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シリーズ平成の本音―新国立競技場見直しの責任問題、当事者能力の無さを露呈!

2016-04-02 | Weblog
シリーズ平成の本音―新国立競技場見直しの責任問題、当事者能力の無さを露呈!
東京オリンピック2020の目玉となる新国立競技場の建設について、放漫な建設計画として各界からの批判が強いことを背景として、迷走の挙句、安倍首相とオリンピック組織委会長の森喜朗元首相との会談後、白紙撤回され新たな建設計画に着手されることになった。
ところが総工費が2,520億円(実体的には3,000億円内外)となったことや、各界から強い批判があったにも拘わらず迷走し、対応を誤ったことについては、首相が‘最終的に責任は自分にある’と言っている以外、文科大臣、事業主体の(独法)日本スポーツ振興会理事長、オリンピック組織委会長・事務総長のいずれからも責任が表明されず、責任のたらい回し状態となっている。
 2020年東京オリンピック実施については、これまで文科大臣の下で、オリンピック組織委があり、国立競技場の事業主体である(独法)日本スポーツ振興センターがあるので、いずれにも責任がある。しかし安倍首相とオリンピック組織委会長の森喜朗元首相との会談後にやっと白紙撤回され、新たな建設計画に着手することになったことから、元の案に固執し迷走を長期化させた責任はオリンピック組織委会長にあったえことは誰の目からも明らかだ。
 それを検証する第三者委員会は、6人の委員で構成され、8月7日に初会合を開き、柏木昇東大名誉教授を委員長に選び、9月中旬にも報告書を取りまとめることされている。第三者委員会に責任を検証させなくてはならないこと自体が無責任な体制を露呈した形だが、第三者委員会は独立の権限があるわけではない上、委員長の東大名誉教授は、文科省所管の国立大学の公務員であるので、担当大臣に責任があるなどとは言える立場ではない。また文科省が所掌する(独法)日本スポーツ振興センターや組織委の会長に対しても同様で、結論は曖昧なものになることが見えている。
 元オリンピック選手の為末大氏が委員になっているが、スポーツは文科省の所掌であり、担当大臣やスポーツ関係団体上層部の責任を追及するようなことは出来ないであろう。他の4人の委員もそれぞれ経理、法律、建築技術等の分野の専門家でしかない。
 報告書の原案は事務方が作成し、若干のコメント等は行うとしても、他のこの種有識者会議同様、基本的には第三者委員会はこれを了承するという形となるのであろう。
 政府は、各種審議会、委員会の他、最近では‘有識者会合’と称する外部委員の会議を多用しているが、今回の第三者委員会同様、構成する委員が国・公立大学の教授等の公務員で政府関係部局が所管する下部組織関係者であったり、直接の利益関係者であったりすることが多いので、公平性、客観性において偏向が強い上、事務は行政当局が担当するので、あたかも外部の意見も聞いたという体裁を整える、或いは蒸気抜き的なもの以上の効果は期待できない。また首相の下の経済諮問委員会などで、‘民間議員’という用語が保守系紙などで使われているが、‘議員’というのは選挙で国民から選ばれた者として一般的に使われており、国民から選ばれた者でもない民間人をあたかも選ばれた者のように‘民間議員’と呼ぶのは、紛らわしいだけで不適切だろう。
 各省庁の審議会や委員会については、独立の権限もなく屋上屋の無駄であり整理すべしとの指摘がなされて来たが、有識者会合や第三者委員会等についても、乱用は責任逃れと受け取られ、必要性自体が問われても仕方がないであろう。(2015.8.9.)

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