「おう。見て見て、今年も蛍が飛びだいた。」にいやンが突然大きな声を出した。
「かわいらしいもんよ。ちゃんと時期がきたら、飛びはじめるきなあ。」蛍も爺やンが7~8年前に生息空間を整備したことから、急に増えたのだが、知らん振りを決め込んでいる。
「本当やねえ。今年初めての蛍やねえ。」飲んでいた部屋の前の庭に蛍が2つ、点滅しながら飛びはじめたのだ。
30分ぐらい、蛍の話やら、鮒やメダカの話ををしているうちに亮子が「爺ちゃん、ありがとう。」「それからあしたまた花を貰うていってかまん??。」いつもの事ながら明日早朝に、一束の花を持たせてやるのだ。
「こっちこそなあ。花は前へ出いちょくきに、適当に持っていったらえいき。」
爺やんも病院に時々出かけるのだが、自分が育てた花々が飾られているのを見て、つい微笑んだことがあるのだ。
「ほんだら。」亮子はニコニコしながら帰っていった。心配していた兄の仕事が出来そうなのだ。
にいやんは、テレビの深夜放送が終わるまでゆっくり飲んだ後、「もう帰るきねえ。」小さな声で、すでにベットの中に入っている爺やんに声をかけた。テレビのスイッチを切って、灯を豆球にして出て行った。
いつの間にか、爺やンの仕事を手伝うことになったことに、不安がないわけではなかったが、「なんとかなるろう。」それだけだったのだ。
月明かりが、歩きなれた道を照らしていた。街灯などといったものはこの辺りにはないことから、雨が降るような日には、本当の真っ暗闇になる。石垣が連なるこの道は、たとえ暗闇になっても、手を石垣に添えれば田に落ちたりする心配などもないのだ。
我が家の前には亮ちゃんが点けたであろう灯があった。
「かわいらしいもんよ。ちゃんと時期がきたら、飛びはじめるきなあ。」蛍も爺やンが7~8年前に生息空間を整備したことから、急に増えたのだが、知らん振りを決め込んでいる。
「本当やねえ。今年初めての蛍やねえ。」飲んでいた部屋の前の庭に蛍が2つ、点滅しながら飛びはじめたのだ。
30分ぐらい、蛍の話やら、鮒やメダカの話ををしているうちに亮子が「爺ちゃん、ありがとう。」「それからあしたまた花を貰うていってかまん??。」いつもの事ながら明日早朝に、一束の花を持たせてやるのだ。
「こっちこそなあ。花は前へ出いちょくきに、適当に持っていったらえいき。」
爺やんも病院に時々出かけるのだが、自分が育てた花々が飾られているのを見て、つい微笑んだことがあるのだ。
「ほんだら。」亮子はニコニコしながら帰っていった。心配していた兄の仕事が出来そうなのだ。
にいやんは、テレビの深夜放送が終わるまでゆっくり飲んだ後、「もう帰るきねえ。」小さな声で、すでにベットの中に入っている爺やんに声をかけた。テレビのスイッチを切って、灯を豆球にして出て行った。
いつの間にか、爺やンの仕事を手伝うことになったことに、不安がないわけではなかったが、「なんとかなるろう。」それだけだったのだ。
月明かりが、歩きなれた道を照らしていた。街灯などといったものはこの辺りにはないことから、雨が降るような日には、本当の真っ暗闇になる。石垣が連なるこの道は、たとえ暗闇になっても、手を石垣に添えれば田に落ちたりする心配などもないのだ。
我が家の前には亮ちゃんが点けたであろう灯があった。