何かがパチンと弾け、滞っていた気持ちがいきなり流れ始めた。
この詩に出会った時・・・そのくらいの衝撃を受けた。
なんというのか。
テーブルを拳で思いっきり殴りつけた時のような・・・
自分の感受性くらい/茨城のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