Cocoさんが日向でうたた寝をしていると
すぐ後ろに、たれぱんださんがせまってきました。
そんなに近づかれたんじゃ、寝にくいねえ、と
向きを変えてみて
Cocoさんはびっくり。
たれぱんださんの
目と口がありません!
残っているのは両側の黒い耳と
真ん中の丸い鼻ばかり。
やや。これはどうしたことでしょう。
普段から
Cocoさんの素晴らしさが
ちっともわからない、たれぱんださん。
見る目のないぱんだ、ということは知っていましたが
そのせいか、とうとう本当に
見る目がなくなってしまったのでしょうか。
あるいはCocoさんが、ちよっと目を離したすきに
たれぱんださんも、ちょっと目を離してしまったのでしょうか。
おまけにすっかり
無口になってしまいましたね。
ところがその鼻さえも
ふとしたすきに
消えてしまったのです。
黒い二つの耳だけが
白い顔の両側に
寂しそうに残されています。
落ちていませんね。
たれぱんださん、なにかをしでかして
合わせる顔がないのかもしれませんが
こんな時こそ、元気づけてあげなくてはいけません。
友だちですからね。
その時
「Cocoさん、こっちこっち」と
たれぱんださんが呼ぶ声が聞こえました。
「ふふふ。驚いたでしょう。私の顔はこっちですよ」
なんと、顔が消えたわけではなく
ただ、たれぱんださんは、向きを変えただけなのでした。
これは、Cocoさんを驚かせるための
たれぱんださんのいたずら。
「なあんだ。びっくりした。
しかしそんないたずらなら
私にだってできますよ」とCocoさんは言いました。
ほーら。
ちょっと長い鼻のある
人間の顔に見えるでしょう。
両側の脚が、耳に見えるところも
たれぱんださんに負けていません。
だれか通りかかって、びっくりしてくれないかな・・・。
そう思いながら待っていましたが
ふと、Cocoさんは考えが変わりました。
どうせなら、人を驚かすより
笑わせる、わんこになろう。
その方が楽しいような気がします。
「そうだ。鼻(はな)しかない顔に
なって思いついたのだから
はなしか(噺家)になろう!」
そう決めて
たくさんの人に笑ってもらうために
精進しようと決めたのでした。
きっとセンス(扇子)が
あることでしょう。
・・・・・・
おしまい♪
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