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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
英訳短歌version0.01
* 万博公園の太陽の塔が、サヤカに懸想した!(030)
万博公園の横は、よく走る道路の一つである。
近畿自動車道から名神や中国自動車道へ入った時に、
通るのである。
いつの頃からかは忘れたが、夜間、万博公園の近くを走ると、
必ずサヤカのヘッドライトの調子が悪くなるのである。
照射角度が狭くなる。
不思議だったが、高速道路は明るいので、
別に気にもとめてなかった。
それがある晩のこと、太陽の塔の傍を通っていた時、
何か視線を感じたので、太陽の塔を見た。
ヤツがウィンクを送ってきているではないか!
サヤカのヘッドライトは当然狭くなっていた。
ははあ、原因はこれだったのか。
私は納得したのだ。
不気味な顔してウィンクを送るなど、サヤカでなくともゾッとする。
私は身震いがきた。
何ちゅうヤツだ。
よりによって、私の愛車に懸想をするなんて。
私は、舌を出してやった。
ヤツときたら牛の角のような耳を上下に動かしながら、
浮かれている。
困ったヤツだ。
ある時、サヤカに聞いてみた。
[君、太陽の塔、嫌いかい?]
[あんなずんぐりむっくりで、へんてこりん大嫌いっ!]
[君も外見で判断するのかい?]
[ある程度は・・・ でも仕方ないんじゃない?]
[じゃ、オレなんかアイツとそっくりだしな]
[ううん、違うわ。あなたは ト、ク、ベ、ツ]
[どこが?]
半分嬉しくなって、ちょっと意地悪く聞いてみる。
[だって、私に生命を与えてくれるでしょ。それに・・・]
[それに?]
[・・・・・・・・・]
[なに?]
[よくわからない]
サヤカによれば、アイツも超能力を持っているという。
けれども、そんなには強くはないらしい。
アイツの数キロ以内に近づけば、
いつもチョッカイを掛けてくるという。
それがとてもしつこいらしい。
私と同類みたいだ。
ずんぐりむっくりも同じ。
だが、ヤツは彼女に嫌われているし、
私は、そうではないみたいだ。
持ち主の強みか。
彼女はヤツの顔を見るのも嫌いだが、
傍を通るのも気味悪いと言う。
私は、愛敬ある顔をしてケッタイなヤツだな、
ぐらいにしか思っていなかった。
見る者によっては、こうも評価が違うものか。
これからは、サヤカのためになるべく他の道を選ぼう。
芸術に 現わる個性は 天性か
それとも単に お人が騒ぐだけ?
ち ふ
この項おわり