届けられた弁当を食べ、少し飲みながら爺やんは、来客についての話が出るかもしれないと思っていたが、そうした話も出ないうちに、にいやンが「今日は疲れたろうき、早く風呂に入って休んだら?」
「亮子。案内しちゃってくれんか?」
「うん。そうやね」
亮ちゃんが親子を案内して出て行った。
にいやんは、ビールを飲みながら爺やンの手元に目がいった。爺やンが、変わった形の”ぐい飲み”で酒を飲んでいるのだ。
「爺やん。その”ぐい飲み”かわっちゅうねえ。」
「これか。これはわしの作よね。」 「へ~。」
「ここにある器は、ほとんど自分で作ったがよ。わしの作よね。」誇らしげである。
器の話に熱中している。にいやんは、どうやら今夜は来客についての話はやりたくないようだ。
「あの花器もそう?」亮ちゃんが入ってくるなり、そういった。
「そうよ。」
「いろんなことが出来るがや。」器を手にとって亮ちゃんがいった。
「おまんらあの、まあ3倍は人間やりゆうきにゃあ。」「暇やったし。」
「まあ、贅沢な遊びよなあ。またやりたいとは思いゆうがやけんどなあ。」と爺やん。
亮ちゃんは、もう決めたようだ。「爺やん。陶芸やりたい。教えて。」
「忙しいろがえ。亮ちゃんは。」
「休みの日もあるし、夜は暇やし、時間は取れると思うがよ。」
亮ちゃんの目は、すでにやると決めていた。「そうかえ、ほんだら下へ行って一番小さな轆轤を持ってきいや。」「それから、黄色いビニールの袋に粘土がはいっちゅうき、もってきいや。」
にいやんと亮ちゃんが、手轆轤と粘土を持って帰ってきた。
「轆轤と粘土は持って帰ってもえいき、まあやってみいや。」
爺やんは、粘土に触りながら、久しぶりの粘土の感触を楽しんでいた。手遊びで、いつの間にか小さな器を作っている。「じきにできるがやねえ。」と笑いながら亮ちゃんが言うと、爺やんは「慣れたらどうってことはないがよ。」
小さな器がテーブルの上で転がっていた。
「亮ちゃんが本気でやるがやったら、窯がいるなあ。」「まあ、先になにか作ってみいや。」「窯はそれからでえいろ。」
早速、基本的なことだけ亮ちゃんに教えた爺やんは、見たことがないような笑顔で亮ちゃんの手先を眼で追っている。せっかく作っていても途中でグニャリと変形する粘土に「あ~あ。」そして声を出してただ笑うのだ。
小一時間もやった頃、「こればあにしよか。今日は。」
亮ちゃんも汗びっしょりになって、久方ぶりに明るい笑顔をしている。
「これ、捨てないかんね。」途中でつぶれた粘土をまとめていると、爺やんは「又それをつこうたらえい。そのままにしちょいたらえいで。」と。
台にしてあった、板材ごと部屋から出した。
傑作は3個。「小鉢かな」と爺やん。亮ちゃんは「お茶碗です。」という。
「ははは!、亮ちゃん、これで毎日ご飯食べたら肩こるで。重たすぎるろう。」
どっと笑いが出たところで、忙しい一日は終わった。
にいやンと亮ちゃんの家は今日から4人で暮らすことになった。
「亮子。案内しちゃってくれんか?」
「うん。そうやね」
亮ちゃんが親子を案内して出て行った。
にいやんは、ビールを飲みながら爺やンの手元に目がいった。爺やンが、変わった形の”ぐい飲み”で酒を飲んでいるのだ。
「爺やん。その”ぐい飲み”かわっちゅうねえ。」
「これか。これはわしの作よね。」 「へ~。」
「ここにある器は、ほとんど自分で作ったがよ。わしの作よね。」誇らしげである。
器の話に熱中している。にいやんは、どうやら今夜は来客についての話はやりたくないようだ。
「あの花器もそう?」亮ちゃんが入ってくるなり、そういった。
「そうよ。」
「いろんなことが出来るがや。」器を手にとって亮ちゃんがいった。
「おまんらあの、まあ3倍は人間やりゆうきにゃあ。」「暇やったし。」
「まあ、贅沢な遊びよなあ。またやりたいとは思いゆうがやけんどなあ。」と爺やん。
亮ちゃんは、もう決めたようだ。「爺やん。陶芸やりたい。教えて。」
「忙しいろがえ。亮ちゃんは。」
「休みの日もあるし、夜は暇やし、時間は取れると思うがよ。」
亮ちゃんの目は、すでにやると決めていた。「そうかえ、ほんだら下へ行って一番小さな轆轤を持ってきいや。」「それから、黄色いビニールの袋に粘土がはいっちゅうき、もってきいや。」
にいやんと亮ちゃんが、手轆轤と粘土を持って帰ってきた。
「轆轤と粘土は持って帰ってもえいき、まあやってみいや。」
爺やんは、粘土に触りながら、久しぶりの粘土の感触を楽しんでいた。手遊びで、いつの間にか小さな器を作っている。「じきにできるがやねえ。」と笑いながら亮ちゃんが言うと、爺やんは「慣れたらどうってことはないがよ。」
小さな器がテーブルの上で転がっていた。
「亮ちゃんが本気でやるがやったら、窯がいるなあ。」「まあ、先になにか作ってみいや。」「窯はそれからでえいろ。」
早速、基本的なことだけ亮ちゃんに教えた爺やんは、見たことがないような笑顔で亮ちゃんの手先を眼で追っている。せっかく作っていても途中でグニャリと変形する粘土に「あ~あ。」そして声を出してただ笑うのだ。
小一時間もやった頃、「こればあにしよか。今日は。」
亮ちゃんも汗びっしょりになって、久方ぶりに明るい笑顔をしている。
「これ、捨てないかんね。」途中でつぶれた粘土をまとめていると、爺やんは「又それをつこうたらえい。そのままにしちょいたらえいで。」と。
台にしてあった、板材ごと部屋から出した。
傑作は3個。「小鉢かな」と爺やん。亮ちゃんは「お茶碗です。」という。
「ははは!、亮ちゃん、これで毎日ご飯食べたら肩こるで。重たすぎるろう。」
どっと笑いが出たところで、忙しい一日は終わった。
にいやンと亮ちゃんの家は今日から4人で暮らすことになった。