Van Cliburn International Piano Competitionでゴールドメダルを獲得した、辻井伸行さんのコンサートに行ってきました。正直なところ、最初は「盲目のピアニスト」ということが妙にひっかかって、そういう興味本位で行くわけではないけれど、なんだかそんなふうにも見えそうな自分がいやで、チケットを買うのをちょっと躊躇しました。とはいえ、ラッキーなことにちょうど仕事が休みになった娘も参加して、夫と三人で聴きにいきました。最初はベートーベンのソナタ「月光」そして「熱情」。演奏が進むにつれて、音がどんどん澄んでいきました。そして休憩後はショパン。最初のバラードの一番と、最後のポロネーズは私のとても好きな曲なのですが、それを彼はほんとうにとても美しく演奏してくれて、涙が出そうなほどでした。昔、ショパンコンクールで優勝したブーニンのコンサートを、最前列で聞いたときの音を思い出しました。あの時のブーニンの音も美しかった... でも彼は目が見えていたにもかかわらず、よく音をはずす人でした。でも辻井さんはほとんど、いえ全く音をはずしません。いったいどんな練習をつんできたのだろう。才能はもちろんのことだけれど、それだけではあれほどのピアニストにはなれない。楽譜を全部耳で覚えるって、並大抵なことではないし。Cliburnのコンクールではコンチェルトを演奏したそうだけれど、いったい指揮者とオーケストラとどうやって合わせるのだろう。フツーの人間の私にはとても想像がつかない天才なのね、彼は。われるような拍手と、スタンディング・オベーションがそれを証明していました。
コンサートは午後2時からだったので、ちょっと早かったけれど帰りにレストラン・ヒューストン(ボストンにもあるけれど、ホントはやっぱりここが本店なのかしらねぇ)で夕食をして、三人でコンサートの余韻を楽しんで帰って来ました。辻井さんのコンサートは、いつもの日曜日の午後をとてもすてきなものにしてくれました。
機会があったら、是非みなさんにも彼のコンサートを聴きに行っていていただきたいです。
(Houston)
お母様が彼の才能を2歳くらいで発見して、この道を開いてあげたらしいです。お父様はお医者様です。
ずっと彼のそばにはお母様がついてきたのよね。だけどこの頃は独立したのです。
<はやく母を楽にしてあげたい・・>って言っているのを聞いて涙がでました。お母様も元アナウンサーで素敵な方です。