シリーズ平成の本音 朝霞凍結は無駄の先送り!
朝霞の公務員宿舎の建設について、野田政権は5年間凍結とすると共に、千代田、中央、港の都内3区の16の公務員宿舎を廃止・売却することを明らかにした。世論の批判や一部マスコミ、野党の追及を受けてではあるが、迅速な対応として評価出来る。
しかし「凍結」は処分の「先送り」でしかない上、凍結期間の維持管理費、人件費などが税金で支払われるという無駄が続く他、民間に売却すれば徴収出来る固定資産税の機会を放棄(オポチュニテイ・コスト)することになり、それが国民の負担となる。そもそも売却しなければ復興資金には一円も回せないことになる。その埋め合わせが都内3区の16の公務員宿舎の廃止・売却だと言いたいのであろうが、それは旧小泉政権で方針が決まっていたものを実施していなかったもので、それをを出して来たに過ぎない。
そもそも小泉政権は「改革なくして成長なし」という政策を掲げ、世論の支持を背景にして、財政難の中で上記のような公務員改革を検討していたが、政権が交代するとうやむやになり、実施されないこととなる。小泉首相辞任後の自・公政権が改革路線を後退させたためだ。小泉政権が2005年9月の総選挙で勝利していながら、党内事情があったにせよ、選挙後1年で政権を放り出したのは無責任であったと言えよう。行政各部は、都合の悪いことがあると政権が交代するまで先送りすれば良い、政権が交代すれば元に戻せると読んでいる。小泉政権後、政権が頻繁に代わることは事務方にとっては好都合なのである。行政各部の言うことを聞いてくれる政権が良い政権であり、良い大臣なのである。そうやって旧自・公政権は事務方を甘やかし、一部保守系マスコミがこれを擁護、容認して来たと言える。従って政策の変更、予算の組み替え・再配分などを含め、都合の悪いことには徹底的に抵抗する。このように旧自・公政権と一部マスコミの甘やかしで行政の無駄、行政メタボが累々と蓄積されて来たのである。行政メタボは時を経ると癌細胞のように増殖し、将来世代に負担を掛け続けることになる。
国有の不動産は、費用が掛からないように思えるが、その維持・管理に膨大な費用と人件費が掛かると共に、固定資産税を得る機会を放棄することになるので、国が所有する不動産は必要最小限とし、民間に売却することが望ましい。それにより売却資金と固定資産税が入ってくることになり、復興資金に回せる。その上、国有地管理部局と建物を設計・管理する膨大な営繕部局を整理出来るので、そこからも財源が浮くことになる。この点は、東京都を含め、地方公共団体にも共通する問題だ。
自衛隊の地方駐屯基地を除き、公務員宿舎は原則不要である。地域差を勘案し、原則2割程度の住宅手当に切り替えるべきだ。緊急要員用の官舎が必要としても、最小限に抑えるべきであろうが、緊急要員用についても地域を限定し3割程度の住宅手当に切り替えることが望ましい。大衆交通は飛躍的に発展しているし、民間住宅も選択が豊富になって来ている。
このような閉塞感の中で、国民は2009年8月、公務員の大幅削減や無駄の削減など、公務員改革と政治主導を掲げた民主党に政権を委ねた。しかし鳩山政権は、普天間飛行場の辺野古移転問題や政治資金記載問題などで野党と一部保守系マスコミに煽られ、結果を急ぎ過ぎ8ヶ月余で退陣に追い込まれた。それを引き継いだ菅政権は、マニフェストから離れ、増税を提案し世論の批判を浴び、苦し紛れに官僚との融和に走り、公務員制度刷新を後退させ、政治主導から大きく後退し、大震災、特に福島原発被災事故の対応で世論の批判を浴び、退陣に追い込まれた。政権運営の経験の無さから、結果を焦り、前のめりの対応で自滅した格好だ。民主党で政権運営の経験のある議員は小沢一郎議員を除き極く限られている。だからこそ国民の側も一旦政権を民主党に託したら、原則任期の4年間、少なくても3年間は政権運営を委ね、人材を育てて行く意識と寛容さが望まれる。野党が批判するのは仕方が無いが、マスコミが政権や議員の育成、そして国民が政権交代を選択出来る民主主義制度の構築にほとんど役割を果たしていない。政権交代が可能な政治制度を構築していかなければ有能な議員は育たない。他方、衆参両院とも議員数を実質的に削減し、有権者が候補を十分見れるようにすることが望ましい。
公務員宿舎や地方出先施設などは矮小化された氷山の一角に過ぎず、問題は遥かに大きい。特別会計や独立行政法人などを含む行政全般に亘る無駄や行政メタボの問題である。嘗て政権にあった野党がその原因を作ったのであるから、今後1年間は、与党と協力してその整理を行い、復旧・復興に必要な財源を捻出すると共に、実施に専念することが望まれる。東北の冬は待ってくれない。
同時に、国難を前にして心ある官僚が無駄や行政メタボの除去に率先して協力し、将来世代に負担を先送りしないことを切に望みたい。行政の無駄や行政メタボの問題は、政治の問題というよりはむしろ行政組織自身の意識の問題である。嘗ては必要であったとしても、現在財政余力はなく、優先分野も変化している。長期の経済停滞で若い世代の夢を奪った上、蓄積している負担を将来に残すべきではない。(11.10.6.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
