―はじめに―
これは「Axis Powers ヘタリア」の二次創作小説です。
BL小説ではありません。
ギャグ小説のつもりです。
どうぞ楽しんでお読みくださいませ。
途中、聖杯堂とかいうオリジナル設定がでてきますがご了承ください。
ヘタリア好きの方、感想ください!
イタリア誕生日
朝だ。しかし眠いな…。
目をこする。
ベッドの隣にすやすや寝息をたてているのは、弟のイタリアだ。
「兄ちゃん、俺、一人じゃ怖くて眠れないよ~」
夕べもそう言って、俺のベッドにもぐりこんできた。
「はあ?誰がおまえなんかと寝るか!ムキムキと一緒にすんな、ちくしょーがー!」
言うも虚しく、イタリアは俺、ロマーノの隣で枕をかかえ、天使のような寝顔を見せていたのだった。
ドイツは、がばっとその日は目覚めた。汗をうっすら浮かべている。それというのは、彼は、兄・プロイセンがほうきでじゃんじゃかじゃかじゃかギターを弾いたあと、そのほうきに自分も乗せて二人で飛び乗って世界一周する夢をみていたのだ。現実主義者のドイツからしてみれば、それは恐ろしい夢に分類されるものであった。
ベッドの脇のカレンダーには、3月17日、イタリアの誕生日と書かれている。
「そうか、あいつらは今日誕生日か…」
何かお祝いの品でも用意するか、と思ってベッドを抜け出したドイツだった。
「今日、ですね…」
日本は布団にぬくぬくまだくるまっていたい気持ちを断ち切って、畳の上に正座した。
もうすぐ春だ。
いまは桃の季節は終え、桜はまだであり、梅やぼけの花が、美しく庭に咲いていた。
縁側にでれば、その様子が映えて、日本はふっと軽く笑みをこぼした。
「イタリアさんとロマーノさんに、プレゼントをあげましょう」
そう独り言をつぶやいた。
「起きろ、ばかやろー!」
「うわ、兄ちゃん、怒らないでよ~。なんでもするから、ぶたないで~」
そう言って、イタリアは俺のベッドから枕を抱えたまま飛び出た。相変わらずの言いようだな、そう思う。
「なんでもするんだろ?朝ごはん作れ、このやろー」
「わ、わかったから!パスタ作るね、俺!」
「当たり前だぞ、ちくしょー。トマトを忘れんな!」
「う、うん!トマトね!」
神聖ローマは深い眠りに落ちたままだった。
「むにゃむにゃ」
寝返りを打つ。
「イタリア…、好きだ…」
しかし、国として忘れ去られた彼を起こす者は誰ひとりとていなかった。
――いや、いた。
パァンッ。
「いったい、いつまで寝こけているのですか!このお馬鹿さんが!」
オーストリアはぷんぷん怒っていた。
「いったいー」
神聖ローマは片頬をおさえる。
「ギャグ言っている場合じゃありません!このお馬鹿さんが!」
「えーと、俺は…」
「ここがどこか聞きたいんでしょう?」
「う、うん…」
「聖杯堂ですよ。私は貴方の監理者として、迎えに来たわけです」
「聖杯堂…?」
「そうです。滅びた国が眠る墓地みたいなところですよ、それくらい常識でしょう」
オーストリアは眼鏡をくいっと上にもちあげた。
「そ、そうなのか…?あっ!」
「なんです?」
「イタリアは?!」
「まったく…そればっかりですね、貴方は。今日はイタリアの誕生日、3月17日です。ですから、私が迎えに来たわけですよ、察しなさいそれくらい。このお馬鹿さんが!」
「イタリアの誕生日!」
「ええ」
オーストリアはうなづいた。
「あとは貴方しだいです。聖杯堂から抜け出せる時間は1日のみ。必ず、24時間のあいだにここに戻ってくるのですよ、いいですね?そうしないと奈落の底に突き落とされて、私さえ貴方を呼びにいけなくなります。それから、この魔導書が貴方のキーです。説明は以上です。分かりましたね?」
「この魔導書を身に着けて、イタリアのところに行けばいいんだな?」
「そうです。では私もイタリアの家にいく予定ですから、またそこでお会いしましょう、いったんはさようなら」
「ああ…」
オーストリアは足早に去って行った。
神聖ローマはすくっと立ち上がった。
「いっぱいお菓子作って待ってると言ってくれていたけど……、そうなのか?イタリア」
