マヨの本音

日本の古代史から現代まで、歴史を学びながら現代を読み解く。起こった出来事は偶然なのか、それとも仕組まれたものなのか?

超短編小説 「豊臣への秘密指令」

2011年12月03日 21時12分27秒 | 小説
還暦を前に、少々あせっている。つまりそれまでにいくつかの超短編小説を仕上げておきたいのだ。その中でどうしても書きたいのは秀吉である。

今回は一時間で書き上げた「豊臣への秘密指令」を発表する。これは秀吉に関しどうしても書き残さなければならないいくつかの内の一つです。分かる人にしかわからない歴史です。

小説 「豊臣への秘密指令」


「殿、お上から宮中へ参るよう連絡がきておりますが・・・」
「ん?お上からか?」
秀吉は天皇からの命に怪訝な顔をした。
「何の用事かな?」
急ぎ身支度をし、急ぎ宮中へ向かった。

「はは、秀吉まかりこしましたが・・・」
「ん、ちこうよれ、苦しゅうないぞ」
「ははっ」
柄にもなく秀吉は緊張していた。
「先般おぬしから要望の出ていた豊臣の姓の件、関白となった以上、それに見合った身分が必要であろう。今日からは豊臣を名乗るがよい。当然じゃ。おぬしは私の奉公衆として良く働いてくれたが、自分のお種の秘密を知らんじゃろ。蜂須賀には教えてあったが、じつはフン族の末裔なのじゃよ。」
「え?なんと・・・。フン族ですと?」
「日吉丸の名前の意味を考えたことがあるか?日本の吉、すなわち魏じゃよ。日本の天皇家と北魏という国とは大いに関わりがあっての、おぬしは北魏王家、鮮卑拓跋族の血統をひいているのよ。つまり、フン族の臣、豊臣の姓はまさにまんまなのじゃよ。」
「え?では私は北魏?」
「まあ、長い年月が過ぎ、知らない人は知らないだろうが、皇室のお庭番は常にお種の管理をしている。日吉丸という名前は皇室のデーターベースに登録されており、お種度は承知しておる。貴種として名古屋の豪農に預けられていたのじゃよ。」
「では、私も皇族の一員になるので?」
「いや、それは違う。ただ、私とご先祖様を共有するということだ。つまり、私はフン族を奉公衆として使っていたスキタイ王家の血をひいている、あくまでフン族とは主従関係なのだ。」
「では、共有する先祖様とは?」
「簡単な話だよ。おぬしは義経の血をひいている。彼はフン族の血を持つ常盤と天皇家の血を受け継いだ源氏の合作じゃ。したがってスキタイ本部さえ認めれば広大な大陸を支配する権利も持っているのじゃ。」
「では、私はジンギスカンみたいに大帝国を支配出来るので・・・」
「そうじゃぞ、もはや百姓の木下藤吉郎ではなく、天下の豊臣秀吉なのじゃ。で、今日ここへ呼んだ理由を言おう。心して聞くのじゃ。」
「へへ・・・・・」
「大陸からの、実はスキタイ本部からの情報じゃが、現在モンゴルを追放した明国は風前の灯になっている。モンゴル王家がちょっと内紛を起し油断しているすきに明の建国を許してしまったが、今遼東近辺では反撃の準備が整いつつある。女真族を中核とした大清が徐々に南下しつつあるのじゃ。ただ、問題は朝鮮半島で、あの小中華、李王朝がなにかと邪魔をしているのじゃな。」
「李王朝ですか・・・・」
「李王家は軟弱で、相変わらず元老と外戚に牛耳られていて明国の柵封体制を維持しようとしている。先日も王家の秘密の使者から朝廷をなんとかしてほしいと依頼が来ておる。そこでじゃ、秀吉、おぬしちょっと半島へ出兵してくれんか?なに、朝廷内もばらばらで、権力争いに明け暮れた軍部も大した力はないようじゃ。王家とは内々に話はつけておくから、要は朝廷の親明派を追放してくれればそれでよいのだ。」
「はて、我が日本軍で大丈夫でしょうか?」
「ははは・・、おぬしは日本軍の強さを知らぬのか、この戦国時代で切磋琢磨された兵隊は世界でも有数の強さなのだよ。しかも、朝鮮は最新の鉄砲の威力を侮っている。あっという間に占領できるはずじゃ。」
「そうですか、井の中の蛙と言いますが、我が軍はそれほど強いのですか?」
「ははは、なぜ皇室が足利幕府をつぶしたのか理由がわからんのか?」
「えっ?今なんと?」
「井の中にいてはわからんかもしれんが、世界は今大きく動いておる。強力な一神教のイエズス会がアジア諸国を席巻しつつあるのじゃ。足利は明国との貿易にうつつを抜かし、肝心の国防をおろそかにしておる。そうこうしているうちに国内の隠れ一神教徒はこっそりと鉄砲を手に入れているではないか。そこで私たちは足利をつぶすことにした。そして国内を甲子園の高校野球のように競わせることでイエズス会がおいそれと手を出せないようにしたんじゃぞ。それにしても信長は危険な男じゃったわ。下手をするなら皇室までつぶされるところじゃった。幸い秀吉と光秀がうまく立ち回って未然に防いでくれたからよかったが、本当に危ないとこじゃった。」
「では、光秀も手の内だったので・・・」
「あれは奉公衆じゃよ。今も生きておるぞ、おぬしは滅ぼしたと思っておるだろうが、今は仏僧として徳川に仕えておる。天海という名前でな。」
「はー、そうでしたか。私は指令のまま動いていた手前、細かなことは気づきませんでした。まことに恐れ入ります。」
「皇室には世界から情報が来ておるのじゃ。大きな流れには逆らえんて。明国は長くはもたん。今朝鮮に出兵し、その勢いで明まで攻めのぼり、女真の先を越すなら、おぬしが大モンゴル帝国を建国すれ権利がある。スキタイ本部にはそのように連絡しておく。」
「わかりました。私は命令のまま行動するのみでございます。李王朝を服従させ、あっという間に明国を平らげ、私はもう歳ですので明国は天皇に差し上げましょう。」

このような宮中での話があった後、秀吉は老体に鞭打ち、無謀とも思われる朝鮮出兵を決める。

秀吉が晩年正気ではなかったと書かれているが、大モンゴル帝国を滅ぼした明国と、モンゴルに降伏した属国高麗を滅ぼした李王朝はいずれにしてもフン族にとってはいずれ滅ぼさざるを得ない国だったのである。義経がジンギスカーンだった事を認めようとしない歴史学界が秀吉の朝鮮出兵を狂気とするのはまあ、当然であろう。

先日のNHKの大河ドラマ「江」?だっけ、やはり学会の望むとおり、秀吉は気がふれたかのごとく描かれていたが、なんとかの一つ覚えだろう。