全てを忘れるその日まで

~明日への遺書~

10年

2019年10月17日 | 日記
今日は姉の命日



姉が静かに眠るお寺を訪ねます



 




金剛院
 


 


 


 




お墓は山門をくぐって右
 


 



持って来た缶コーヒーを墓前に供え


両手を合わせじっと目を閉じ


しばし姉と会話します



「久しぶり」(ほんと)


「まだ一人だよ」(知ってるよ)


「ばあちゃんは?」(傍にいる)


「ラムと遊んでやってる?」(いつも遊んでるよ)



閉じた私の両目に映るのは


病院のベッドに薄くなって横たわる姉じゃなく


車ですれ違うたびに笑顔で大きく手を振っていた元気な姉


聞こえてくるその声は


最後に聴いたかぼそいうめき声じゃなく


はちきれんばかりの生命をたたえた大好きだった声



「父ちゃん母ちゃんもだいぶ歳とったよ」(そうだね)


「まぁ もちょっと 健康でいさせてあげて」(うん)




懐かしいその姿はすでにこの世界のどこを探しても見つからない…


でも


ここに来ればいつでも姉を感じることが出来ます




 





あの日から10年…



愛する旦那さんと二人の娘をこちらに残し


無念のうちにひとりむこうに旅立った姉の魂は多くの修業を積み


もうすっかり落ち着いたかな







あの日から10年…




 




私だけが


なにも成長できず 


ただ 何となく生きています




 




あの日


もし誰かが死ななければいけなかったのならば



その役目



姉じゃなくて


私だったらよかったのにな