「うわーん、兄ちゃん、俺、なんだかとってもお菓子つくりたい気分なんだー。作らせてよー。だってなんだか神聖ローマが来るかも、ってハンガリーちゃんが電報で知らせてくれたんだよ~」
「だめだ、俺がトマトソースパスタを作ってからだ、ちくしょー。おまえなんかに任さないで最初から自分でやればよかったぜ」
「うわーん、ドイツぅ~助けてよぉー」
「どうした!イタリア!」
「――げっ、ムキムキ!なんでいきなり現れるんだ、ばかやろー。慌てすぎて少し零しちまったじゃねぇか!責任とって拭け、ちくしょーがー」
「ん?そ、それはすまないな…」
「ドイツだぁ~。わあい!これで俺ようやく靴ひも結べるよ~。兄ちゃんに結んでっていうの怖くて言えなかったんだよね」
「まったく。おまえはいつもいつも…ほれ」
「ありがとう~ドイツぅ」
「拭けー!」
「ああ、そう怒鳴らなくても分かった」
ドイツはかがみこんで床にこぼれたトマトソースをタオルでぬぐう。
「誕生日おめでとう、イタリア、ロマーノ。こんなカオス時に悪いが」
「ああ。覚えていたのか、ムキムキにしてはやるじゃねえか、ちくしょー」
「ドイツ~俺忘れてた!俺と兄ちゃん、今日が誕生日だったねー」
「「おいっ」」
「だから神聖ローマ来るんだー、なーんだ、そーゆーことかぁ!」
俺――ロマーノ――は怒り炸裂パスタがゆであがったころ、台所をイタリアにゆずった。
「えーとねー、まず卵でしょー。それから牛乳と砂糖~、できたらバニラエッセンスも!あ、あと小麦粉を忘れちゃいけないね」
「「当たり前だ、ばかやろーっ」」
ぞくぞく人がイタリアの家に集まってきていた。
その中で指揮をとっているのはハンガリーだ。
「ま、セーシェル。いらっしゃい」
「うぃ。プレゼントのふたごやし持ってきました」
「ごきげんうるわしゅう、セーシェルさん、ハンガリーさん」
「「リヒテンちゃん!」」
「っ…、我輩は奥で独り待っているのである。あとで必ず来るのだぞ、リヒテン」
「兄様、はい。わたくしもすぐ参ります」
「そ、そうか…」
「ロマーノ!親分の元気になる魔法、かけてやろか?」
「ちくしょーがー。俺はもう子どもじゃないんだぞ、このやろー」
「親分にとっては、ロマーノはいつでも、子どもやで」
そう言われて頭をぽんぽんたたかれる。俺は真っ赤になりながら、飛びのけば、
「ぷっ…トマトみたい…」
と笑われた。
「笑うな!」
「ま、あそこで扇を翳(かざ)しているのは日本さん?」
「お、ほんとだ。おーい日本さーん」
「ハンガリーさん、セーシェルさん、おはようございます。ハンガリーさん、これは扇子というわが家の伝統工芸です」
「センス?」
「はい、扇子です」
「日本だ~!」
「おや、イタリアさん。誕生日おめでとうございます」
「ありがとう日本!俺、めっちゃ嬉しいよ!」
「イタリアさんにはこの扇子をプレゼントしようということで…、少し、待ってくださいね。いま包装紙にくるみますから」
「えー、いーよー、どうせ破くんだし、紙もったいないよ~」
「ですが、わたしの家では、紙につつんで贈り物をあげると、その贈り物の純潔さが守られるという伝えがありまして。やらせてください」
「そこまで言うなら…。俺照れちゃうなあ~」
「よっ、イタリアちゃん!」
「プロイセンだぁ」
「誕生日おめでとうだぜ!ケーセセセセ!」
「ありがとー」
「あっ、ちょっと、プロイセン待って。なんでこんなところにまでわたしの幼いころの写真持ってくるのよ!」
「おっと、これは取らせやしないぜ!」
「なんだよ、こんな大勢集まって…だいたいまとまってないじゃねぇか」
イギリスが来た。
「う、うわっと?」
「あー!」
「どうした!イタリア!」
「イギリスが、俺のほった落とし穴にまたかかっちゃったよー」
「なに?!」
「この馬鹿弟!あとでマーマイトの刑だからな、覚えてろ!」
「だって意外すぎるよぉー。なんでもするから、それだけはやめてよー!あ、あとスコーンもやめてよ!」
「うん?どうした?可哀相なイギリスは落とし穴にはまったままでお兄さんに逢いたいっていうのかい?」
フランスが来た。
「誰がそんなこと!てめぇ、あとでその髭残らずむしってやる!」
