シリーズ平成の本音―何の役にも立たないと言われた消費増税給付金!
10月1日、安倍政権は2014年4月からの8%への消費増税実施を決定すると共に、懸念される消費の腰折れに対し、消費増税のほぼ2%分に当たる5兆円規模の追加的景気対策を発表した。
主要な対策は、公共事業の他、企業に対する復興特別税の1年前倒しの廃止や設備投資減税などとなっている。
減税措置は企業や個人投資家の自主的な判断を後押しするものとして基本的には評価されるところだが、社会保障関係の長期にわたる深刻な財源不足や1,100兆円を越える膨大且つ過剰な公的借金を解消するものとして消費税を8%に引き上げしておいて、5兆円をばらまくことについては、国民各層で懸念もされているようだ。
特に低所得者に対する最大1万5千円の給付金については、低所得者層からも“何の役にも立たない”とダメ出しされている。この給付金は、市町村民税の非課税者2400万人に1万円、年金受給者等に1.5万円、総額約3000億円もの金額がばらまかれることになっている。確かに、年金受給者等にとっては若干の救済になるが、年金給付が減額されている上、一回限りの給付金を支給するのであれば、年金給付額を増額する方が将来不安を和らげ、生活設計が立て易くなるであろう。
更に驚くべきことは、市町村民税の非課税者が2400万人にも及んでいることだ。この人たちの多くは、社会保障からの受益者であるにも拘らず、所得税も最低水準か払っていない層、即ち社会保障ただ乗り層であるので、一般国民にとって今後共大きな負担となることが予想される。日本の就業者数は約6,300万人であるので、その約38%が住民税を支払っておらず、社会保障ただ乗り層に近いということになる。そのようなことを今後続けるのは若い世代にとって過大な負担となり、一生懸命働いて税金を払わせられるより、楽をして社会保障を受けた方が得というモラルハザードを引き起こす恐れがある。社会保障は、所得の差によって負担額に差をつけるとしても、すべての国民が所得に応じて応分の負担をし、自立に向けて努力することとしなければ維持は困難だ。
低所得者に対する給付金は、公明党が固執した措置であるが、公明党にとっては支持基盤である創価学会の底辺層対策、自民党にとっては公明党を連立にとどめておくためであり、それぞれ政治的には意味があるのであろうが、ターゲットを低所得者に絞った、税金を使っての買票まがいの行為であり、非社会性が非常に強い。
低所得層の中にも、仕事がしたくても定職が見つからず将来不安を感じている若者層などもいるので、3,000億円もの予算を使うのであれば、そのような人達に照準を当てた救済策を行う方が有益であろう。しかし、それは通常予算の範囲で優先度を付して検討されるべきものであろう。
減税についても、企業に対する復興特別税の1年前倒しの廃止は、法人税自体の減税ではなく、減税効果は1年間しかないので、要するに見せかけに過ぎない。その上、個人所得については復興特別税は継続し、企業は復興については負担をにしないというイメージとなるので、企業の社会的責任が問われる形となる。妥協によるアリバイ作りと言えば聞こえが良いが、国民の目をそらせるための「めくらませ」のようだ。経団連会長が、今回の決定を、‘すばらしい’と評価したが、企業のトップがこのような不定見な認識しか持っていないことは残念である。それ以上に復興にしても、公的債務の実質的な削減を含む財政の立て直しや社会保障の立て直しにしても、また給与改善などにしても、企業の社会的責任が問われても仕方がないし、‘企業とはそういうもの’との印象を与え、イメージ・ダウンとなることは残念なことである。
近く開催されるG-20財務大臣会議において、財務相が消費増税につき説明する予定のようだが、“成長と財政健全化を両立させる方法”などとして偉そうに説明するとすれば、消費者の顔を逆撫ですることにもなりかねない。消費増税の実施を発表した際、首相は“法律の通り”に2014年4月より実施すると明言した。しかしその“法律”は、2012年8月に民主党の野田政権が政権を犠牲にして通したもので、現自・公連立政権の努力でも手柄でもない。従って自・公政権は、民主党に財政救済の恩人として感謝すべきなのであろう。
ましてや社会保障費の長期の財源不足が予想され、また国民総生産の2倍以上の公的借金を抱えながら、分かりやすく目に見える行政管理費の節減やムダの排除、そして政党助成金や議員関係費の抜本的な削減も行わず、消費増税の実施によって、負担を消費者、国民に丸投げしているに過ぎない。その上5兆円をばらまくのである。行政及び議員経費の節減やムダの排除は、消費増税を国会で採択する際、民主党が野党自・公両党に求めていたところであるが、自・公両党は政権を取ってからほっかむりしており、いわば民主党をだまし討にしたようなものだ。
政権政党や行政当局がそういうことであれば、消費者、国民としては徹底的に消費節減、節約をせざるを得ないのだろう。消費を10%節減し、倍返しだー。(2013.10.8.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
