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日本は安全保障音痴か? (再掲)

2022-12-20 | Weblog
日本は安全保障音痴か? (再掲)
<はじめに> 現在臨時国会での2次補正予算の審議と並行して、2023年度予算の政府原案の詰めが行われている。その中で政権与党から声高に要請されているのが、北朝鮮の核・ミサイル開発など北東アジアの緊張が高まっていることを背景として、「反撃能力」の保持とミサイル増強を含め、5年間で安全保障関連費をNATO水準のGDP2%(現行防衛予算の2倍)達成目標だ。現下の情勢を考慮すると防衛力強化は必要だろう。しかし、現在日本は何処の国とも武力紛争はもとより軍事的敵対関係にはない。またNATO(米国、欧州諸国の対ロシア軍事同盟)は欧州や世界の安全保障に一定の役割を果たしているが、日本はNATOの同盟国ではなく、NATO基準に縛られる必要はない。NATOの急速な東方拡大と攻撃的、硬直的対ロ姿勢については直ちに賛同できるものでもない。
 更に現在日本は統一教会(国際平和統一家庭連合)が自民党に広範に浸透し、攻撃的な勝共思想など政策面でも影響を与えてきたと見られている。同教団は北朝鮮と軍事的に対決している韓国に本部があり、多くの日本国民に被害を与え、いわば日本国民の財産・精神・生活の安全保障上の現実的脅威となっている現実があるので、まず国内にある国民への脅威を除去する必要がある。 
 日本は日本として、国民の最大の将来不安である家計所得の安定的向上と年金の安定給付が最大の関心事であることを認識し、国民に負担や不安を掛けない健全な財政運営が望まれる。
 このような観点から、本稿を再掲する。(2022.11.29.追記)

 南北間の休戦協定を破棄した北朝鮮は、4月9日、韓国への攻撃もありうるとしてソウルに在住或いは滞在中の外国人に対し、退避準備をするよう呼び掛けるなど、威嚇姿勢を強めている。
 この中にあって、北朝鮮労働党の機関紙である労働新聞は、4月10日、日本に米軍基地があることを背景として、“東京、大阪、横浜、名古屋、京都”の5都市に人口が集中しているとしつつ、“日本は北朝鮮の近くに位置し、報復の対象から逃れることは出来ない”、“日本が戦争に火をつければ、日本全体が戦場と化す”などとして強く威嚇する記事を掲げた。
 何故だ。そもそも日本は朝鮮戦争に直接関与したことはなく、南北間の軍事衝突があっても直接に関係、介入することはない。ましてや“日本が戦争に火をつける”ことは現行憲法においては決してないであろう。それなのに何故このような威嚇を日本に向けるのだろうか。不可解であるし、大変迷惑だ。
 北朝鮮による国際世論に反する核、ミサイル開発には強く反対するところであり、また過剰に好戦的な姿勢に自制を求めるところではあるが、どうも日本側の姿勢が誘因になっている恐れがある。
 1、“日米韓が警戒を強める”って何のことか?