朝霞の公務員宿舎の建設について、野田政権は5年間凍結とすると共に、千代田、中央、港の都内3区の16の公務員宿舎を廃止・売却することを明らかにした。世論の批判や一部マスコミ、野党の追及を受けてではあるが、迅速な対応として評価出来る。
しかし「凍結」は処分の「先送り」でしかない上、凍結期間の維持管理費、人件費などが税金で支払われるという無駄が続く他、民間に売却すれば徴収出来る固定資産税の機会を放棄(オポチュニテイ・コスト)することになり、それが国民の負担となる。そもそも売却しなければ復興資金には一円も回せないことになる。その埋め合わせが都内3区の16の公務員宿舎の廃止・売却だと言いたいのであろうが、それは旧小泉政権で方針が決まっていたものを実施していなかったもので、それをを出して来たに過ぎない。
そもそも小泉政権は「改革なくして成長なし」という政策を掲げ、世論の支持を背景にして、財政難の中で上記のような公務員改革を検討していたが、政権が交代するとうやむやになり、実施されないこととなる。小泉首相辞任後の自・公政権が改革路線を後退させたためだ。小泉政権が2005年9月の総選挙で勝利していながら、党内事情があったにせよ、選挙後1年で政権を放り出したのは無責任であったと言えよう。行政各部は、都合の悪いことがあると政権が交代するまで先送りすれば良い、政権が交代すれば元に戻せると読んでいる。小泉政権後、政権が頻繁に代わることは事務方にとっては好都合なのである。行政各部の言うことを聞いてくれる政権が良い政権であり、良い大臣なのである。そうやって旧自・公政権は事務方を甘やかし、一部保守系マスコミがこれを擁護、容認して来たと言える。従って政策の変更、予算の組み替え・再配分などを含め、都合の悪いことには徹底的に抵抗する。このように旧自・公政権と一部マスコミの甘やかしで行政の無駄、行政メタボが累々と蓄積されて来たのである。行政メタボは時を経ると癌細胞のように増殖し、将来世代に負担を掛け続けることになる。
国有の不動産は、費用が掛からないように思えるが、その維持・管理に膨大な費用と人件費が掛かると共に、固定資産税を得る機会を放棄することになるので、国が所有する不動産は必要最小限とし、民間に売却することが望ましい。それにより売却資金と固定資産税が入ってくることになり、復興資金に回せる。その上、国有地管理部局と建物を設計・管理する膨大な営繕部局を整理出来るので、そこからも財源が浮くことになる。この点は、東京都を含め、地方公共団体にも共通する問題だ。
自衛隊の地方駐屯基地を除き、公務員宿舎は原則不要である。地域差を勘案し、原則2割程度の住宅手当に切り替えるべきだ。緊急要員用の官舎が必要としても、最小限に抑えるべきであろうが、緊急要員用についても地域を限定し3割程度の住宅手当に切り替えることが望ましい。大衆交通は飛躍的に発展しているし、民間住宅も選択が豊富になって来ている。
このような閉塞感の中で、国民は2009年8月、公務員の大幅削減や無駄の削減など、公務員改革と政治主導を掲げた民主党に政権を委ねた。しかし鳩山政権は、普天間飛行場の辺野古移転問題や政治資金記載問題などで野党と一部保守系マスコミに煽られ、結果を急ぎ過ぎ8ヶ月余で退陣に追い込まれた。それを引き継いだ菅政権は、マニフェストから離れ、増税を提案し世論の批判を浴び、苦し紛れに官僚との融和に走り、公務員制度刷新を後退させ、政治主導から大きく後退し、大震災、特に福島原発被災事故の対応で世論の批判を浴び、退陣に追い込まれた。政権運営の経験の無さから、結果を焦り、前のめりの対応で自滅した格好だ。民主党で政権運営の経験のある議員は小沢一郎議員を除き極く限られている。だからこそ国民の側も一旦政権を民主党に託したら、原則任期の4年間、少なくても3年間は政権運営を委ね、人材を育てて行く意識と寛容さが望まれる。野党が批判するのは仕方が無いが、マスコミが政権や議員の育成、そして国民が政権交代を選択出来る民主主義制度の構築にほとんど役割を果たしていない。政権交代が可能な政治制度を構築していかなければ有能な議員は育たない。他方、衆参両院とも議員数を実質的に削減し、有権者が候補を十分見れるようにすることが望ましい。
公務員宿舎や地方出先施設などは矮小化された氷山の一角に過ぎず、問題は遥かに大きい。特別会計や独立行政法人などを含む行政全般に亘る無駄や行政メタボの問題である。嘗て政権にあった野党がその原因を作ったのであるから、今後1年間は、与党と協力してその整理を行い、復旧・復興に必要な財源を捻出すると共に、実施に専念することが望まれる。東北の冬は待ってくれない。
同時に、国難を前にして心ある官僚が無駄や行政メタボの除去に率先して協力し、将来世代に負担を先送りしないことを切に望みたい。行政の無駄や行政メタボの問題は、政治の問題というよりはむしろ行政組織自身の意識の問題である。嘗ては必要であったとしても、現在財政余力はなく、優先分野も変化している。長期の経済停滞で若い世代の夢を奪った上、蓄積している負担を将来に残すべきではない。(11.10.6.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)