ロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相に対する逮捕状を請求した国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官がロシア・アメリカ・イスラエルからの不当な圧力を告発。「裁判所への攻撃は許されない」
国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の検察部が、ウクライナに侵略しているロシアのプーチン大統領ほか1名と、ガザに侵攻しているイスラエルのネタニヤフ首相ほか1名(ハマスの3名の幹部も含む)に対する逮捕状をICCに請求したことは、国際社会における法の支配を確立していく歴史の中でも画期的な出来事でした。
そのICCのカリム・ハーン主任検察官に読売新聞とNHKがそれぞれ単独インタビューしていて、興味深い裏話も話されているのでご紹介したいと思います。
まずこの裁判所についてあらためてご説明しますと、ICCは2002年に常設の国連直属の国際刑事司法機関として、オランダのハーグに設立されました。
その1998年にローマで採択されたICC設立条約(ローマ条約)には、現在、日本を含む123カ国が加盟しています。
国際司法裁判所(ICJ)の方は国連憲章の中に組み込まれていて、国連に加盟することは即ちICJの管轄に服する義務を負うことを意味しているのですが、後発のICCはまだそこまでの権威はなく、他国で戦争しまくる気満々のロシアやアメリカやイスラエルはまだICC条約には加盟していません。
他方、ウクライナもICCに加盟していなかったのですが、ロシアに侵略されたことを機に加盟を決めました。
プーチン大統領にも逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官が、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ住民への支援物資供給を妨害することは戦争犯罪に該当する可能性があると警告!
【祝】国際刑事裁判所(ICC)のカーン検察官がイスラエル政権のネタニヤフ首相とガラント国防相に逮捕状請求。ガザ地区を意図的に封鎖して食料や人道物資の搬入を途絶えさせた戦争犯罪容疑。ハマス幹部3人にも。
さて、ICCが裁くのは国家間紛争や国内紛争などで
1 重大な非人道的行為を犯した
2 個人
です。
これが国家間の紛争そのものを扱うことが原則で、当事者が国家や国際機関であり、しかも民事を含むあらゆる法的問題を扱うICJとICCが決定的に違う部分です。
具体的には、ICCが扱う犯罪とは
①特定の民族や宗教集団などの壊滅をねらった集団殺害(ジェノサイド)
②一般住民の虐殺や性的暴行などの「人道に対する罪」
③捕虜の取り扱いなどを定めた戦争法規違反(戦争犯罪)
などになります。
あとで述べますが、プーチン大統領は①、ネタニヤフ首相は①と②の容疑で逮捕状が請求されています。
イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカ上下院で演説。ガザで無差別殺戮を行ない、国際司法裁判所からは攻撃を差し止められ、国際刑事裁判所に逮捕状が請求されているネタニヤフ容疑者に演説させるアメリカは異常だ。
このようなICCの設立により、非人道的な犯罪を犯す指導者が裁かれる可能性が開かれており、ひいてはそれが国際紛争や戦争犯罪抑止につながることを大きな目的としています。
またICCが法の支配を貫徹する公平な裁きをすることで、紛争当事者の和解や再建を促すねらいもあります。
そして、ICC加盟国は逮捕状が出されている容疑者が入国してきた場合にはそのものを逮捕する法的義務を負います。
9月2日、逮捕状が出されているプーチン大統領がICCに加盟しているモンゴル共和国に入国しても逮捕されなかったことでICCの権威は確かに傷つきましたが、石油などエネルギーなどの首根っこをロシアに押さえられているモンゴルにはロシアの要求に抵抗するすべがなかったのです。
モンゴルの市民は果敢にプーチン大統領の来訪に抗議活動をして、何人もが逆に逮捕されました。
それでも、プーチン大統領が逮捕状を出されてから1年半でICC加盟国に入国したのはこれが初めてのこと。
プーチン政権が重視するBRICS首脳会議にも、開催国の南アがICC加盟国であることを危険視してプーチン大統領だけはオンライン出席だったことを見ても、戦争犯罪をしている国と指導者に対するICCの逮捕状の効果があることが逆にわかろうというものです。
自分に逮捕状を出した裁判官や検察官を国際指名手配にするプーチン大統領の狂気。
しかし逆にいかに逮捕状を出されたことが彼にとって苦痛で負担かがわかる。
国際刑事裁判所(ICC)に逮捕状を出され南アでのBRICS首脳会議にはビデオ出席となってしまったプーチン大統領が、ICCの赤根裁判官を指名手配。法の支配を守るためにロシアの戦争犯罪は見過ごせない。
さて、カーン主任検察官らの逮捕状請求に応じて、2023年3月17日、ICCはロシアのプーチン大統領の逮捕状を発行しました。
ICCによりますと、プーチン大統領はロシアが占領したウクライナの地域から子どもをロシアへ不法に移送=強制連行した戦争犯罪の疑いがあるとして逮捕状を発行したということです。
カーン氏は、孤児院や児童養護施設から少なくとも数百人の子供たちが連れ去られた実態を確認したと表明しています。
そして、これらの犯罪は侵攻開始以降に行われ、プーチン氏が関与した
「合理的な根拠がある」
としています。
リボワベロワ全権代表は子どもの権利担当だが、ロシアに連行されたウクライナの子どもたちを洗脳する取り組みについて公然と語っていた。
国際刑事裁判所が戦争犯罪容疑でプーチン大統領らに逮捕状発令。国連人権理事会が殺害・性的暴行・子どもの連れ去りなどロシア軍の戦争犯罪があったとする調査報告書を公表。橋下徹氏、伊勢崎賢治氏らは沈黙。
