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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

自国兵士の命を顧みない「肉ひき器」戦術でロシア軍がチャシウヤールの東端地区を制圧したが、3カ月で10万人損耗。自国民の命さえ一顧だにしないプーチン政権が占領地でウクライナ人を犠牲にするのは必然だ。

2024年07月07日 | ロシアによるウクライナ侵略

2024年6月21日、プーチン大統領から贈られたロシア製リムジン「アウルス」を運転してご機嫌の北朝鮮の金正恩氏

北朝鮮から武器を輸入することはロシア自身が賛成した国連安保理決議違反でもあるが、欧米諸国からウクライナへの軍事支援を批判する「自称平和主義者」の口から、北朝鮮やイランからロシア軍への軍事支援を批判する言葉を聞いたことがない。

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 うちのブログも東京都知事選前日まではそこに集中しようと、ウクライナ戦争やガザ侵攻については記事を書く余裕がありませんでした。

 即時停戦派・軍事支援反対派(侵略しているロシアに即時撤退を求めるのではなく、なぜか侵略されているウクライナのほうに即時停戦を求め、ウクライナへの欧米諸国の軍事支援に反対する人々)は、日本の首都東京の知事選なのにそれは放ったらかし。

 自国の政治と人権問題には無関心で、相も変わらず、主権者であるウクライナ市民が決めるべき、ウクライナは停戦か継戦かという問題に口出しまくっています。

イスラエル軍のガザ侵攻から100日。追い立てられるパレスチナの民「自分たちが先に立ち退いてしまえば次は隣が襲われる」「土地を追われるのは体から魂を奪われるようなもの」。「たかが領土」論の傲慢を知れ。

 

 

 それに引き換え、彼らからは

「徹底抗戦派」

と揶揄される人々の中でも右翼ではなくまともなリベラル派は、ちゃんと自国の人権問題に向き合うことが結局戦争を起こさないことにつながるとわかっているので、東京都知事選にも参加されていました。

 うちからもリンクさせていただいている杉原浩二さんなどは、私と同じく、ウクライナ人に徹底抗戦を求めているのではなくて、ウクライナ人の意思を尊重するべきだと主張しているだけですしね。

 

 

 さて、そんな日本の政治の季節にも、ロシアのプーチン政権と軍の蛮行は続いていました。

 ロシア軍は2024年4月4日に、ウクライナ東部ドネツク州にあるウクライナ軍の防御拠点であるチャシウヤールに対する攻撃を始め、3カ月後の7月上旬にこの小都市の東の外れにあり、最も攻撃をしやすい地区、通称「運河地区」をついに制圧した、のだそうですが。

 なんと、チャシウヤール攻略戦の開始以来、ロシア軍がウクライナの戦線全体で被った人的損失はおよそ9万9000人、約10万人になるというのです!

 即時停戦派はウクライナ政府が停戦しないからウクライナ市民の人命が損なわれると批判するのですが、どうしてロシア軍兵士の命のことは一顧だにしないのでしょうか。

 即時停戦派はNATO加盟国がウクライナを軍事支援するからウクライナ軍が戦争を継続できて、だからウクライナ人の犠牲が増えるとも非難しますが、決して、ロシア軍が侵略するから双方に犠牲者が増えると批判したり、だからロシア政府に軍を即時撤退させるように求めたりはしないんです。

 当たり前ですが、ロシアが国連憲章違反の侵略をやめて撤退すれば、ロシア軍兵士もウクライナ軍兵士も両国市民も一人も死ななくて済むのです。

 それは望まないとは、どんな人命尊重主義なんでしょう。

ロイター『ロシア軍懲罰部隊「ストームZ」、弾薬も食料もなく前線投入』より

ロシア軍はウクライナへの侵略を開始してからの2年弱で、現役の地上兵力のうち87%、31万5千人以上の死傷者を出して失った。それでも戦争を継続できるプーチン大統領の専制支配はもはや奴隷制だ。

 

 

 ロシアの人口はウクライナの人口の3倍もあるので、このようにプーチン政権は人命の犠牲をいとわない戦術で戦局を優勢に進めており、このようなロシアの戦術は、犠牲者をいとわない『肉ひき器』戦術と呼ばれています。

 薬物を使って恐れを知らず突っ込んでくるロシア人兵士をウクライナの兵士はゾンビのようだと評しているわけですが、ロシアの肉ひき器戦術は、兵士を大量に前線に送り込み、ウクライナの防御を圧倒しようとする戦術。