 4月10日付の本の保守系新聞は、“北ミサイル準備終了か 日米韓 警戒強める”と題し、日本地図を掲載して日本、韓国、米国のミサイルや艦船の配備状況を示して一面トップで報じている。日本国民としても気が高ぶる報道だ。
 休戦協定は南北朝鮮間の軍事衝突を避けるためのもので、それが破棄されても南北朝鮮間の問題であるので、韓国とそれを支援する米国、及び休戦協定の監視を行う国連の問題であり、日本は直接関係はない。
 ミサイルの発射実験により、とばっちりが掛かる恐れがあるので、それへの対応は不可欠であるが、戦争状態に突入している韓国や米国と同列に扱うのは迷惑である。日韓には安保取り決めなどもない。
 どうも日本の保守層を中心とする安保族に日米同盟強化に対する思惑があるので、日本国内で十分議論が尽くされないままに、日米同盟強化、集団的安全保障論が前のめりに先行し、報道されているからではないか。
そのような姿勢が、10日付の労働新聞のような誤った威嚇につながっているのではなかろうか。配慮に欠ける。
 2、迎撃ミサイル(PAC3)の防衛省構内配備をプレイアップする愚
 11日のテレビ報道や新聞は、ミサイルが万一日本方向に飛来することに備え、
防衛省構内に迎撃ミサイルを2基配備していることなどを何度も報じている。日本の安全確保を強調するためであり、それは十分理解できる。
 しかし迎撃ミサイルの具体的な配備地点などの詳細を何故映像で映し、報じるのか。北朝鮮は戦争準備をしている時に、日本の対応を詳細、具体的に知らせることになるので、日本の安全保障には百害あって1益もない。
 極めつけは、防衛相が配備現場でミサイル担当の自衛官を激励する姿まで放映している。まるで戦争ごっこだ。
 日本国民への安全措置をアッピールするためのパーフォーマンスであろうが、相手を刺激し、威嚇の口実を与えるだけだ。
 北朝鮮は、南北休戦協定を破棄し、戦争状態に既に突入している。戦争ごっこでは適切ではないし、日本は紛争を好まないし、直接の紛争の当事者ではないことを念頭に置き、適切、適正な対応することを望みたい。(13.4.11.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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男女平等を支持、だが個人の平等も未達成の日本!(再掲)

2022-12-20 | Weblog
男女平等を支持、だが個人の平等も未達成の日本!(再掲)
  2021年2月3日に開催されたJOC臨時評議会におけるオリンピック組織委森会長の発言が、女性蔑視的発言としてマスコミ等に報道されたことを端に発し、日本国内での批判が多方面に及んだため、森会長(当時)が釈明会見を行った。しかし謝罪はメモを読むような形で行われ、また記者との質疑応答も高圧的とも見られるやりとりがあったため、批判は更に広がった。国際オリンピック委員会(IOC)も、当初は「謝罪したからよい」との姿勢であったが、米国はじめ国際世論が厳しさを増したため、同会長の発言はオリンピック規定に沿わないとの見解が出されるに至り、辞任に追い込まれた。
 更にその後森会長側が特定者を後任候補に指名、推薦したことが報道され、不透明な指名等として批判されるに至り、2月12日、オリンピック・パラリンピック組織委・評議会合同会議が急遽開催され、森会長が正式に辞任を表明する一方、後任候補については検討委員会において行われることになった。
ここまでの経緯についても、同組織委の右往左往振りは拙劣であり、事務局の事務的トップであり、また森会長慰留に奔走した事務総長の責任が問われている。また同組織委についてが、事務局職員は月収20万程度から200万円となっているようだが、多数のボランテイアが無報酬或いは少額の手当で募集されているにも拘わらず、事務総長はトップとして月200万円、年額2,400円という高額の報酬を得ているのではないかとの疑問の中、事務局幹部の報酬も不公表となっている上、オリ・パラ大会が2020年7月から1年間延期されたにも拘わらず、その後も同じ報酬を得ているのではないかとの疑問も聞かれる。
