿が目に入った。「気をつけていけよ。」聞こえてもいないであろうが、つい声が出た。
日曜日ごとに市場に店を出しているのだが、今度の市に出す商品で数が足りない物をそろえる準備を頼むつもりなのだ。茶の木の苗を商品として100本ほど出す予定。広報にはそのように出してあるのだが、半分程度しか準備が出来ていないのだ。
もうそろそろ昼食の準備をと思っていたぐらいの時だった。
車の止まる音がして、誰かが来たようだ。
「こんにちは。このあたりに山崎さんと言うお家はありませんか?」
普段は訪ねてくる人とていない場所だけに、びっくりして怪訝な顔をした爺やんは「なんぜよ?」20歳ぐらいだろうか。幼児を連れている女性なのだ。
「アルけんど、いまはだれっチャアおらんろう。」
「いつごろ、お帰りでしょう。」
「さあ。」と爺やんは言ったものの、誰やろう。?。思いをめぐらせていた。
「あのう、ここで待たせていただくわけにはいけないでしょうか?」
「えいよ。ほかは人もおらんことやし。」
「あのう。お手洗いを貸して頂けないでしょうか?」
「そこ。赤ちゃんは連れてきいや。」「重たいねえ。」
爺やんは本当に久しぶりに幼児を抱いて、なにやらいい気分だった。
泣きもせず、きょろきょろと辺りを見回せている幼子に「えいこやなあ。」
つい言葉に出てしまった。
「すみません。」「重かったでしょう。」「お世話になります。」
「昼飯は食べたかよ?」「いや、お構いなく。」
冷蔵庫を開けながら、「なんかあるろう。」「一人しかおらんき、きにしなや。」
「なんか、酒のツマミしかないにゃあ。」「なんでもえいろ。」
タナゴを焼いて、トウフがあるき冷奴にしたら、なんとかなるろう。
「店やないき、こんなもんで食べたら。」
朝に炊いた飯とインスタントの味噌汁を出した。
爺やンが、赤ちゃんをあやしていると、「洗わせてください。」頭を下げるなり、流しに食器を運んでいった。
「誰やろう。」「何しにきたがやろう。」爺やんは聞きたいところだったが、ぜんぜんそんなそぶりを見せず、「あと、2~3時間は帰ってこんき、ここにおったらえい。」
テレビをつけてやって、「水槽の水換えをやりゆうき、なにかあったら、声をかけたらえいきね。」そそくさと水槽に向かっていった。
車の音が聞こえてきた。
にいやんが帰ってきた。
まだ朝の7時なのだが、すでに亮ちゃんに持たせる花束は玄関に出してある。
「にいやんかえ。用事があるがやけんど、今日中に来てくれんろうかなあ。」
「いまから?。」「いや今日中でえいがやけんど。」
「え~と、午前中は約束があるき、昼からにしてくれる?」
「わかった。待ちゆうき。」
にいやんに仕事として、やって欲しい事柄を一覧表にして書き出した紙面を読み返している。今朝起きてからパソコンに向かって書いたのだ。
待遇の話など何にも決めていないのだが、まあおいおい相談して決めようかと思っている。
「ありがとう。爺やん。」亮ちゃんだ。花束を抱えて車に乗っている後姿が目に入った。「気をつけていけよ。」聞こえてもいないであろうが、つい声が出た。
日曜日ごとに市場に店を出しているのだが、今度の市に出す商品で数が足りない物をそろえる準備を頼むつもりなのだ。茶の木の苗を商品として100本ほど出す予定。広報にはそのように出してあるのだが、半分程度しか準備が出来ていないのだ。
もうそろそろ昼食の準備をと思っていたぐらいの時だった。
車の止まる音がして、誰かが来たようだ。
「こんにちは。このあたりに山崎さんと言うお家はありませんか?」
普段は訪ねてくる人とていない場所だけに、びっくりして怪訝な顔をした爺やんは「なんぜよ?」20歳ぐらいだろうか。幼児を連れている女性なのだ。
「アルけんど、いまはだれっチャアおらんろう。」
「いつごろ、お帰りでしょう。」
「さあ。」と爺やんは言ったものの、誰やろう。?。思いをめぐらせていた。
「あのう、ここで待たせていただくわけにはいけないでしょうか?」
「えいよ。ほかは人もおらんことやし。」
「あのう。お手洗いを貸して頂けないでしょうか?」
「そこ。赤ちゃんは連れてきいや。」「重たいねえ。」
爺やんは本当に久しぶりに幼児を抱いて、なにやらいい気分だった。
泣きもせず、きょろきょろと辺りを見回せている幼子に「えいこやなあ。」
つい言葉に出てしまった。
「すみません。」「重かったでしょう。」「お世話になります。」
「昼飯は食べたかよ?」「いや、お構いなく。」
冷蔵庫を開けながら、「なんかあるろう。」「一人しかおらんき、きにしなや。」
「なんか、酒のツマミしかないにゃあ。」「なんでもえいろ。」
タナゴを焼いて、トウフがあるき冷奴にしたら、なんとかなるろう。
「店やないき、こんなもんで食べたら。」
朝に炊いた飯とインスタントの味噌汁を出した。
爺やンが、赤ちゃんをあやしていると、「洗わせてください。」頭を下げるなり、流しに食器を運んでいった。
「誰やろう。」「何しにきたがやろう。」爺やんは聞きたいところだったが、ぜんぜんそんなそぶりを見せず、「あと、2~3時間は帰ってこんき、ここにおったらえい。」
テレビをつけてやって、「水槽の水換えをやりゆうき、なにかあったら、声をかけたらえいきね。」そそくさと水槽に向かっていった。
車の音が聞こえてきた。
にいやんが帰ってきた。