「おっ、言うねえ。じゃ、お兄さんもその眉毛、ちょうどいい太さにしてあげるどころか全部むしっちゃうよーんだ」
「また始まったある…」
「HAHAHA、君たちはいつまでそう子どもなんだい?」
「でも喧嘩って見てる方は微笑ましいじゃない。僕は好きだな、こういうの」
中国とアメリカとロシアが来た。
「はあ…、カオス極めているわ」
ハンガリーがため息をついたところで、オーストリアがやってきた。
「ま、オーストリアさん!」
「いったい何ですか、この騒ぎは」
「神聖ローマは?」
「彼はあとからやってくるでしょうよ…、ふぅ」
「パスタ出来上がったぞ、このやろー」
「わあい!パーティーの始まりだ!」
みなが明るく楽しんでいるとき、イタリアはお菓子作りに励んでいた。
その頃、神聖ローマは聖杯堂から抜け出すべく、魔導書を使って呪文を唱えていた。
「どうして発動しない?」
神聖ローマは考えていた。
「何かが足りないのか?……イタリアぁー!逢いたい!逢いたい!逢いたいよ!」
キラキラ…、何かが光った。
☆.。.:*・゜☆゜・*:.。.☆.。.:*・゜☆゜・*:.。.☆.。.:*・゜☆゜・*:.。.☆
「うっ、うわあ!」
イタリアの叫び声とともに、しんとあたりは静まり返った。
「し、神聖ローマ…!」
「お、おまえ、滅びたはずじゃ…?」
泥だらけになりながら落とし穴を這い上がってきたイギリスがそうつぶやく。
「あっ、イタリア!ご、ごめん!」
神聖ローマはイタリアの真上に着地していた。
「いたたたた…ってより俺、嬉しいよ!神聖ローマ、俺、お菓子作って、待ってたんだ!」
「イ、イタリア…、イタリアなのか?」
「そうだよ!俺、イタリアだよ!久しぶり!神聖ローマ!逢いたかった!」
「イタリア……」
感動の再会。
と思いきや…、
「おまえ、男だったのか?!」
――どんちゃん騒ぎはまだまだ続くのであった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/f9/750053ab2d765061457fdd304d6fd7cd.jpg)
End.
これは「Axis Powers ヘタリア」の二次創作小説です。
BL小説ではありません。
ギャグ小説のつもりです。
どうぞ楽しんでお読みくださいませ。
途中、聖杯堂とかいうオリジナル設定がでてきますがご了承ください。
ヘタリア好きの方、感想ください!
イタリア誕生日
朝だ。しかし眠いな…。
目をこする。
ベッドの隣にすやすや寝息をたてているのは、弟のイタリアだ。
「兄ちゃん、俺、一人じゃ怖くて眠れないよ~」
夕べもそう言って、俺のベッドにもぐりこんできた。
「はあ?誰がおまえなんかと寝るか!ムキムキと一緒にすんな、ちくしょーがー!」
言うも虚しく、イタリアは俺、ロマーノの隣で枕をかかえ、天使のような寝顔を見せていたのだった。
ドイツは、がばっとその日は目覚めた。汗をうっすら浮かべている。それというのは、彼は、兄・プロイセンがほうきでじゃんじゃかじゃかじゃかギターを弾いたあと、そのほうきに自分も乗せて二人で飛び乗って世界一周する夢をみていたのだ。現実主義者のドイツからしてみれば、それは恐ろしい夢に分類されるものであった。
ベッドの脇のカレンダーには、3月17日、イタリアの誕生日と書かれている。
「そうか、あいつらは今日誕生日か…」
何かお祝いの品でも用意するか、と思ってベッドを抜け出したドイツだった。
「今日、ですね…」
日本は布団にぬくぬくまだくるまっていたい気持ちを断ち切って、畳の上に正座した。
もうすぐ春だ。
いまは桃の季節は終え、桜はまだであり、梅やぼけの花が、美しく庭に咲いていた。
縁側にでれば、その様子が映えて、日本はふっと軽く笑みをこぼした。
「イタリアさんとロマーノさんに、プレゼントをあげましょう」
そう独り言をつぶやいた。
「起きろ、ばかやろー!」
「うわ、兄ちゃん、怒らないでよ~。なんでもするから、ぶたないで~」
そう言って、イタリアは俺のベッドから枕を抱えたまま飛び出た。相変わらずの言いようだな、そう思う。
「なんでもするんだろ?朝ごはん作れ、このやろー」
