Potter's Diary

私の生活諸々と陶芸作品の紹介(ヒューストンより)

アルプス交響曲ーベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2018-04-23 | 音楽

2018年になって、今年最初の話題が3月っていうのは怠慢のいたりですが、今年も頑張りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
と言うことで、今年最初の話題は陶芸ではなく、音楽、しかもオーケストラ、ベルリンフィルハーモニー。以前にもベルリンフィルをとりあげたことがありましたが、実は我が家、というか私たち夫婦は、相当熱狂的なファンで、オーケストラと言えば、ベルリンフィル。結婚したばかりの頃、ベルリンフィルが来日する時は必ず夫が一番良い席を取るために並び、アルバイトで稼いだお金を全てつぎ込んで、いくつかのコンサートチケットを買って来たものでした。そしていつかベルリンフィルの音を、ベルリンのカラヤンが創ったコンサートホールで聴く、というのが夢でした。今、アメリカに住み、ヨーロッパに行く機会も増え、ベルリンフィルのチケットが日本で買う値段よりもはるかに安いことを知り、ヨーロッパに出かけたついでに何度かベルリンに行き、ベルリンフィルのコンサートホールで聴くことができました。そうなると欲が出てくるもので、数年前、ついにシーズンチケットを買いました。これは確か6回のコンサートで毎月ありました。結局色々あって、3回した行くことができませんでしたが、いつも同じ席で、しかも結構良い席だったので、かなり楽しみました。継続してシーズンチケットを買うと、同じ席を維持できるので、継続も考えましたが、流石に毎月ベルリンに行くというのは大変なので、翌年は、1週間でベートーヴェンの交響曲を全曲演奏する「ベートーヴェン・チクルス」、という企画があったので、そちらに行きました。交響曲1番から9番までを毎晩聴くという贅沢。夢のような1週間でした。
去年の12月にはマーラーの交響曲9番を聴きに行きました。以前ボストンにいた時にベルリンフィルがアバドと来てマーラーの9番をやったのですが、それはもう圧倒するような素晴らしさで、しばらく音が耳から離れませんでした。それをもう一度どうしても聴いて見たかったのです。

そして、今回聴いたのはシュトラウスのアルプス交響曲。シュトラウスの曲の中でも私が大好きな曲の一つです。最近はせっかくベルリンまで行くのだから、同じ演奏を2晩続けて、違う席で味わう事にしていたのですが、今回は3回ある演奏を全て聴こうと言う事で、初日は前から二番目の真ん中よりちょっと左、二日目は前から三番目のほぼ中央、三日目はちょっと後ろの左側をとりました。

ベルリンはこれで何度目になるのだろう。暗さと明るさの両面を持っている街。


到着した日はブランデンブルグ門が見えるレストラン「Quarre』で夕食。Hotel Kempinskiの中にあるレストランで、静かで落ち着いた雰囲気でなかなか美味しかったです。本当は「Facil」と言うレストランに行きたかったのだけれど、この日は貸切とかで、予約ができませんでした。で、翌日のランチに行きました。何しろすごい人気のレストランなのです。


「Facil」
このレストランもホテルの中、屋上にあります。でもビルの屋上とは思えないような緑に囲まれた森の中のレストランのよう…

  

 
食事も器も斬新で昼からゴージャスな食事をいただきました。美味しかったです。次回はぜひディナーに行きたいものです。こうしたコンサート中心の旅行の場合、コンサート当日の夕食はコンサート終了後になる(コンサート前に食べると眠くなる)ので10時過ぎになり、ほとんどのレストランには入れないのです。なので、まともなディナーは到着した夜くらいになってしまいます。


早めにホールに入ると、いつもダブルベース奏者たちだけが先にきて音合わせをしています。ベルリンフィルのダブルベースの音は特別です。彼らの音はお腹にズズズンと響いて心地よく耳に抜けて行きます。存在感のある音です。こんなにダブルベースの音がよく聞こえるオーケストラもそうないのではないでしょうか。

今回は誰がコンサートマスターか、それぞれの楽器のトップは誰か… など初日はそれを見るのもワクワクです。あ、知らない顔のヒトがいる…、新人かな、それとも臨時のヒトかなぁ、ナドナド話題もつきません。演奏は_、もちろん期待通りの、いえそれ以上の圧倒されるような一音も聴き逃したくないアルプス交響曲でした。

日中、今まで行ったことがなかったポツダム広場にあるスパイ博物館に行きました。ちょうど飛行機の中で「The Bridge of Spies」を見て来たところだったので、かなりリアルに怖さを感じながら見て来ました。いやいや未だにいろいろなスパイ関係の事件は起きているのですねぇ。つい最近もイギリスで毒殺未遂事件があったばかりだし_。


映画「The Bridge of Spies」の橋の様子が模型になっていました。

 その後、わずかに残っているベルリンの壁をたどりながら、歩いてCheckpoin Charlieへ向かいました。途中記念館にも寄って見ました。今更ですが、あのホロコーストのおそろしさ、集団心理の怖さを思い、身慄いしました。どんな時も冷静で自分の価値観を失わずにいたいものです。平和な時には簡単に言えるこの言葉、戦争の異常な環境の中では、自分を自分らしく維持して行くのって、難しい事なんだろうなぁ。

 
この壁の前でどれだけの人が命を落としたのだろう。第二次世界大戦が終わった後だというのに_。壁の崩壊は1989年です。

 

私たちの泊まったホテルに若い日本人の団体がいるのに気が付きました。一緒になったエレベーターの中で聞いてみると、早稲田大学のオーケストラの方達で、2日後にベルリンフィルのコンサートホールで演奏するとのこと。そうそう、昔、カラヤンがベルリンフィルと共に来日した時に、早稲田大学のオーケストラの女性団員がカラヤンに会いに行き、自分たちのオーケストラを指揮して欲しいと頼み、実現したという、まるで「オーケストラの少女」のような話を聞いたことがありました。それ以来、早稲田大学交響楽団はベルリンフィルと交流があり、3年に一度はヨーロッパ公演にきて、ベルリンフィルのコンサートホールでも演奏するようになったようです。今回の演奏は、これまたシュトラウスの「家庭交響曲」すごい!ぜひ聴いてみたかったけれど、コンサートの日がちょうど私たちの帰る日でした。帰ってから、ディジタルコンサートホールで見る事にしましょう。


演奏終了後、団員たちは、必ず隣同士、握手を交わしてから舞台を去ります。紳士的で和やか…


コンサート最終日は観客もいつまでも粘って拍手をし続けます。ネクタイを外し、くつろいでいたところを拍手で呼び戻された指揮者のD.Harding。

3日間の連続コンサートは大満足。でも何度聴いても飽きないなぁ。ほんっとに素晴らしい演奏です。あれだけの天才の集団って、なかなかないのではないでしょうか… その余韻を引きずりながら素敵なディナーを食べたいと、行ってみたのが「Facil」と同じホテルの中にあるレストランバー「QIU」。バーなので、夜遅くまでやってました。

  
寒かったので、かぼちゃのスープがとても美味しかったです。

あのアルプス交響曲の音は未だに耳に残っています。次は何の曲を聴きに行こうか…

 

 



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