 新会長については、政府、与党自民党幹部筋やから「女性か若い人」などとして具体的な名前が報道され、これがかえって女性や年長者に対する「逆差別」などとの批判が出るなど、迷走振りは日本だけでなく世界の目からも醜態と映っているようだ。
 1、男女平等が身についていない日本の社会
 このように男女平等への意識が低いという国際世論を背景として、新会長は女性からなどという意見が出ることは、一見理解ある対応と見えるが、要するに国際社会の目を配慮しての対応であり、それで男女平等が確保されるわけでもなく、そのような発想自体、男女平等意識が身についていないことを示している。また、もっと若い人をと言う発想も、新卒優先の定年制や制度を年齢で区別する行政や社会慣行をベースとした、過剰な年齢差別の意識と言えよう。80歳以上の年長者が時代遅れの不適切な発言をしたからと言って、「若い人」を会長とすれば問題が解決するわけでもない。
 他方、森会長(当時)の「女性理事が多いと会議の時間が掛る」との発言については、辞任するほどの発言ではないとの見方もある。しかし今回の批判は、その発言だけではなく、与党自民党の幹部を務め、党内最大の派閥を率い、自ら首相となり、安倍内閣を誕生させた有力な政治家ではあるが、政治活動の中での心ない言動やオリンピック・パラリンピック組織委の会長に就任してからも新国立競技場建設に当初予算の2倍以上の3,500億―5,000億円内外を掛けようとしたり、エンブレムでは盗作疑惑を掛けられたり、数々の不祥事起し、また小池東京都知事との確執など、とかくの風評があったから今回の問題に発展したとのであろう。国際的スポーツの祭典に国レベルにせよ世界レベルにせよ政治を持ち込むのはなじまないのかもしれない。
 その会長を武藤事務総長が組織のために慰留したとされ、事務総長自体も森発言の問題を理解していない。更に同事務総長は森会長が辞任した後も、新会長候補の指名に関与したり、新候補選びでは「候補者検討委員会」のメンバー選びが不明瞭な上、氏名を不公表とするなど、迷走に迷走を重ねている。同事務総長は、組織委の事務方トップとして森会長が引っ張った元財務官僚であり、組織委発足以来、上記の一連の不祥事を重ねて来ており、事務処理上も拙劣に映る。その事務総長が、「候補者検討委員会」の進行役を務めているようだが、一体この「候補者検討委員会」は何なのであろう。

 2、個人の平等も達成されていない日本
  男女平等は勿論支持するところだが、実は日本において国民の「個人の平等」が未だに実現されていないのが現状だ。
 民主主義の基本は、男女を含めて「個人の平等」であり、憲法にも規定されている。個人の平等を最も基本的に体現できるのは、国民の代表を国会に送る選挙であろう。しかし戦後国民1人1人の投票の重み、価値が1対1に近い形で平等な選挙が行われたことは1度もない。都道府県毎に選挙区が区割りされ、定数が割り振られているが、人口の少ない選挙区と多い選挙区では、1票の重みが衆議院では最大で3倍以上、参議院では5倍以上の状態が続き、選挙のたびに弁護士グループが憲法違反訴訟を提起して来ている。裁判においては、地裁レベルでは「憲法違反」とする場合もあったが、地裁レベルでも、最高裁においても「違憲状態」とされる場合が多く、国会の対応に委ねられて来た。しかし国会では時に微調整は行われたものの、長期に亘り抜本的な検討はなされなかった。そこで裁判所も国会へ対応を促すため、最近では衆議院で2倍以内、参議院で3倍以内なら違憲ではないと裁定するようになっている。それでも、都市圏の人口の多い選挙区では少ない県に比し、個々人の1票の価値は衆議院で2分の1以下、参議院で3分の1以下となっており、とても「平等」とは言えない状態が長期に続いている。男女平等どころではない。男女を問わず国民の平等は未だに確保されていない。
 最高裁の「平等」に関する考えは、「単なる1対1の関係が基準ではなく、地域など他の要素を考慮する」ということに尽きるようだ。この並びから言うと、男女平等も「単なる1対1の関係が基準ではなく、他の要素を考慮する」という解釈となり、女性への待遇等が男性の2分の1か3分の1以下でも許容されることになる。そうなのですよ。憲法の番人であるべき最高裁でさえも、建前では国民、男女の「平等」と言っていますが、「他の要素を考慮する」という恣意的な判断を加えることを容認しているということ。平等は原則1対1の関係という初歩的な算術も理解されていないようだ。これが現実なのでしょう。
