ASEAN首脳会議でも批判をくらった中国の傍若無人…南シナ海では「強盗まがいの振る舞い」とフィリピンもカンカン
南シナ海のミスチーフ礁で中国が進めている埋め立て作業=2月(フィリピン政府当局者提供・共同)
アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加表明が57カ国に上り、設立を主導する中国は気をよくしているようだが、大国としての信頼感が高まっているわけではない。中国が南シナ海で傍若無人な振る舞いを重ねているとし、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国から怒りの声が絶えない。4月には、中国当局の警備船がフィリピン漁船から獲物の魚を強奪したと比政府から非難を向けられる始末。国際的な批判も意に介さず、スプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺の岩礁埋め立ては急ピッチで進行中で、国境を接する周辺国との緊張関係は緩和されていない。
「わが家の庭の工事…」と主張する中国
「砂の万里の長城」-。ハリス米太平洋艦隊司令官がこう比喩した中国の南シナ海での岩礁の埋め立ては、広範囲に及んでいる。
共同通信によると、米国防総省当局者が明らかにした推計では、中国による南シナ海での埋め立ては計約8平方㌔になる。東京ドーム約170個分の広さに相当する。
サンゴ礁が大規模に壊され、海洋環境への悪影響が心配だが、中国はまったく動じていない。そもそも自国の主権内での建設なので、他国からとやかく言われる筋合いはないとの立場を徹底しているからだ。共同通信によると、中国の王毅外相は3月8日に北京で開かれた記者会見で、「わが家の庭で工事をしているときに他人からあれこれと指示は受けない」と言い放ったほどだ。
埋め立ては、滑走路の建設が可能な規模に達し、中国当局が軍用施設を作るのは時間の問題とみられている。南シナ海は世界でも最も航行の多い海域で、海洋権を確立することは経済的な支配力の強化につながる。南シナ海で全面的な航行制限が行われれば、中東からの日本への原油を運ぶ大型タンカーの航行にも深刻な支障が生じる恐れがある。