シリーズ平成の「変」―倒産状態のJALなのに企業年金満額支払えの「変」
嘗ての花形企業JALは、2009年の中間決算で1312億円の純損失を出し、将来の見通しも良くないことから、政府金融機関の融資により年末の倒産は回避出来たとしても、債務超過、倒産の可能性が濃厚になっている。JALの再生計画については、09年5月頃より自民党政権下でも検討されて来たが、再建計画が十分でなく、大手銀行は融資を拒否している。最大の理由は、世界的な景気停滞という外部要因の他、多くの赤字路線抱えた「親方日の丸」的な放漫経営にあるが、その一つは企業年金の重荷である。
JAL職員の年金は、通常の厚生年金と別途積み立ての企業年金の2本立てになっているが、9千人近くの退職者は、現役の間拠出したのだから企業年金を満額支払うべきだと強く主張し続けている。無論、厚生年金の方は公的年金であるので支払われる。拠出し積み立てた企業年金であり、また退職後の生活が掛かっているので支払いを要求するのも当然だ。
他方、経営側は、再建の重荷になるので、企業年金については退職者30%カット、現役50%強のカットを提示し、協力を求めている。年金減額を行うためには、退職者及び職員の3分の2の多数が必要だが、根強い反対があり、こう着状態になっている。
銀行融資にしても、融資した資金が年金支払いに流れてしまえばザルに水を撒くようなもので、経営改善には繋がり難いので踏み切れない。また直接、間接の公的資金の投入にしても同じことで、国民の税金が即企業年金に流れてしまい、企業再生には繋がらない恐れがあり、現状では無駄になる可能性が強い。
そもそもJALは資金支援が得られなければ倒産となる状況にあり、そうなれば企業年金も保証されない。それなのに退職者等が企業年金を満額支払えとは他人事のようで、「変」だ。厚生年金の方は公的年金であるので支払われ、それに加え、会社が倒産状態にあるのを知りながら、企業年金を満額支払えとは「変」だ。
倒産となれば現役職員は年金どころか失職する。そうだとすると、少なくても現役職員が企業年金をカットされても会社を立て直したいとは思わないのだろうか。そんなのん気な社員を抱えていても会社再生などおぼつかないので、倒産による法的整理に移るべきではないか。
JALは、ナショナル・フラッグであり、継続されることが望ましい。しかし職員や退職者が身を削っても会社を再生させようとする意思と意欲がなければ、いくら資金をつぎ込んでも再生は困難だ。倒産過程で政府が管理を強め、更正後の受け皿を事前に募り、運航が維持出来るような方法で法的整理に進むべき時期ではなかろうか。(09.11.)(All Rights Reserved.)
嘗ての花形企業JALは、2009年の中間決算で1312億円の純損失を出し、将来の見通しも良くないことから、政府金融機関の融資により年末の倒産は回避出来たとしても、債務超過、倒産の可能性が濃厚になっている。JALの再生計画については、09年5月頃より自民党政権下でも検討されて来たが、再建計画が十分でなく、大手銀行は融資を拒否している。最大の理由は、世界的な景気停滞という外部要因の他、多くの赤字路線抱えた「親方日の丸」的な放漫経営にあるが、その一つは企業年金の重荷である。
JAL職員の年金は、通常の厚生年金と別途積み立ての企業年金の2本立てになっているが、9千人近くの退職者は、現役の間拠出したのだから企業年金を満額支払うべきだと強く主張し続けている。無論、厚生年金の方は公的年金であるので支払われる。拠出し積み立てた企業年金であり、また退職後の生活が掛かっているので支払いを要求するのも当然だ。
他方、経営側は、再建の重荷になるので、企業年金については退職者30%カット、現役50%強のカットを提示し、協力を求めている。年金減額を行うためには、退職者及び職員の3分の2の多数が必要だが、根強い反対があり、こう着状態になっている。
銀行融資にしても、融資した資金が年金支払いに流れてしまえばザルに水を撒くようなもので、経営改善には繋がり難いので踏み切れない。また直接、間接の公的資金の投入にしても同じことで、国民の税金が即企業年金に流れてしまい、企業再生には繋がらない恐れがあり、現状では無駄になる可能性が強い。
そもそもJALは資金支援が得られなければ倒産となる状況にあり、そうなれば企業年金も保証されない。それなのに退職者等が企業年金を満額支払えとは他人事のようで、「変」だ。厚生年金の方は公的年金であるので支払われ、それに加え、会社が倒産状態にあるのを知りながら、企業年金を満額支払えとは「変」だ。
倒産となれば現役職員は年金どころか失職する。そうだとすると、少なくても現役職員が企業年金をカットされても会社を立て直したいとは思わないのだろうか。そんなのん気な社員を抱えていても会社再生などおぼつかないので、倒産による法的整理に移るべきではないか。
JALは、ナショナル・フラッグであり、継続されることが望ましい。しかし職員や退職者が身を削っても会社を再生させようとする意思と意欲がなければ、いくら資金をつぎ込んでも再生は困難だ。倒産過程で政府が管理を強め、更正後の受け皿を事前に募り、運航が維持出来るような方法で法的整理に進むべき時期ではなかろうか。(09.11.)(All Rights Reserved.)