「わ、わかったから!パスタ作るね、俺!」
「当たり前だぞ、ちくしょー。トマトを忘れんな!」
「う、うん!トマトね!」
神聖ローマは深い眠りに落ちたままだった。
「むにゃむにゃ」
寝返りを打つ。
「イタリア…、好きだ…」
しかし、国として忘れ去られた彼を起こす者は誰ひとりとていなかった。
――いや、いた。
パァンッ。
「いったい、いつまで寝こけているのですか!このお馬鹿さんが!」
オーストリアはぷんぷん怒っていた。
「いったいー」
神聖ローマは片頬をおさえる。
「ギャグ言っている場合じゃありません!このお馬鹿さんが!」
「えーと、俺は…」
「ここがどこか聞きたいんでしょう?」
「う、うん…」
「聖杯堂ですよ。私は貴方の監理者として、迎えに来たわけです」
「聖杯堂…?」
「そうです。滅びた国が眠る墓地みたいなところですよ、それくらい常識でしょう」
オーストリアは眼鏡をくいっと上にもちあげた。
「そ、そうなのか…?あっ!」
「なんです?」
「イタリアは?!」
「まったく…そればっかりですね、貴方は。今日はイタリアの誕生日、3月17日です。ですから、私が迎えに来たわけですよ、察しなさいそれくらい。このお馬鹿さんが!」
「イタリアの誕生日!」
「ええ」
オーストリアはうなづいた。
「あとは貴方しだいです。聖杯堂から抜け出せる時間は1日のみ。必ず、24時間のあいだにここに戻ってくるのですよ、いいですね?そうしないと奈落の底に突き落とされて、私さえ貴方を呼びにいけなくなります。それから、この魔導書が貴方のキーです。説明は以上です。分かりましたね?」
「この魔導書を身に着けて、イタリアのところに行けばいいんだな?」
「そうです。では私もイタリアの家にいく予定ですから、またそこでお会いしましょう、いったんはさようなら」
「ああ…」
オーストリアは足早に去って行った。
神聖ローマはすくっと立ち上がった。
「いっぱいお菓子作って待ってると言ってくれていたけど……、そうなのか?イタリア」
「うわーん、兄ちゃん、俺、なんだかとってもお菓子つくりたい気分なんだー。作らせてよー。だってなんだか神聖ローマが来るかも、ってハンガリーちゃんが電報で知らせてくれたんだよ~」
「だめだ、俺がトマトソースパスタを作ってからだ、ちくしょー。おまえなんかに任さないで最初から自分でやればよかったぜ」
「うわーん、ドイツぅ~助けてよぉー」
「どうした!イタリア!」
「――げっ、ムキムキ!なんでいきなり現れるんだ、ばかやろー。慌てすぎて少し零しちまったじゃねぇか!責任とって拭け、ちくしょーがー」
「ん?そ、それはすまないな…」
「ドイツだぁ~。わあい!これで俺ようやく靴ひも結べるよ~。兄ちゃんに結んでっていうの怖くて言えなかったんだよね」
「まったく。おまえはいつもいつも…ほれ」
「ありがとう~ドイツぅ」
「拭けー!」
「ああ、そう怒鳴らなくても分かった」
ドイツはかがみこんで床にこぼれたトマトソースをタオルでぬぐう。
「誕生日おめでとう、イタリア、ロマーノ。こんなカオス時に悪いが」
「ああ。覚えていたのか、ムキムキにしてはやるじゃねえか、ちくしょー」
「ドイツ~俺忘れてた!俺と兄ちゃん、今日が誕生日だったねー」
「「おいっ」」
「だから神聖ローマ来るんだー、なーんだ、そーゆーことかぁ!」
俺――ロマーノ――は怒り炸裂パスタがゆであがったころ、台所をイタリアにゆずった。
「えーとねー、まず卵でしょー。それから牛乳と砂糖~、できたらバニラエッセンスも!あ、あと小麦粉を忘れちゃいけないね」
「「当たり前だ、ばかやろーっ」」
ぞくぞく人がイタリアの家に集まってきていた。
その中で指揮をとっているのはハンガリーだ。
「ま、セーシェル。いらっしゃい」
「うぃ。プレゼントのふたごやし持ってきました」
「ごきげんうるわしゅう、セーシェルさん、ハンガリーさん」
「「リヒテンちゃん!」」
「っ…、我輩は奥で独り待っているのである。あとで必ず来るのだぞ、リヒテン」
「兄様、はい。わたくしもすぐ参ります」
「そ、そうか…」