10月1日、安倍政権は2014年4月からの8%への消費増税実施を決定すると共に、懸念される消費の腰折れに対し、消費増税のほぼ2%分に当たる5兆円規模の追加的景気対策を発表した。
主要な対策は、公共事業の他、企業に対する復興特別税の1年前倒しの廃止や設備投資減税などとなっている。
減税措置は企業や個人投資家の自主的な判断を後押しするものとして基本的には評価されるところだが、社会保障関係の長期にわたる深刻な財源不足や1,100兆円を越える膨大且つ過剰な公的借金を解消するものとして消費税を8%に引き上げしておいて、5兆円をばらまくことについては、国民各層で懸念もされているようだ。
特に低所得者に対する最大1万5千円の給付金については、低所得者層からも“何の役にも立たない”とダメ出しされている。この給付金は、市町村民税の非課税者2400万人に1万円、年金受給者等に1.5万円、総額約3000億円もの金額がばらまかれることになっている。確かに、年金受給者等にとっては若干の救済になるが、年金給付が減額されている上、一回限りの給付金を支給するのであれば、年金給付額を増額する方が将来不安を和らげ、生活設計が立て易くなるであろう。
更に驚くべきことは、市町村民税の非課税者が2400万人にも及んでいることだ。この人たちの多くは、社会保障からの受益者であるにも拘らず、所得税も最低水準か払っていない層、即ち社会保障ただ乗り層であるので、一般国民にとって今後共大きな負担となることが予想される。日本の就業者数は約6,300万人であるので、その約38%が住民税を支払っておらず、社会保障ただ乗り層に近いということになる。そのようなことを今後続けるのは若い世代にとって過大な負担となり、一生懸命働いて税金を払わせられるより、楽をして社会保障を受けた方が得というモラルハザードを引き起こす恐れがある。社会保障は、所得の差によって負担額に差をつけるとしても、すべての国民が所得に応じて応分の負担をし、自立に向けて努力することとしなければ維持は困難だ。
低所得者に対する給付金は、公明党が固執した措置であるが、公明党にとっては支持基盤である創価学会の底辺層対策、自民党にとっては公明党を連立にとどめておくためであり、それぞれ政治的には意味があるのであろうが、ターゲットを低所得者に絞った、税金を使っての買票まがいの行為であり、非社会性が非常に強い。
低所得層の中にも、仕事がしたくても定職が見つからず将来不安を感じている若者層などもいるので、3,000億円もの予算を使うのであれば、そのような人達に照準を当てた救済策を行う方が有益であろう。しかし、それは通常予算の範囲で優先度を付して検討されるべきものであろう。
減税についても、企業に対する復興特別税の1年前倒しの廃止は、法人税自体の減税ではなく、減税効果は1年間しかないので、要するに見せかけに過ぎない。その上、個人所得については復興特別税は継続し、企業は復興については負担をにしないというイメージとなるので、企業の社会的責任が問われる形となる。妥協によるアリバイ作りと言えば聞こえが良いが、国民の目をそらせるための「めくらませ」のようだ。経団連会長が、今回の決定を、‘すばらしい’と評価したが、企業のトップがこのような不定見な認識しか持っていないことは残念である。それ以上に復興にしても、公的債務の実質的な削減を含む財政の立て直しや社会保障の立て直しにしても、また給与改善などにしても、企業の社会的責任が問われても仕方がないし、‘企業とはそういうもの’との印象を与え、イメージ・ダウンとなることは残念なことである。
近く開催されるG-20財務大臣会議において、財務相が消費増税につき説明する予定のようだが、“成長と財政健全化を両立させる方法”などとして偉そうに説明するとすれば、消費者の顔を逆撫ですることにもなりかねない。消費増税の実施を発表した際、首相は“法律の通り”に2014年4月より実施すると明言した。しかしその“法律”は、2012年8月に民主党の野田政権が政権を犠牲にして通したもので、現自・公連立政権の努力でも手柄でもない。従って自・公政権は、民主党に財政救済の恩人として感謝すべきなのであろう。
ましてや社会保障費の長期の財源不足が予想され、また国民総生産の2倍以上の公的借金を抱えながら、分かりやすく目に見える行政管理費の節減やムダの排除、そして政党助成金や議員関係費の抜本的な削減も行わず、消費増税の実施によって、負担を消費者、国民に丸投げしているに過ぎない。その上5兆円をばらまくのである。行政及び議員経費の節減やムダの排除は、消費増税を国会で採択する際、民主党が野党自・公両党に求めていたところであるが、自・公両党は政権を取ってからほっかむりしており、いわば民主党をだまし討にしたようなものだ。
政権政党や行政当局がそういうことであれば、消費者、国民としては徹底的に消費節減、節約をせざるを得ないのだろう。消費を10%節減し、倍返しだー。(2013.10.8.)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)