平成の本音 与野党バトルのブーメラン (その4)
1月24日から2012年通常国会が開催され、国会の内外で与野党の論戦が展開されている。国会での質疑や新聞、テレビで報道されていることは次のように自民・公明を中心とする野党による民主党政権や大臣への批判がほとんどだ。
・東日本大震災への政府の対応について10組織ほどの各種会議における議事録が残っていない。民主党政権と官僚に溝。
・沖縄県宜野湾市長選を前にして真部朗沖縄防衛局長が関係職員に「講話」をしていた問題。
・田中防衛相は、米国の軍事戦略用語“ジョイント・エアー・シー・バトル”を知らない。秘書官に聞くな。
・社会保障、税一体改革で消費税増税につき協議に応じられない、などなど。
いずれも批判は一見当たっているようだが、いずれの批判も野党側にブーメランのように戻って行っているようだ。
1、緊急事態会議における議事録問題のブーメラン (その1で掲載)
2、沖縄防衛局長の関係職員への「講話」問題のブーメラン(その2で掲載)
3、消費税増税問題のブーメラン (その3で掲載)
4、国会審議はクイズ番組か、堕ちる国会!
社会保障と税の一体改革の一環として野田政権より衆議院選挙制度改革に関し、一票の格差是正(0増5減)と比例代表80議席削減についての与野党協議が幹事長・書記局長レベルで行われたが、2月22日、物別れに終わった。野党、特に公明党など小政党は
比例代表の80議席削減は小政党の存続を困難にするとして定数削減に応じず、一票の格差是正についても衆院選挙区画定審議会設置法で首相の勧告期限とされた同月25日の期限延長を行わず、結論を出せないまま定番の先送りとなった。
衆議院選挙における一票の格差是正については、2011年3月に最高裁が一票の格差が2倍以上の状態を「違憲状態」としてその是正を促している。0増5減はなんとか格差を2倍以内に収める小手先の微調整でしかないが、それも決められず、衆議院選挙における一票の格差問題は「違憲状態」であると共に違法状態になった。一票の重みを出来るだけ1対1に近付け、有権者に等しく1票を与えることが民主主義や平等の原点であり、それを守るのが国会の役割であるにも拘わらず、それさえも決められない国会は誰のためにあるのだろうか。
衆議院選挙における一票の格差は、自民党政権時代より長期に亘り問題とされて来たが、時々最低限の微調整で凌いで来たものであり、10年後との国勢調査に沿って限りなく1対1に近づけるなどの抜本改革行っていなかったからであり、一票の格差の問題は与党だけでなく野党の責任である。
比例代表80議席削減については、意義があるのであれば、有権者にとって最もフェアーな解決策は比例代表を全廃し、全て選挙区で候補者を直接選べるようにすることである。有権者にとっては投票もしていない候補者が比例代表で当選していたり、更に選挙区で落選した者が比例代表で復活当選したり、意味が分らない状態になっている。比例代表の削減数に異議があるのであれば、比例代表を全廃することが最もフェアーであり、分り易い。
一票の格差問題が放置され、違憲、違法状態になったことにより、野党としてもそれを承知の上解散、総選挙を声高に言えなくなったのではないか。それを強行すれば無責任の批判を受けよう。他方野田政権としては、一票の格差問題が先送りされることは延命を図る上で内心有り難いことであろうが、逆に解散権を行使し難くなったと言える。どっちもどっちの無責任な国会、決められない国会と言われても仕方なさそうだ。
参議院に至っては、衆議院のクローン議会のようでありながら、一票の格差は5倍内外に至っており、無責任、非常識の府と言えそうだ。存続させるとしても、議席を100位に減らすなど、抜本改革を迫られている。
(2012.02.14.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
1月24日から2012年通常国会が開催され、国会の内外で与野党の論戦が展開されている。国会での質疑や新聞、テレビで報道されていることは次のように自民・公明を中心とする野党による民主党政権や大臣への批判がほとんどだ。
・東日本大震災への政府の対応について10組織ほどの各種会議における議事録が残っていない。民主党政権と官僚に溝。
・沖縄県宜野湾市長選を前にして真部朗沖縄防衛局長が関係職員に「講話」をしていた問題。
・田中防衛相は、米国の軍事戦略用語“ジョイント・エアー・シー・バトル”を知らない。秘書官に聞くな。
・社会保障、税一体改革で消費税増税につき協議に応じられない、などなど。
いずれも批判は一見当たっているようだが、いずれの批判も野党側にブーメランのように戻って行っているようだ。
1、緊急事態会議における議事録問題のブーメラン (その1で掲載)
2、沖縄防衛局長の関係職員への「講話」問題のブーメラン(その2で掲載)
3、消費税増税問題のブーメラン (その3で掲載)
4、国会審議はクイズ番組か、堕ちる国会!
社会保障と税の一体改革の一環として野田政権より衆議院選挙制度改革に関し、一票の格差是正(0増5減)と比例代表80議席削減についての与野党協議が幹事長・書記局長レベルで行われたが、2月22日、物別れに終わった。野党、特に公明党など小政党は
比例代表の80議席削減は小政党の存続を困難にするとして定数削減に応じず、一票の格差是正についても衆院選挙区画定審議会設置法で首相の勧告期限とされた同月25日の期限延長を行わず、結論を出せないまま定番の先送りとなった。
衆議院選挙における一票の格差是正については、2011年3月に最高裁が一票の格差が2倍以上の状態を「違憲状態」としてその是正を促している。0増5減はなんとか格差を2倍以内に収める小手先の微調整でしかないが、それも決められず、衆議院選挙における一票の格差問題は「違憲状態」であると共に違法状態になった。一票の重みを出来るだけ1対1に近付け、有権者に等しく1票を与えることが民主主義や平等の原点であり、それを守るのが国会の役割であるにも拘わらず、それさえも決められない国会は誰のためにあるのだろうか。
衆議院選挙における一票の格差は、自民党政権時代より長期に亘り問題とされて来たが、時々最低限の微調整で凌いで来たものであり、10年後との国勢調査に沿って限りなく1対1に近づけるなどの抜本改革行っていなかったからであり、一票の格差の問題は与党だけでなく野党の責任である。
比例代表80議席削減については、意義があるのであれば、有権者にとって最もフェアーな解決策は比例代表を全廃し、全て選挙区で候補者を直接選べるようにすることである。有権者にとっては投票もしていない候補者が比例代表で当選していたり、更に選挙区で落選した者が比例代表で復活当選したり、意味が分らない状態になっている。比例代表の削減数に異議があるのであれば、比例代表を全廃することが最もフェアーであり、分り易い。
一票の格差問題が放置され、違憲、違法状態になったことにより、野党としてもそれを承知の上解散、総選挙を声高に言えなくなったのではないか。それを強行すれば無責任の批判を受けよう。他方野田政権としては、一票の格差問題が先送りされることは延命を図る上で内心有り難いことであろうが、逆に解散権を行使し難くなったと言える。どっちもどっちの無責任な国会、決められない国会と言われても仕方なさそうだ。
参議院に至っては、衆議院のクローン議会のようでありながら、一票の格差は5倍内外に至っており、無責任、非常識の府と言えそうだ。存続させるとしても、議席を100位に減らすなど、抜本改革を迫られている。
(2012.02.14.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)