どシリアスなマヌケの日常

毎日毎日、ストーリー漫画を描き、残りは妄想.,いや構想の日々の日記。

愛情の行方5イノセント マリ

2022-04-28 17:43:00 | 日記


ラストシーン。
マリは、進展しない大輝とのお付き合いに見切りをつけ、大久保という男に乗り換えます。理由は、マリを好きだと言ってくれた事と、顔以外のスペックは大輝と同じだったから。
一年付き合って30手前に結婚することになります。が、大久保が二股をかけていて、そっちの女が妊娠して破談になります。

仕事は続ける気で辞めなかったのが救い。周りの人たちは「貴方は悪くない。大丈夫?」と言ってくれますが、影では「大久保に引っかかったバカ女」と言われているのも知ってます。

大輝は相変わらず、他人と群れずランチは社食で1人。スマホをやっている。
「何してるの?LINE?」と訊ねると「うん。彼女とLINE」と答えます。
「僕はイノセントな女性を探してた。やっと見つけた。僕は人間の本性が色で見える。意味も分かる。浮気癖があるとかね。君は人と自分を比べて上に居たい人。悪い人じゃない。普通の人。君と付き合ったのは、人間は変わるのかどうか知りたかった。変わらなかった。君から別れを言ってくれて助かった。僕から言ってたら大変だっただろう。」

マリは色が見えると言った大輝の話が聞きたくて大輝のアパートに押しかけます。
自分の部屋まで押しかけてきたマリに大輝は怒ります。
「色の話が聞きたい?嘘だね。自分が得をするためなら何でもしそうな色をしている。そうだね。ヨリを戻したいとか。戻すものなんか何も無いのに。
知りたいなら15年前の渋谷のスクランブル交差点で起きた殺人事件のことを調べたらいい。裁判記録もね。人のスペックとかに興味があるだけならやめたほうがいいよ。面倒臭いから。」と言ってドアを閉めて鍵をかけます。

マリがネットで漁って分かったことは、大輝の父親の不倫相手が別れ話のもつれから父親の従姉妹を刺し殺したこと。父親は、まだ弁護士事務所を渋谷でやってること。

父親にその事件の話を聞きたいと事務所に電話をするといいですよと会ってくれることになり、父親から事件の真相と大輝の色で人の本性を見抜く力の話を聞きます。

父親は「私は、あの女とは深い関係ではありませんでした。でも、証明する術はありませんでした。刑事罰は受けませんでしたが、社会的制裁を受けました。面白おかしくマスコミに取り上げられ、ネットに晒され、仕事はダメになり、離婚しました。子供達は私を嫌っています。
私と妻は、とても仲が良かった。幸せな家族だった。裁判で私の仮面が剥がれて、汚い本性を見てしまったんだから当たり前ですよ。関係はなかったけれど、下心はありました。本当は妻が止めてくれなかったら、そうなってたでしょう。神様は見てますね。今は罰みたいなものです。
あれから、息子は性格が変わりました。特に恋愛に対する姿勢がね。私に似てたんですがね。」

帰り道、マリは大輝と付き合った2年間、彼の心にある大きな傷にも気づかず、愛されているのかとか結婚したいとか、そんな事ばかり考えていた自分が見えます。
外見とスペックで人間を仕分ける厚顔無恥な欲深い豚のような自分。

この涙は悲しみではありません。
少しでもイノセントに自分の人生を歩くと決意した人間の再生の涙です。