その４１３．さらばゴッツ

南堀江にゴッツというファミレスがある。
駐車場があるので私は打合せ前にしばしば立ち寄る。
料理が他のファミレスに比べて旨いわけでも、
ボリューミィなわけでも、安いわけでもない。
ただここには心ある接客がある。
朝が早い私のお気に入りは下島さん。
ここには２０歳台の従業員さんは見当たらない。
３０歳以上で下島さんも４０歳後半だろう。
たまに洗い場さんが皿を引き揚げにくるが６０歳超だろうか？
従業員さんは皆さんよく動く愛しのおばちゃん達だ。
いつも笑顔で迎えてくれる。
ドリンクBarに足らずがないか、
テーブルが汚れていないかを小まめにチェックし
すぐに対応している。
高齢客には一声かけてドリンクBarから飲み物を運んでいる。
とにかくよく動く。そして笑顔で一声。
そう言えば、ここには客として若者や外人がたむろしていない。
若い女性客や学生も少ない。
圧倒的に高齢者、しかも夫婦連れやグループが多い。
あとは私のようなサラリーマン。
居酒屋や食堂に集まる常連客とオカミサンという雰囲気だ。

私の住む近所にマクドナルドがあるが
ここの店員さんも最近は高齢者がおり、
子連れの若いお母さんや高齢客、学生にも声をかけて
とにかくよく動く。
マニュアルにはない人間的な接客と動きが気持ちいい。
かつては「年寄りが働くなんて見苦しい」なんていう
オッサンもいたが、ダラダラして
何を言っているのかわからないネーチャンより
働くシニアの方が気分がよい。
そんな働くシニアさんを見て若いバイトさんは
「私が働いてないようでウザイ」と感じているかもしれない。
でも高齢バイトさんは働くのが好きなだけで、
働く場所を与えてくれたお店に感謝こそすれ、
若いバイトに説教する気もないだろう。
後ろ姿を見て学べと働く背中。

愛ある接客は常連客を生む。
料理は雰囲気で味がずいぶん変わるからだ。
☆が１つと３つの違いは味を越えた接客力だ。
とはいえファミレスやマクドナルドで
愛ある接客を望むのは欲どおしいのだが・・
南堀江にあるゴッツは今月で閉店する。
そして愛すべき従業員＝下島さん
＝近所の食堂の優しいおばちゃんとも会えなくなる。残念だ。