―はじめに―
これは「テニスの王子様」の二次創作小説です。
BLが苦手な方・BLの意味が分からない方は今すぐ引き返してください。
設定も随分変えています。
設定についてはこちらをお読みください
2月28日と3月1日の2日間にわけて連載しています。
まずは、2月28日のほうから読んでくださいね。
テニプリ好きの方、感想ください!
風がかすかにざわめいている。
木々の葉がさわさわと揺れる。
この風を利用したい――、不二の頭の中ではもうシミュレーションはできていた。
『白鯨』、ハーマン・メルヴィルの長編小説だ。今読みかけているそれの名を、技にもらいたいと思っている。
でも、なかなかうまく形にならない。
技はひょんなことからできあがる。
不二は、今日は諦めて、帰路につくことにした。
「もういいのか?」
「うん」
「そうか」
放課後、いつものように手塚・大石・不二・菊丸の4人で帰ることになった。が、駅について手塚は、今日は不二の誕生日の贈り物を買うからということで、そこで分かれた。
「手塚ぁ。不二をめろめろにするもの買っちゃえよ!」
菊丸がふざけていう。
「もう英二ったら」
菊丸は不二の恋心を知っている。どうやら中一のころの僕の瞳には熱い恋心が溢れていたらしい。だから瞳を細めた。僕の恋心を隠すため。そして、僕はついこのあいだの中二のバレンタインデーのとき、ようやく告白してみたのだ。姉さんにも手伝ってもらった手作りのガトーショコラとトリュフをあげた。不二としてはどきどきものだったのだが、案外ふつうに渡せた。手塚は
「ありがとう」
といって受け取っただけだった。
夜、電話が鳴った。もうベッドに入っていつものように手塚の顔を思い出しては幸せな気分を味わっていた不二は、携帯電話をみて驚いた。
「手塚?!」
「不二。いま、おまえのうちのそばにいるのだが、出てこられるか?」
「う、うん!待ってて!」
「ああ。寒くないようにしてから来い」
時間をみれば、真夜中12時の5分前だ。
パジャマの上からオーバーコートを羽織って、まだ寒い風の吹く外にとでる。
手塚が、いた。
「手塚!」
「不二」
手塚は懐中時計をみた。その懐中時計は中二の手塚の誕生日に不二があげたものだ。手塚は、ようやくまた口を開いた。
「誕生日、おめでとう」
「ありがとう手塚…」
吐く息が、ほわあと白い。
「サボテン柄のスポーツタオルだ」
「手塚……」
なんていえばいいんだろう。
「好きだよ?」
「――ああ」
手塚は微笑んだ。
それから二人が付き合うようになる高校一年まであと二年の時を待たなくてはいけない。
不二は勤めている病院についた。
今年は何をくれるんだろう?
その中二のときから、手塚にもらったものはすべてがキラキラとした想い出だ。
そう、舞ってきたこの雪にさえ匹敵するほどの。
美しい想い出である。
End.
これは「テニスの王子様」の二次創作小説です。
BLが苦手な方・BLの意味が分からない方は今すぐ引き返してください。
設定も随分変えています。
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2月28日と3月1日の2日間にわけて連載しています。
まずは、2月28日のほうから読んでくださいね。
テニプリ好きの方、感想ください!
風がかすかにざわめいている。
木々の葉がさわさわと揺れる。
この風を利用したい――、不二の頭の中ではもうシミュレーションはできていた。
『白鯨』、ハーマン・メルヴィルの長編小説だ。今読みかけているそれの名を、技にもらいたいと思っている。
でも、なかなかうまく形にならない。
技はひょんなことからできあがる。
不二は、今日は諦めて、帰路につくことにした。
「もういいのか?」
「うん」
「そうか」
放課後、いつものように手塚・大石・不二・菊丸の4人で帰ることになった。が、駅について手塚は、今日は不二の誕生日の贈り物を買うからということで、そこで分かれた。
「手塚ぁ。不二をめろめろにするもの買っちゃえよ!」
菊丸がふざけていう。
「もう英二ったら」
菊丸は不二の恋心を知っている。どうやら中一のころの僕の瞳には熱い恋心が溢れていたらしい。だから瞳を細めた。僕の恋心を隠すため。そして、僕はついこのあいだの中二のバレンタインデーのとき、ようやく告白してみたのだ。姉さんにも手伝ってもらった手作りのガトーショコラとトリュフをあげた。不二としてはどきどきものだったのだが、案外ふつうに渡せた。手塚は
「ありがとう」
といって受け取っただけだった。
夜、電話が鳴った。もうベッドに入っていつものように手塚の顔を思い出しては幸せな気分を味わっていた不二は、携帯電話をみて驚いた。
「手塚?!」
「不二。いま、おまえのうちのそばにいるのだが、出てこられるか?」
「う、うん!待ってて!」
「ああ。寒くないようにしてから来い」
時間をみれば、真夜中12時の5分前だ。
パジャマの上からオーバーコートを羽織って、まだ寒い風の吹く外にとでる。
手塚が、いた。
「手塚!」
「不二」
手塚は懐中時計をみた。その懐中時計は中二の手塚の誕生日に不二があげたものだ。手塚は、ようやくまた口を開いた。
「誕生日、おめでとう」
「ありがとう手塚…」
吐く息が、ほわあと白い。
「サボテン柄のスポーツタオルだ」
「手塚……」
なんていえばいいんだろう。
「好きだよ?」
「――ああ」
手塚は微笑んだ。
それから二人が付き合うようになる高校一年まであと二年の時を待たなくてはいけない。
不二は勤めている病院についた。
今年は何をくれるんだろう?
その中二のときから、手塚にもらったものはすべてがキラキラとした想い出だ。
そう、舞ってきたこの雪にさえ匹敵するほどの。
美しい想い出である。
End.