シリーズ平成の本音 JALへの税優遇措置等を停止すべし
2010年1月に経営破たんして株式上場廃止となった日本航空(JAL)は、優遇税制を含む公的支援の下で再生を果たし、9月17日、株式の再上場を行った。株価は3,800円台となり、JAL株の時価総額は6,700億円前後で、全日空の約6,400億円をあっさり抜き、再上場初日で業界トップに返り咲いた。稲盛名誉会長の手腕と努力に敬服するところだ。要するに発想を豊かにし必死に努力すれば出来るということなのであろう。
しかしJAL株の再上場に関しては、次の3つの許されてはならない不条理がある。
1、旧JAL株の100%減資、上場廃止
2010年1月、JAL株の100%減資、上場廃止により、JAL株は紙同然となった。金融機関はもとより、約46万人と言われている個人株主の保有株式がゼロとなった。他方、JALの従業員は企業年金の50%、退職者は70%も保証され、一定の保障が確保されたにも拘わらず、経営自体には責任がない多くの個人株主は、ほぼ全てを失い、保障ゼロとなった。
しかも2009年11月に経営破たんがほぼ確実となった1年数か月前に増資を行っている。当時の経営者は増資を行う際に経営が破たん状態にあったことを知っていたはずであるが、その後の株主総会その他で個人株主などにそのような状況にあることを説明しておらず、旧経営陣は株主をだました形となっている。主力金融機関や機関投資家にはいろいろな情報が届くが、個人投資家にはそのような情報は届かない。旧経営陣の株主に対する背任、あるいは詐欺に当たる可能性が強い。JALの背任、詐欺まがいの行為が認められるようなことでは、今後投資家を騙すような経済犯罪行為が後を絶たなくなる恐れがある。経営には直接参加も責任もない約46万人の個人株主の株式を踏み倒して置きながら、2年7か月余で再上場し、業界トップの座を占めることは理不尽、不条理であり、許してはならない。そもそも踏み倒す必要もなかったことは明らかだ。大手証券会社によるインサイダー取引なども存在するので、こんなことでは日本の証券市場、資本市場は信用されなくなるであろう。
JAL株の100%減資、上場廃止は、民主党政権により容認されたところであるが、自由市場経済や資本市場、財産権にいわば軸のない同党であるから容認されたとも言える。今回の尖閣諸島の国有化についても、財政難のさなかに国民の税金を使って20億円超で購入する価値はなく、基本的に財産権、私的所有権などを理解しない時代錯誤の決定であったと言える。政府は“平穏で安定的な”同諸島の管理のためとしているが、今後中国との関係で対応が一層困難になった。
JAL株の時価総額が業界トップとなった以上、大損をした個人株主を中心として旧株主に対し、例えば1株主5千~1万株を限度として補償すべきであろう。または旧経営陣が私財を投げ打ってでも一定の補償を行うべきであろう。
2、税制優遇措置を直ちに中止すべし
JALが業界トップに立った以上、法人税などの税制優遇措置は不要であり、直ちに中止すべきだ。こんなことでは航空業界のフェアーな競争を維持することは困難だ。
3、JALの更なる業務拡張は制限されるべし
いわば旧株主や解雇された従業員を騙し、公的支援を受けて業界トップに返り咲いたJALの路線拡張やLCCへの参入は極めて不公正であり、今後3年程度は制限し、他の企業の育成を図るべきであろう。旧株式を踏み倒したJALが日本の航空業界を代表するようなことは当面非常に望ましくない。(2012.09.20.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
2010年1月に経営破たんして株式上場廃止となった日本航空(JAL)は、優遇税制を含む公的支援の下で再生を果たし、9月17日、株式の再上場を行った。株価は3,800円台となり、JAL株の時価総額は6,700億円前後で、全日空の約6,400億円をあっさり抜き、再上場初日で業界トップに返り咲いた。稲盛名誉会長の手腕と努力に敬服するところだ。要するに発想を豊かにし必死に努力すれば出来るということなのであろう。
しかしJAL株の再上場に関しては、次の3つの許されてはならない不条理がある。
1、旧JAL株の100%減資、上場廃止
2010年1月、JAL株の100%減資、上場廃止により、JAL株は紙同然となった。金融機関はもとより、約46万人と言われている個人株主の保有株式がゼロとなった。他方、JALの従業員は企業年金の50%、退職者は70%も保証され、一定の保障が確保されたにも拘わらず、経営自体には責任がない多くの個人株主は、ほぼ全てを失い、保障ゼロとなった。
しかも2009年11月に経営破たんがほぼ確実となった1年数か月前に増資を行っている。当時の経営者は増資を行う際に経営が破たん状態にあったことを知っていたはずであるが、その後の株主総会その他で個人株主などにそのような状況にあることを説明しておらず、旧経営陣は株主をだました形となっている。主力金融機関や機関投資家にはいろいろな情報が届くが、個人投資家にはそのような情報は届かない。旧経営陣の株主に対する背任、あるいは詐欺に当たる可能性が強い。JALの背任、詐欺まがいの行為が認められるようなことでは、今後投資家を騙すような経済犯罪行為が後を絶たなくなる恐れがある。経営には直接参加も責任もない約46万人の個人株主の株式を踏み倒して置きながら、2年7か月余で再上場し、業界トップの座を占めることは理不尽、不条理であり、許してはならない。そもそも踏み倒す必要もなかったことは明らかだ。大手証券会社によるインサイダー取引なども存在するので、こんなことでは日本の証券市場、資本市場は信用されなくなるであろう。
JAL株の100%減資、上場廃止は、民主党政権により容認されたところであるが、自由市場経済や資本市場、財産権にいわば軸のない同党であるから容認されたとも言える。今回の尖閣諸島の国有化についても、財政難のさなかに国民の税金を使って20億円超で購入する価値はなく、基本的に財産権、私的所有権などを理解しない時代錯誤の決定であったと言える。政府は“平穏で安定的な”同諸島の管理のためとしているが、今後中国との関係で対応が一層困難になった。
JAL株の時価総額が業界トップとなった以上、大損をした個人株主を中心として旧株主に対し、例えば1株主5千~1万株を限度として補償すべきであろう。または旧経営陣が私財を投げ打ってでも一定の補償を行うべきであろう。
2、税制優遇措置を直ちに中止すべし
JALが業界トップに立った以上、法人税などの税制優遇措置は不要であり、直ちに中止すべきだ。こんなことでは航空業界のフェアーな競争を維持することは困難だ。
3、JALの更なる業務拡張は制限されるべし
いわば旧株主や解雇された従業員を騙し、公的支援を受けて業界トップに返り咲いたJALの路線拡張やLCCへの参入は極めて不公正であり、今後3年程度は制限し、他の企業の育成を図るべきであろう。旧株式を踏み倒したJALが日本の航空業界を代表するようなことは当面非常に望ましくない。(2012.09.20.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)