静岡県の各地の茶園で3月30日朝、新芽が凍る凍霜(とうそう)害が発生したのを受け、県などは12日、被害実態の一斉調査を実施した。
県内35カ所の茶園に設置した温度計のデータなどから、凍霜害の恐れがある氷点下の冷え込みにさらされた茶園は、全栽培面積の65%の1万2000ヘクタールと推定される。近くまとめる詳しい状況を踏まえ、栽培、製造支援に乗り出す。
調査は、各地の県農林事務所とJA静岡経済連の茶担当者37人が12班に分かれて行った。同経済連が生育調査園と定めている茶園など計103カ所で、被害を受けた芽数を数えるなどして、被害程度を確かめた。
県によると、新芽が凍って壊死(えし)しても、次の芽が伸びて収穫できることも多い。山間地ではほとんど影響のない場所もあり、状況はさまざまという。
川勝平太知事は12日の定例会見で、「調査で(被害状況が)はっきりすれば、それに応じたきめ細かな支援をしていく」と語り、19、20両日も引き続き、調査を進めることを明らかにした。
凍霜害が目立つ牧之原台地(牧之原市など)の茶農家からは「かつてない被害」と懸念する声も上がっている。
同じ茶園内でも、新芽の伸びに濃淡があり、機械で一気に摘み取れないため、各農家は手摘みなど手間のかかる作業を強いられそうだ。
一方、茶を加工販売する茶流通業者も、新茶商戦がピークを迎える5月2日の「八十八夜」を前に必要量が発送できるか、気をもんでいる。
県内 15、16日に低温予想
農作物注意を呼び掛け
日本列島の広い範囲で14日から17日にかけて、この時期としては強い寒気が流れ込み、気温が平年よりかなり下がるとして、気象庁は低温や遅霜による農作物の被害に注意するよう呼び掛けた。
同庁によると、今週半ばの関東地方は、上空1500メートル付近で零度以下の寒気にすっぽり覆われる見通し。地表付近でも、所によっては最低気温が零度前後まで下がるなど、平年より7度前後低い気温になるとみられる。
静岡地方気象台によると、静岡県内は15日から16日にかけて、気温が平年よりかなり低くなる見通し。
静岡市の平年の最低気温は10度、最高気温は18度だが、平年を5度前後下回るとみられる。
同気象台は、県内でも霜への警戒が必要だとしている。
12日の県内は低気圧の影響で雨。最低気温は静岡9・7度、浜松11度と平年並みだった。13日は20度前後まで気温が上がり、14日はほぼ平年並みの暖かさとなる見込み。