 最高裁のこのような恣意的な「平等」が容認されると、男女平等についても、女性が男性の2分の1、3分の1でも容認されることになる。それが最高裁の本音なのかもしれないが、速やかな是正が望まし。
 最高裁の判事も、内閣により任命される公務員、時の内閣に不利になる判断を出せば、人事で不利にもなりかねないので、わきまえるしかないのは誰も同じと言えそうだ。しかし、そんなことでは3権分立の意味は薄れるばかりでなく、社会も、全体的な民主主義も進まない。
 国会は真に平等な国民の代表ではない。その国会で指名された首相も真の意味で国民の代表ではなく、その内閣に任命された裁判官も同様という負の連鎖が続いているように見える。これに意見が言えるのは、マスコミや学者を含む知識人なのであろう。
 しかし従来、マスコミや学者、有識者などもこの状況を許してきたと言える。マスコミやコメンテーター等もビジネスであるのでスポンサーや雇い主等を考慮しなくてはならないことは当然だろう。学者については、著名で国の各種委員会等で委員を務めている国立大学の多くの教授、研究者は国家公務員であり、言動には国家公務員としてわきまえなくてはならない。余計なことを言えば外される。全国には国立大学が86校(2020年4月現在)もあり、これ程多くの最高学府の学者、研究者が国家公務員であり、発言は自粛、制限される。自由な発信は望めない。いわば御用学者が多過ぎると言える。特に政治・社会・経済・歴史を含む人文科学、社会科学の分野では自由な発想、研究や表現は望めない。日本は、政治に縛られない生物化学、物理、及び文学の分野ではノーベル賞受賞者を出しており、喜ばしい限りだが、政治と密接に関係する社会科学の分野では1人も受賞していないことは、教育制度に国家色の強い偏りがあるからであろう。学問や表現の自由を確保する意味からも、国立大学の民営化と、学生の経済的負担を軽減し、平等の教育機会を与えるとの観点から、その予算を、将来負担を軽減した奨学金制度の拡充及び研究助成に振り向けることを検討すべき時期ではないだろうか。
 また最近情報系バラエテイ番組でお笑い系のタレントが重用されているが、お笑いの人からコメントなど聞きたくないという辛口の意見や、わきまえて話すお笑い芸人は面白くも可笑しくもないとの声がある。
 従って現実問題として、残念ながら日本は中から政治・社会・経済制度の改善、改革の動きは出にくく、今回のように国際社会からの批判や圧力、良く言われる「外圧」がないとなかなか動かないのかもしれない。それで良いわけがない。(2021.2.17.2021./2.20.一部加筆)
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日本学術会議会員拒否、国のあり方に重大な問題提起!(再掲)

2022-12-20 | Weblog
日本学術会議会員拒否、国のあり方に重大な問題提起!(再掲)
 政府は、日本学術会議により推薦された会員候補105名の内、6名を拒否した。同会議は首相が所管する独立の諮問機関で、210名(任期6年)で構成され、3年ごとに半数が改選される。今回は、8月に安倍首相(当時)に推薦されていたが、同首相辞任表明のため、管新首相に引き継がれたものである。
 日本学術会議としては、6名の任命拒否の理由説明と任命要請を内閣府の事務局に提出しており、前例のないこと、学問の自由を制約するなど各方面で問題視されている。
 1、 日本学術会議会員の任命権は首相にある
日本学術会議会は同会議法に基づき設置されており、会員は「同会議の推薦により、首相が任命」と規定されているので、任命権は首相にあり、任命拒否は可能である。因みに、会員の任期は6年、70歳までとなっており、罷免については特段の規定はない。
 管首相も、法律に基づき判断したとしている。また前例がないとの指摘に対しては、研究者の世界は閉鎖的でメンバーシップが既得権化する面があり、前例を踏襲しないこともあっても良いのではないか等とし、「学問の自由」には関係が無いとしている。
