天気祭りの効果もとぼしく翌朝は曇り。
昼からはパラパラ降るとの天気予報。
ならば、ミスのない飛行で午前中に済まそうではないか。
と思った矢先、緊張のせいかまたもや羽根の取り間違えをしでかした。
過去テストフライトで2度やらかしたが、
本番でいきなり、痛恨の羽根装着ミス。
しかも今回は羽根の装着ミスを知らせてくれるナビまであり、
確認したのに、間違えるという老人性痴呆症型ミスだ。
ミスにはそれを隠そうという本能が働き、さらに悲惨な結果を招く。
無理くり離陸したので、大仰にドローンはひっくり返り、
間違った方向に付けた羽根2本が欠けるという事態に。
小沢師匠曰く「羽根なんかつけっぱなしにすればいいのに、
いちいち外すから間違える!」
と分かり切ったことをオカンのように指摘された。
40年前ならパン棒で殴られていたが今はパワハラになるので
怒鳴ることがない冷たく刺さる声が小さく小さく流れる。
閑話休題それはさておき。
今回は小沢講師の指示通り16分の1のNDフィルターを装着する。
NDフィルター(Neutral Density、減光フィルター)は、
色彩に殆ど影響を与えずに、レンズに入る光量を減光させるフィルターだ。
写真では、絞りを開けたり、シャッタースピードを
遅くしたりすることができるが
ビデオカメラでは、夏の明るい日差しの時や雪背景、
朝景・夕景などで効果を発揮する。
しかし、NDフィルターは撮影業界では語るに足りぬ常識であり、
演出部が撮影部の会話から良く耳にするのはPLフィルターである。
PLフィルターとは、Polarized Light(偏光)フィルターの略で、
2枚のガラスの間に偏光膜をサンドイッチした構造になっており、
偏光膜の向きを回転させるための回転枠構造になっている。
フィルターを回転させることによって水面反射などによって発生する
偏光をカットすることができるので「ヘイ、ポーラ♪」と
カメラマンが唄えば、カメラ助手が素早くセットする。
もちろん、ドローンに田辺靖雄と梓みちよは乗れないので
「ヘイ、ポ~ラ♪」はムリだ。ということでNDが標準装備されている。
しかし、ないよりある方がお得だ。なんたって標準装備なんだから。
ドローン「AIR-2S」には、標準装備として、
のっけからNDフィルターが4枚ついている。
白のテーブルに4枚並べるとサングラスの
ありなしぐらいの差が見てとれる。
この16分の1を常に装着せよというのが小沢講師の教え。
そもそもドローンは天の下でしか撮影しない。
曇天よりも晴天で撮ることになるので16分の1を付けておけ
というのが小沢講師の教えなのだ。
「シャッタースピードは60分の1、
ホワイトバランスはマニュアルにして5500K、
ISO感度は100、暗ければタブレットを見て調整せよ。
以上。あとは君のフライトテクニックにかける!」との仰せ。
小沢講師は地上からのメインカメラ。
私がドローン、さらにクリップで固定式のカメラもセット。
ちなみに固定カメラは使わなかったのだが、こういう編集の事も
考えて現場で状況を作るのが演出なので、
今回私は演出として起用されたのだろう。
とはいえ私のドローン操作もなかなか好評だった。
約10m上空から、被写体の動き(時速5~10Km、
止まったり動いたり)を真俯瞰からフォローする。
これがなかなか厄介で、微妙な前後のレバー操作が求められるのだが、
密かな自主トレが大いに役立つこととなった。
小沢カメラマンと私の2カメで動きを撮った後、
小沢カメラマンが手持ちでUPを収めていく。
この時小沢カメラマンから「ドローンを使おうか」と提案がある。
ドローンには相当できの良いジンバル(水平維持装置)がついているので
飛ばさなくても手で持って振り回せば手振れの無い、
かつ、水平の保たれた映像が撮れるのだ。
こういう提案は演出としては大いに受け入れたいし、
これこそがカメラマンのカメラマンたる所以である。
こうして私のドローンによる経済活動は無事終了した。
「あなたの話はなんだか資本主義的だわ!」という雑音を尻目に
個人的にはドローンカメラマンとしての階級闘争にも勝ち、
自己批判の無いまま、新幹線に乗ったのだった。
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