今日、手で作られていたものはすべてコンピューターでうまく作ることができるようになったようだ。これは3Dプリンターのおかげだ。輪切りに分解した設計図を樹脂の薄い層を吹きつけて少しずつ立体に積み重ね、熱で溶融する。仕上がりも、プラスチック、陶器、粘土、ゴムなどさまざまな素材に対応できるようになった。最近の3Dプリンターの技術はより精巧になり、作ることのできるものは広範に渡り、驚くばかりだ。費用効率もよく、一般のわたしたちでも購入できそうなリーズナブルな3Dプリンターはけっこうたくさんある。
10.クールなギター
このエレキギターは、システムエンジニアでミュージシャンでもあるオラーフ・ディーゲルによって、3Dプリンターで作られたもの。黒と赤のクモの巣のような精巧なつくりのボディの中にクモがいるデザインで、サウンドも通常の木材のギターと比べて遜色ない。3500ドル(35万円)で手に入る。
9.地殻
アルバータ大学の土壌科学者のチームが、3Dプリンターを使って、わたしたちの足元にある複雑な世界を発見したという。3Dスキャナーで、精巧な地殻の型をつくり、それを3Dプリンターにアップロードして印刷、奥行きを与えた。実際に手を触れることができ、バクテリアやその他の微生物を仕込んで、それらがどのように動き、栄養を見つけ、地中で生活するのかを観察することができる。
8.犯罪現場
米テレビドラマ”CSI”好きなら、犯罪現場は手つかずで保存することが、事件解決にはなにより大切なことは知っているだろう。ここでも、サイバールミノールを吹きかけるために、3Dプリンターを使うのは、今や現実になりつつある。
全国の警察は、ますます科学技術に精通し、最新の犯罪解決デバイスを購入して、さっそくニューメキシコ州ロズウェルで実際に活用し始めたようだ。3Dスキャナーのネットワークを犯罪現場に設置し、数ミリメートルの範囲まで正確な現場全体の詳細な模型を作る。それをもっと小さなサイズの模型に“印刷”し、裁判に持ち込んで、犯人を追いつめることも可能というわけだ。
7.医療模型
医学部の学生が、骨の構造やそれが人体にどのようにおさまっているかを学ぶには、高価な人体模型が必要だ。骨の模型は作るのが複雑で、皮膚に似せたゲルでコーティングしなくてはならない。しかし、3Dプリンターを使えば、こうしたプロセスが一気に簡単になる。前準備はいろいろ必要だが、鋳型なしで、どんな患者の骨格も作ることができる。
6.胎児模型
3Dや4Dエコー(超音波画像)で、心待ちにしている両親にお腹の赤ん坊の画像を提供することはできるが、さらに3Dモデルを使って、実物大の胎児、いわゆる3Dベイビーまでできるようになった。提供できるサイズも2インチ200ドルから、8インチ800ドルまでさまざまある。
5.取り換え可能なすべてもの
ますます技術が高度になるにつれ、驚くべきものが取り換え可能になってきた。義手など体の一部は、手頃な値段で入手できるようになったおかげでますます当たり前のことになっている。人間の頭蓋骨全体を取り換えるといったことも、もうSFの世界の話だけではなくなっている。研究者たちは、人の耳の3D画像を撮影し、これを元に3Dプリンターで型を作成。プラスチックと銀ナノ粒子を使って、人口耳を作り、その聞こえの機能も従来の耳よりも優れているという。
4.ミクロなレーシングカー
3Dプリンターをもってしたら、そのサイズは問題ではない。ウィーン工科大学の研究者たちは、実物大のものを正確に再現するのに飽き足らず、顕微鏡サイズの驚くほど小さなものを詳細に作る、新たな3Dプリンターを開発した。その結果できあがったのが、ナノメートルサイズまで細かいレーシングカーの高解像モデルだ。
3.幹細胞
幹細胞を人工的に作ってしまうことは、微妙な問題を孕んでいる。幹細胞は白紙の状態なため、さまざまな可能性が秘められていて、人間の体のどんな細胞にもなりえるからだ。
クローン羊ドリーのふるさと、スコットランドの研究者たちは、生存可能な幹細胞をプリントすることができる細胞プリンターを開発した。栄養分に富んだ細胞培地から成るバイオインクと幹細胞を混ぜ合わせるのだ。このやり方ですべての臓器を作るのが彼らの目標だ。
2.肉
環境保護論者は常に家畜産業に異議を唱え、肉の値段は上がるばかり。ステーキを食べるのも遠慮がちだ。そこで、3Dプリンターで合成肉を作り、成功した会社がいくつかある。2012年には、モダン・メドウスという会社が、さらなる研究のために35万ドルの助成金を受け、ドイツのバイオズーンという会社は、高齢者が楽に食べることのできる軟らかい肉を人工的に作り出している。
1.月の家
ささやかでもマイホームが欲しいのはいつの時代でも人々の夢だ。もし、月にマイホームを作ることができるとしたら? しかし、これには大きな問題がある。森もなにもない月に建築資材を持っていかなくてはならない。そこで、ユーロピアン・スペース・エージェンシー(ESA)は建築家と協力して、3Dプリンターを使って月にある材料を混ぜ合わせ、現実的な建築物をつくる可能性を見出そうとしている。
via:therichest・原文翻訳:konohazuku