  確かに、日本学術会議の会員は特別職の国家公務員であり、手当も受けているので、政府の政策や立場に反対する者や野党支持をするなど政治信条の異なる者などを任命しないことはあり得るだろう。特に拒否された6名の内3名が国立大学の教授であり、もともと国家公務員であるので、政府の政策、立場に従うことは当然であり、国会その他の公の場や授業、或いは論文などにおいて政府の立場に反する立場を表明することは好ましくないと判断されるであろう。また拒否された6人とも、歴史や宗教、行政法、憲法など人文科学に属するグループであり、政府の政策や立場との関係が生じやすい。
  この点は、日本学術会議会に限らず、全ての政府の審議会、委員会の委員についても同様で、そもそも政府の政策や立場に反する者は委員に選ばれることはまず無く、また委員会などで反対の立場を述べる者は体良くお引き取り頂くことになり、再任されることはないようだ。

 2、日本学術会議のあり方が課題
  このような政府の解釈、対応となると、日本学術会議の今後のあり方自体が問題となり、岐路に立っていると言えよう。
 日本学術会議の会員は特別職の国家公務員であり、政府の政策や立場に従うことが期待される。これが常態化すると、いわば政府の御用学者の様相を呈することになる。またその下部グループとして連携会員が多数存在するが、将来会員となりたい者は御用化すること傾向となろう。
 (1)日本学術会議は独立性を保てるのか、御用機関化するのか
 こうなるとやはり「学問の自由」にも影響を与える。会員は、3部構成となっており、1部が人文科学、2部、3部が生命科学、理学及び工学を中心とする科学となっているが、人文科学に属する会員、連携会員が影響を受けやすい。まさに人文科学に属する6人だけが任命を拒否されている。「学問の自由」は、信条の自由や表現の自由と表裏の関係があるが、国会で野党推薦の証人として、例えば安保法制や共謀罪関係法について政府と異なる立場は取り得なくなり、会員、連携会員である限り、自由な研究は抑制されると共に、授業や論文なども影響を受けることになる。政府側は学問の自由に影響はないとしているが、当事者である教授が影響ありとしているので、影響があると考えるべきであろう。会員から外されれば「学問の自由」は確保されるので、影響はないとする考え方もあろうが、それでは著名で業績のある210名の会員と多数の連携会員は「学問の自由」は現実的には制約されることになる。これでは少なくても人文科学の分野では、自由な研究が出来なくなるであろう。
 また政府は研究助成として約4兆円の研究助成を行っているが、助成を受けるためには政府の政策や立場を忖度しなくてはならないので、自由な研究を助成し、研究を活性化させるという趣旨が損なわれ、また助成を検討する日本学術会議も自由な研究を促進する機関ではなく、変質する可能性がある。
 本来であれば、政府機関であるとしても、政府は、憲法で保障される信条の自由、表現の自由、学問の自由を尊重すべきであり、それを任命権や政府権限で制約することには疑問が残る。自民党は、現行憲法は日本になじまない点があるとして、憲法改正を「党是」としており、国家権限の強化や一定の自由の制限などを改正案に入れているようであるが、それを憲法解釈で実態を確保することは適正ではないであろう。
 日本学術会議が、独立性、学問の自由を重視するのか、政府機関として残るため人文科学を切り離すかなど、選択を迫られているようだ。
 (2)国家公務員である国立大学の教授の今後
 国家公務員と言えば、国立大学の教授等は国家公務員である。従って日本学術会議会員以上に、研究費の助成や研究内容、論文、授業内容、国会など公の場での発言には政府の政策、立場に反しないことが求められるのであろう。今回の問題が表面化したことにより、国立大教授等も国家公務員として一層の自覚が求められそうだ。
 しかし、そのようなことでは学問の自由や自由な研究や教育は望めそうにない。特に人文科学の分野がそうであり、日本は経済大国や技術大国等と言われ久しいが、経済学、経済政策等などの人文科学分野で日本人はノーベル賞を受賞していない。こんなことでは、いつまで経っても日本の学問は政府依存になり、御用学問の府となる恐れがある。政府の立場や政策に縛られ、或いは忖度しているようでは真の学問の自由はないのではなかろうか。