 ニューヨーク・タイムズ紙(6月27日)は、ロシアが毎月2万5000人から3万人ほどの新兵を補充し戦場に送り込むことで、戦線を維持しようとしていると報じています。

 そして同紙によると、戦場から死傷して離脱する兵士とほぼ同数の新兵を最大で月30,000人採用・補充しているそうです。

ロシア軍はウクライナへの侵略を開始してからの2年弱で、現役の地上兵力のうち87%、31万5千人以上の死傷者を出して失った。それでも戦争を継続できるプーチン大統領の専制支配はもはや奴隷制だ。

 

 

 ロシア軍はウクライナで装甲車両を大量に失っており、その数はウクライナ国防省の発表によると戦車以外の装甲戦闘車両だけで1万6000両近くにのぼります。

 その補充に苦労しているロシア軍はこの春、窮余の一策として突撃部隊に安価なオフロードバイクを配備し始めたんだそうです。

 バイクなんて体が剝き出しですからね。

 いかにロシア軍が兵士の命やからだなんてどうでもいいと思っているかがわかります。

 6月28日には、数十台規模とみられる突撃バイクの大集団が、ウクライナ東部ドネツク州南部の小都市ブフレダルでウクライナ軍の第72独立機械化旅団を攻撃し、数百人が死亡したんだそうです。

 

 

 ロシア軍は肉ひき器戦術でロシア軍兵士ができるだけ減らないように、また減った分を補充するために、インドやネパールなどアジア諸国などで市民をだまして募兵し、死んでいくロシア軍兵士の数を減らそうとしています。

 BRICSの一角でロシアとの関係が良好なインドの市民まで犠牲にするプーチン政権のやり口は残酷ですが、インドのジャイシャンカル外相は7月3日、上海協力機構の首脳会議にあわせ、ロシアのラブロフ外相と会談しました。

 この中で、ジャイシャンカル外相はインド人らがウクライナの戦地に派遣されていることについて

「強い懸念」

を表明し、インド人兵士らの

「安全かつ早期の帰還を求めた」

としています。

 

 

 さて、世界で一番有名なウクライナ戦争即時停戦・軍事支援否定派は、強欲資本主義の権化イーロン・マスク氏か米史上最悪の政治家ドナルド・トランプ氏ですが、7月4日のアメリカ独立記念日に、プーチン大統領は訪問先のカザフスタンの首都アスタナで会見し、

「トランプ氏が大統領候補として、ウクライナでの戦争を終わらせる用意があり、そうしたいと述べている事実を、われわれは真摯に受け止めている」

と述べました。

 そりゃ、プーチン大統領の支援で大統領になったといわれているトランプ氏は、ウクライナへの軍事支援を止めて24時間で戦争を終わらせると言ったり、ロシアが占領しているウクライナの領土をロシアに割譲させる「和平」案を出したりしてますからね。

 当然、プーチン大統領とすれば是が非でもトランプ氏に大統領になってもらい、ウクライナに事実上の降伏をさせてほしいところでしょう。

 

 

 

 

 しかし、プーチン大統領は自分が露骨にトランプ氏推しだとわかるとトランプ候補にとってかえって不利益なことがわかっているので、これまでも再三、バイデン大統領が次の選挙でも勝つことを望むと表明。

 先日の大統領選討論会でバイデン氏が衰えを見せて失敗した後、ーチン大統領は国営テレビの記者に、討論会を受けバイデン氏に対する支持は変わったかと問われて

「何も変わっていない。何が起こるか、われわれには分かっていた」

と答えています。

 日本でロシアから支援を受けるトランプ氏と同じくウクライナ戦争の即時停戦を求める、伊勢崎氏のような日本の自称「リベラル派」?は、それがプーチン大統領とトランプ氏の思うつぼだということを肝に銘じるべきなのです。

プーチン大統領がウクライナとの停戦について、ロシアが国際法に違反して強制併合したウクライナ4州からウクライナ軍が撤退することが前提と演説。即時停戦論者はウクライナの領土放棄が前提になることを認めよ。

 

トランプ米大統領候補の言うように「ロシアのやりたいように」させたら(フォーブス誌)。「ロシアの軍人による強制性交の被害に遭ったウクライナ人には、妊娠中だった16歳の少女や、83歳の老婆も含まれる。」
 
 
共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ

日本の首都決戦について一言も発しない伊勢崎氏のような反米こじらせ即時停戦派を、リベラル派と思っている人もそんなにいないでしょうけどね。

自国の人権状況はそっちのけで、何千キロも離れた戦争についてああでもないこうでもないと言っているだけなんですから、気楽なもんです。

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1 コメント

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犬と暮らす日々 (浅井洋)
2024-07-07 21:23:05
トランプが 大統領に 成るまで
 この 戦い?が 続くのでしょうね
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