恩田 陸著『木洩れ日に泳ぐ魚』
同居生活最後の夜を迎えた一組の男女。
この先それぞれの人生を歩く為にもきちんと話しておかなければ。
あの男を殺したのは相手なのか。
前回読んだ『午前零時』よりも、もっと夜がもたらす雰囲気が出ています。
長編だから、より深い描写が出来るからかな?
2人の会話の緊迫感が心地よいです。
やはり「恩田さんは良いな」と思わせられた一品です。
坂木 司著『ワーキング・ホリデー』
坂木さんだからミステリーと勝手に思いこんでいましたが、違いました。
元ヤンキーのホスト大和の元に「初めまして、お父さん」と小学五年生の男の子・進が現れた。
「死んだ」と聞かされた父親が実は生きていることを偶然知って訪ねてきたのだ。
そして、夏休みの間、2人は共同生活をすることになる。
ミステリーではなかったけれど、面白かったですよ。
大和がホストをクビになり、宅配便屋(と言ってもトラックでの配送ではなく、近場専門のリヤカー配送と言うところがポイント)となり、父親として成長していく様が描かれています。
坂木さんのどの作品にも言えることですが、周りのキャラがいいですね。
とくにホストクラブの店長。
面倒見のいい、気っ風のいいオカマさんです。
あと、さり気なく過去作関連の名前が出ていました。
みんなご近所だったんですね。