 もともと国立大学は行政分野での人材を確保することを大きな目的の1つとしているが、現在、これ程多数の国立大学が必要とも思われない。学生への無利子の奨学金や家賃を含む修学支援を充実させれば、国立大学はもはや必要とせず、より自由に学問を追究できるように私学化する時代ではなかろうか。それは私学と国立の教育費の負担衡平にもなろう。

 3、前例、既得権打破とはそういうことだったのか
 管首相は、就任に際し、「縦割り、既得権、前例主義の打破」を表明し改革を進める仕事師内閣とすることを打ち出した。保守党政権としては今までに無い斬新な姿勢として、一本調子の政府支出・国の借金の拡大と規制・既得権益擁護の屋上屋が重ねられ、いわば閉塞状況の日本において各方面で期待されていた。
 ところが今回の日本学術会議の会員任命拒否問題で、自民党参議院議員が、前例にとらわれない姿勢で、これが正に管首相の姿勢だと擁護する始末だ。
 安倍前首相は、党是である憲法改正を推進しようとしたが、与党内でも公明党が慎重な上、野党はじめ憲法学者などがその内容に懐疑的で実現することは出来なかった。国民の多くは改正に理解を示しているが、問題は改正内容だ。安倍前首相は、本格的な防衛活動が出来るように9条を改正する他、自民党の改正案に沿って政府権限の強化、一定の自由の制限などを望んでいた。その思想的背後には、任意団体の‘日本会議’があり、旧帝国憲法に沿った天皇権能の明確化、政府権限の強化、「教育勅語」の復活を含む一定の自由の制限などを支持し、そのような体制の下での「美しい日本」の建設を標榜しており、多くの保守系議員が賛同している。安倍前首相時代の森友学園問題は、「教育勅語」を教育に取り入れ、規律正しい教育を目指した森友学園に安倍夫妻が共鳴し、学園建設の促進課程で生じた問題である。恐らく、教育方針に賛同したことをきちんと国民に説明し、理解を求めていたらあのような公文書の書き換えなど、戦後最悪の行政失態には発展しなかったであろう。
 このような思想を支持する国民も少なくないが、国民平等に基づく民主主義、自由という基本的な価値に立脚した現行憲法を支持する国民層も多く、旧帝国憲法への回帰、専制主義的な政府、自由の制限などを懸念されている。従って憲法改正は内容、方向性の問題でなかなか進まないため、安倍政権は憲法解釈の変更、手直しで安保法制などの実現を図ったのであろう。それは1つの選択肢である。
 現在、日本学術会議任命拒否問題については、内閣委等で閉会中審査が行われ、野党を中心に内閣府事務方の追求が行われているが、首相は出席しておらず、事務方が木で鼻をくくるような一辺倒の答弁をしているが、一向に政策的意図が国民には分からない。事務方は、官邸首脳の主導で行われ、「それに従わなければ配転等を強いられる」ことになるので、必死に忖度し防戦している。官僚も人事の強権で震え上がっているから仕方ないのであろうが、大変気の毒である。森友学園問題や「桜を見る会」などで、文書を書き換えやデータを廃棄したのも、このような人事強権の下で起こったのであろう。官僚にここまでさせるのか。強権人事は行きすぎると、権力の乱用、恐怖政治化、専制政治化するおそれがある。が、一向に政策的意図が国民には分からない。事務方は、官邸首脳の主導で行われ、「それに従わなければ配転等を強いられる」ことになるので、必死に忖度し防戦している。官僚も人事の強権で震え上がっているから仕方ないのであろうが、大変気の毒である。森友学園問題や「桜を見る会」などで、文書を書き換えやデータを廃棄したのも、このような人事強権の下で起こったのであろう。官僚にここまでさせるのか。強権人事は行きすぎると、権力の乱用、恐怖政治化、専制政治化するおそれがある。
 しかし本来、官邸主導、政治主導で進める施策を、官僚に代理戦争させるのは筋違いであり、首相他が国会の論戦に応じ、きちんと対応すべきではなかろうか。
今日、日本は将来を左右する岐路にあり、どのような選択肢を選ぶか、国民が決めなくてはならない。(2020/10/08)
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平成時代は国民受難の時代、江戸の呪縛か!?

2022-12-20 | Weblog
 平成時代は国民受難の時代、江戸の呪縛か!?