「ロマーノ!親分の元気になる魔法、かけてやろか?」
「ちくしょーがー。俺はもう子どもじゃないんだぞ、このやろー」
「親分にとっては、ロマーノはいつでも、子どもやで」
そう言われて頭をぽんぽんたたかれる。俺は真っ赤になりながら、飛びのけば、
「ぷっ…トマトみたい…」
と笑われた。
「笑うな!」
「ま、あそこで扇を翳(かざ)しているのは日本さん?」
「お、ほんとだ。おーい日本さーん」
「ハンガリーさん、セーシェルさん、おはようございます。ハンガリーさん、これは扇子というわが家の伝統工芸です」
「センス?」
「はい、扇子です」
「日本だ~!」
「おや、イタリアさん。誕生日おめでとうございます」
「ありがとう日本!俺、めっちゃ嬉しいよ!」
「イタリアさんにはこの扇子をプレゼントしようということで…、少し、待ってくださいね。いま包装紙にくるみますから」
「えー、いーよー、どうせ破くんだし、紙もったいないよ~」
「ですが、わたしの家では、紙につつんで贈り物をあげると、その贈り物の純潔さが守られるという伝えがありまして。やらせてください」
「そこまで言うなら…。俺照れちゃうなあ~」
「よっ、イタリアちゃん!」
「プロイセンだぁ」
「誕生日おめでとうだぜ!ケーセセセセ!」
「ありがとー」
「あっ、ちょっと、プロイセン待って。なんでこんなところにまでわたしの幼いころの写真持ってくるのよ!」
「おっと、これは取らせやしないぜ!」
「なんだよ、こんな大勢集まって…だいたいまとまってないじゃねぇか」
イギリスが来た。
「う、うわっと?」
「あー!」
「どうした!イタリア!」
「イギリスが、俺のほった落とし穴にまたかかっちゃったよー」
「なに?!」
「この馬鹿弟!あとでマーマイトの刑だからな、覚えてろ!」
「だって意外すぎるよぉー。なんでもするから、それだけはやめてよー!あ、あとスコーンもやめてよ!」
「うん?どうした?可哀相なイギリスは落とし穴にはまったままでお兄さんに逢いたいっていうのかい?」
フランスが来た。
「誰がそんなこと!てめぇ、あとでその髭残らずむしってやる!」
「おっ、言うねえ。じゃ、お兄さんもその眉毛、ちょうどいい太さにしてあげるどころか全部むしっちゃうよーんだ」
「また始まったある…」
「HAHAHA、君たちはいつまでそう子どもなんだい?」
「でも喧嘩って見てる方は微笑ましいじゃない。僕は好きだな、こういうの」
中国とアメリカとロシアが来た。
「はあ…、カオス極めているわ」
ハンガリーがため息をついたところで、オーストリアがやってきた。
「ま、オーストリアさん!」
「いったい何ですか、この騒ぎは」
「神聖ローマは?」
「彼はあとからやってくるでしょうよ…、ふぅ」
「パスタ出来上がったぞ、このやろー」
「わあい!パーティーの始まりだ!」
みなが明るく楽しんでいるとき、イタリアはお菓子作りに励んでいた。
その頃、神聖ローマは聖杯堂から抜け出すべく、魔導書を使って呪文を唱えていた。
「どうして発動しない?」
神聖ローマは考えていた。
「何かが足りないのか?……イタリアぁー!逢いたい!逢いたい!逢いたいよ!」
キラキラ…、何かが光った。
☆.。.:*・゜☆゜・*:.。.☆.。.:*・゜☆゜・*:.。.☆.。.:*・゜☆゜・*:.。.☆
「うっ、うわあ!」
イタリアの叫び声とともに、しんとあたりは静まり返った。
「し、神聖ローマ…!」
「お、おまえ、滅びたはずじゃ…?」
泥だらけになりながら落とし穴を這い上がってきたイギリスがそうつぶやく。
「あっ、イタリア!ご、ごめん!」
神聖ローマはイタリアの真上に着地していた。
「いたたたた…ってより俺、嬉しいよ!神聖ローマ、俺、お菓子作って、待ってたんだ!」
「イ、イタリア…、イタリアなのか?」
「そうだよ!俺、イタリアだよ!久しぶり!神聖ローマ!逢いたかった!」
「イタリア……」
感動の再会。
と思いきや…、
「おまえ、男だったのか?!」
――どんちゃん騒ぎはまだまだ続くのであった。
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End.