網戸を一所懸命眺めていると思ったら
向こう側に、虫が一匹、止まっていました。
テントウ虫に似た虫です。
珍しいのか、Cocoさんはずっと
見つめています。
「網戸に、悪い虫がついています。
中に入れてあげましょう」
おそらく、たいして悪い虫ではないでしょうが
中に入れてあげることはしませんよ。
そんなことをしたらあなたが
虫も殺さぬような顔をしながら
いろいろひどい仕打ちをするに、
決まっていますから。
「ふんっ。残念・・・」
思惑が外れて、
腹の虫がおさまりません。
そうやって家の中から
首を傷めない程度に
眺めているのが一番いいですよ。
ところが、ふとした拍子に
虫は網戸を離れて、
飛んで行ってしまいました。
「寂しくなりますね・・・。
私の顔が
虫が好かなかったのでしょうかね」
すっかり、気落ちしてしまいました。
「もしもいっしょ遊べたら
あんなことやこんなことがしたかったのにね」と
虫のいいことを考えている様子です。
外がすっかり暗くなってしまってからも
時々思い出しては
捜している様子でした。
ところが。
次の朝、虫はちゃんと
戻ってきたのです。
網戸の外側、
昨日より高い位置ではありますが
Cocoさんもすぐに気がつきました。
「やあおかえりおかえり。
あなたが帰ってくることは
わたしにはちゃんとわかっていましたよ。
虫の知らせがありましたから」と
得意顔。
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