 2019年4月に「平成」の時代は終わる。
 その平成の時代を振り返ってみると、「東日本大震災」、「地下鉄サリン事件など一連のオウム真理教事件」、「阪神大震災」などなど、日本中で大規模地震・洪水・山崩れなどの大災害や大事件の枚挙に暇がない。
 更に平成時代に入り「バブル経済は崩壊」し長期の経済停滞が続き、国家財政は膨大な負債を抱え、マイナス金利と「消えた年金」、消費増税に象徴されるように国民負担の増加と世代を問わない将来不安に見舞われ、国民受難の時代となっている。
 1、「即位の礼」と「大嘗祭」が例外的に‘江戸’で行われた時代
 そして「平成」時代に歴史上特徴的なことがもう一つある。
 平成天皇の「即位の礼」と「大嘗祭」が江戸城址を専用している‘皇居’で行われたが、明治、大正、昭和と3代とも京都で行われており、平成天皇がこの歴史に反し唯一の例外となっていることだ。例外的に新天皇の「即位の礼」と「大嘗祭」が江戸城址内で行われた時代が国民の受難の時代となった。‘江戸の呪い’か‘江戸の呪縛’か。
「平成」後の新天皇の「即位の礼」と「大嘗祭」も江戸城址である‘皇居’で行われるらしい。国民には未だ明確な説明がなされていない。少なくても詳細な説明はなされていないが、「平成」時代と同様に行われるものと見られている。しかし「平成」時代は歴史的には‘例外’であったところであるので、その例外を踏襲するということになり、何故‘例外であった平成’を踏襲するのか、何故、明治、大正、昭和3代と異なる場所で行われるのか、適正な説明が必要なようた。‘江戸城’を‘皇居’として塗り替え、江戸城という歴史的、文化的遺産を、歴史から抹消しようとしているのだろうか。‘江戸の呪縛’も踏襲するこということなのだろうか。
「大嘗祭」については、天皇家の一人が、皇室行事なので公費を使うべきではないと言われた。宮内庁長官にも伝えたところ、‘前回公費で行っており、政府予算の中に含まれている’として‘聞く耳を持たなかった’、‘残念である’と誕生日の記者会見の席で発言されている。皇室行事でありながら、天皇継承2番目になる殿下の考えを一蹴するとはどういうことだろうか。これでは天皇家が‘皇室行事’にも考えを反映することが出来ないことになる。首相官邸も同様の説明を記者会見で行っている。皇室を支える事務方の宮内庁や首相官邸が皇室を黙殺できることを示すものであり、一方で天皇象徴制の強化し、その権威を利用しつつ、天皇家の意見は聞かないという権力的で、非民主的な体制となっていることは懸念される。
 2、‘皇居’が‘江戸城’を歴史から抹殺か!?
 江戸城址を‘皇居’と称するのも、歴史を封殺するものではないだろうか。
最近外国人の観光者が著しく増えており、‘皇居’が外国人観光客の東京における人気の場所の一つになっている。‘皇居’を訪れる理由を外国人観光客にインタビューすると、「侍が好きだから」、「古くから残っている石垣(城壁)に興味がある」など、武士や城に関連するところとしており、侍の‘城址’として認識されている。外国人観光客は江戸城址に関心があるようだ。その場所を‘皇居’という名称で歴史的史跡である‘江戸城址’を覆い隠す結果となっており、日本人のみならず外国観光客に対して誤解を与えているようだ。多分、日本人でさえ、
‘江戸城址’として認識している人は少ないのかもしれない。‘宮内庁’が江戸城址内に設置されているのも歴史にそぐわない。
 明治維新後、天皇を擁する官軍が幕府軍に勝ったので、戦勝者である天皇派が江戸城址を占拠、使用することは容認されても、旧帝国憲法も天皇専制も廃止となり、民主憲法となっている今日、それが引き続き容認されるべきではないのではないか。新憲法では、天皇は軍の指揮権はもとより、統治権などは無い。その上‘国民統合の象徴’である天皇が、江戸城址を専用し続けることは、‘反幕府’、幕府支配の抑止・封殺を意味し、尊皇派支配を意味するので、‘国民統合の象徴’としてはふさわしくない。現状のままでは‘国家分断の象徴’、‘抑圧の象徴’と映ってしまう。
 明治以来の3代に亘る尊皇派支配は終わり、天皇は国民統合の象徴となっているので、天皇は京都御所に戻り、江戸城址は‘江戸城址’として国民及び世界からの観光客に開放すべきではないだろうか。いずれも経済的、社会的、文化的効果は大きい。(2018.12.2.)
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