Potter's Diary

私の生活諸々と陶芸作品の紹介(ヒューストンより)

低温焼成の窯入れ

2007-06-29 | 陶芸


昨日、思い切ってSalt Firingの窯入れ決行。毎日雷雨がある今日このごろ。窯入れを決行するのはなかなか勇気がいるのです。万が一火を入れた後にあんな雷雨に襲われたら、もうすべて終わりです。ここの雷雨は半端じゃない。ほんとにバケツをバカッとひっくり返したように空から水が降ってくる。それも局地的だから、ほんの数マイル車を走らせると、カラッと青空だったりするのだけれど... マ、とにかく、今回の作品たちははちょっと力を入れて作ったから、絶対に無駄にしたくないし。またもや神頼みで空を見上げながら、朝10時半頃に窯に火を入れる。1時間おきくらいに少しずつバーナーの火をあげて午後3時頃に全開。その間、あちこちの建築現場から集めてきた木片を、電動ノコギリで窯に入れやすい大きさに切る。火を全開にした後いったん家に帰り、ちょっと主婦して夕食の支度をして、また夕方6時半ころにスタジオに戻る。7時頃から窯に木を投げ入れ始める。熱く燃えた窯の左右にあるレンガのふたを皮手袋をしてはずし、そこに木をほおり込む。これがはじめは慣れなくてなかなか大変だった。とにかく真っ赤に燃える火がぶぉ~っと飛び出してくるところに木を投げ入れるんだから、それはもう恐ろしい。煙突からはものすごい火がゴーゴーと飛び出してくるし.... でもそれをほぼ5~10分間隔で約2時間くらい続ける。昨日は友人と木を入れはじめて間もなく、スタジオのやけに近くでサイレンが聞こえてきた。「あらら、また交通事故かしらねぇ... 最近多いわねぇ... あ、もう行っちゃったかな」と言ってたら、突然完全武装の消防士さんが10人ほど、ゾロッと目の前に現れるではありませんか 「通報がありまして、異常はどこですか?これですか、火をふいてるって?」「いえ、これは異常じゃなくてフツーでして...」と言っても、この窯、彼らにはなんだかあやしげな焼却炉みたいに見えたんだろうなぁ、きっと。まぁとにかく責任者にも出てきてもらって説明して一件落着。無事木を入れ続けて最後に塩と銅を新聞紙にくるんだものを投げ入れて火を止める。やれやれ... 
昨日からなんとか雨にも降られず、今朝は9時から窯出しにスタジオへ。温度がどれくらい上がったか心配だったけれど、ふたを開けて友人と〝ホッ" ま、成功かな。わぁ~、こんな色がどこから出てくるんだろう...と相変わらずナゾの多い窯ですが、そこがよくてこうしてやってるのよね。上の写真が火を入れる前。そして下ができあがりです。

(Houston)

テキサス州縦断、2000kmの旅

2007-06-22 | 旅行
娘の引越しを終え、いざテキサス州縦断の旅へ。アマリロを出てラバックを通り、テキサス州のおへそあたりのBrownwoodという小さな街にあるBed & Breakfastに向かう。見渡す限りの大草原(オイル・ポンプが点在)の中、ひたすら地平線に向かって車を走らせる。

引越しの疲れで、眠気と戦いながら、確かに地球は丸いんだ...と再確認。めちゃくちゃ長い貨物列車に何度も遭遇。時速75マイル~80マイルで約7時間ほどで目的地に到着。こんな田舎のドロドロ道の先にこんなにおしゃれなB&B? オーナーの趣味が良いのか、さりげなく置いてある本もクリムトだのマティスだのの画集やアートの本。翌朝の朝食もローズメリーのミックスされたスクランブルエッグとか、チーズのふんわかスコーンとか... と~ってもおいしくて大満足して、さぁ出発。二日目はテキサス州都オースティンのちょっと先にあるGruene というかわいらしい街へ。途中オースティンやサンマルコスに寄り道したので、約6時間ほどで到着。友人のお勧めのこの街はその名のとおり、緑の渓谷の中にあってホントにステキなところでした。テキサス最古というダンスホールは、一歩入るとタイムスリップ。カントリーミュージックの生演奏もあって、カーボーイハットとブーツのジョン・ウェインがいたような....

このすぐ隣のレストランがまたオシャレ。オープンスペースの中、渓谷をながめながら食事ができる。ソーセージが美味。このお正月は家族でぜひここの街で過ごそう。アンティーク・ショップも充実してそうだし、サンマルコス・モールも近いしね。夏はタイヤのようなチューブに乗って、渓谷下りができるようで、それもまた楽しそう。泊まったB&Bはカントリー調のコテージで裏に馬が一匹。朝ご飯は石造りの母屋のダイニングで。この日はウィークデーのせいか、泊り客は私たちだけ。お兄さんが一人で朝食を作ってくれて、「このジャムおいしいね」って言ったら「ここはHEBマーケットがあるからね。助かるよ」って、あら、ホームメードじゃないのね、おいしかったけど。そしていよいよ最終日。一緒に行ったおじいさんの希望でサンアントニオの「アラモの砦」を見て一路ヒューストンへ。いやぁ、ちょっと強硬スケジュールの旅だったけれど、意外なところでステキなおいしいものにもめぐり合えたし、どこまで行っても地平線だけしかないような景色っていうのも、さすがテキサスだ.... カーボーイが似合う土地なんだ... と妙に感心したのでした。
旅中は何度も豪雨にあいました)




ダラス

2007-06-18 | 旅行

昨日娘の引越しの手伝いに行く途中、ダラスによりました。ダラスと言えば、アメリカの35代大統領、J・F・ケネディが暗殺された街。一度は行って見たかった、教科書倉庫、犯人として逮捕されたオズワルトが狙撃したと言われている建物の6階が現在記念館として残されています。場所はたしかにあやしげなところ。おまけにテキサス、特にダラスはひどく保守的で、当時反ケネディ派が多かったとか。そこでオープンカーは大胆よ、やっぱり。とは言え、暗殺された大統領はなぜか司法解剖もされず、事件は妙に闇の中。何通りもの暗殺説なんていうのがていねいに解説されていましたが、どれも釈然としない。きっとどこかに明快な、それでいてだれにも見えていない真実があるにちがいないワ... (写真はその教科書倉庫だった建物です)
(Dallas)


低温焼成<Salt Vapor Firing>

2007-06-02 | 陶芸

最近はまっているのがこのSalt Vapor Firingという低温焼成。フツーのガス窯と違い、比較的簡単に短時間で焼けるし、まぁ窯が小さいので自分でコントロールできるところがなかなか楽しい。おまけに釉薬を全く使わないで、ほとんど神頼み。それなりに窯の中にどういうふうに作品を並べようか、とか塩をどうやってまぶそうかとか、一応頭は使うんだけれど、その日の風の向きだの、気圧だのに左右されることも多くて、なかなか思うようにはいきません。でもそこんところがまた楽しくて、真っ赤に燃えている窯の中に2時間ほどせっせと薪を入れ続けるわけです。パチパチと燃える火は美しくて、その美しさがどうぞ作品にのり映りますように、って祈りながら薪を入れる....穴窯に比べれば、かわいいものだけれど、それでも不思議な色に染め上がった作品たちを窯から出すときのワクワクドキドキがたまらないのです。
(Houston)暑い....