当時、イラク戦争でのファルージャ虐殺もあったのにどうしてアメリカのブッシュ大統領は逮捕状が出ないのに、プーチン大統領には出るのだ、やはり国連は不公平だという声が一部の反米拗らせ論者から出ました。
しかし、プーチン大統領もブチャ虐殺などの戦争犯罪に関与したという罪名では難しいので、その容疑で逮捕状が出たのではありません。
プーチン大統領への逮捕状の容疑は、2023年1月に「子どもの権利」担当のリボワベロワ氏に対し、ウクライナの露軍占領地域で保護者のいない子供を見つけ出すよう指示した、2022年5月の大統領令への署名により、ロシア軍占領地域のウクライナの子どもたちのロシア国籍取得を簡素化し、孤児をロシア人と養子縁組させることを奨励したことでした。
ICCの逮捕状の容疑が子どもたちの強制連行になった理由は、ブチャなどで多数の民間人が虐殺されたなどの容疑だと、大統領の指示を立証するには多くの証言が必要になるので、プーチン大統領の指示が明確な子供の強制移送をまず立件した、ということでした。
プロの法律家から見れば、立証容易性を勘案した被疑事実の設定は納得できるものでした。
親露派の即時停戦派が完全にスルーするロシア政府の恥部。
2023年4月5日(水) クローズアップ現代 『“消えた子どもたち”を追え! ロシア・知られざる国家戦略』より
国際刑事裁判所(ICC)から子どもの連れ去り容疑で逮捕状が出ているロシアの「子どもの権利」担当のリボワベロワ大統領全権代表が「ウクライナから子ども70万人以上を受け入れた」と言い出した(恐)。
さて、2024年5月20日には、カーン主任検察官はイスラエルのパレスチナ自治区ガザでの紛争をめぐってイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント国防相の2人、イスラム組織ハマスのヤヒヤ・シンワル指導者ら3人に戦争犯罪などの疑いで逮捕状を請求しました。
しかし、それから3か月以上も経つのにいまだ逮捕状が国際刑事裁判所から5人全員に発令されません。
これについて、カーン検察官は読売新聞に対して、イスラエルへの捜査を巡って米国から圧力を受けているとして
「裁判所への攻撃は許されない。ルールに基づいたシステムが成り立たなくなる」
と述べて、法の支配が揺らぎかねないとの懸念を示して、はっきりと米国を名指しで批判しました。
なにしろ、ネタニヤフ首相に議会で演説させたくらいの米国ですから、米下院は6月に同首相らに逮捕状を請求したというだけでICC関係者への制裁法案を賛成多数で可決しているんです。
この法案は今のところ民主党が多数を占める上院では可決される可能性がありませんが、もし今年11月の大統領選・議会選挙で民主党が敗れ、上院で可決されてドナルド・トランプ大統領が署名すれば、こんなひどい法律も成立してしまう危険性があるのです。
また、カーン検察官は2024年7月にウクライナ首都キーウの小児病院がロシア軍から受けた爆撃では
「捜査員は24時間以内に現場に入った」
と明かし、立件に向けて捜査していることを示唆しました。
さらに、ガザで戦闘を続けるイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状請求にまだ逮捕状が出ていないことについては
「(逮捕状の発行や将来の有罪を)判断するのは裁判官だが、真実を明らかにするのは証拠だ」
と捜査に自信をみせたそうです。
他方で、カーン氏は、ICC職員がロシアやイスラエルの支持者から個人的な脅迫を受けていると明らかにし、
「司法は恒久であるべきだ。法制度の解体や侵食を目的に攻撃や脅迫を許せばICCは終わる」
と非難したうえで、日本については
「ICC加盟国の中で最大の資金拠出国だ。ICCは『日本の子供』と言える」
と積極的な役割を果たすように求めました。
中国の南シナ海での策動について「法の支配」をことさらに強調する日本政府ですが、まず自分の同盟国であるアメリカとそのまた同盟国のイスラエルによる法の支配破壊工作に対して文句を言うべきでしょう。
国際刑事裁判所 (国際法・外交ブックレット)
ウクライナ戦争犯罪裁判 ― 正義・人権・国防の相克
カーン主任検察官はNHKに対して
「パレスチナとイスラエルを含むあらゆる状況について同じ法の基準を適用していないと思われたら、法の支配は崩壊してしまうだろう」
と述べ、法にもとづいて平等に責任を追及する重要性を訴えました。
むしろ、反米をこじらせてICCにケチをつけたがる日本の一部「リベラル」は、自分たちがやっていることがロシアやイスラエルのICC攻撃と法の支配の破壊に加担していることを自覚するべきでしょう。
【ハーグ=酒井圭吾】国際刑事裁判所(ICC)検察局トップのカリム・カーン主任検察官は2日、日本メディアで初めて読売新聞のインタビューに応じた。パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルへの捜査を巡り、米国から圧力を受けているとして「裁判所への攻撃は許されない。ルールに基づいたシステムが成り立たなくなる」と述べ、「法の支配」が揺らぎかねないとの懸念を示した。
ICCは個人の戦争犯罪を裁く国際機関。カーン氏が率いる検察局は5月、ガザの人道危機を引き起こした疑いで、イスラエルのネタニヤフ首相ら2人への逮捕状を請求した。イスラエルを支持する米国はICC非加盟だが、米下院は6月、ICC関係者への制裁法案を賛成多数で可決した。上院で可決され、大統領が署名すれば成立する。
カーン氏は、職員がロシアやイスラエルの支持者から個人的な脅迫を受けていると明らかにし、「司法は恒久であるべきだ。法制度の解体や侵食を目的に攻撃や脅迫を許せばICCは終わる」と非難した。日本については「ICC加盟国の中で最大の資金拠出国だ。ICCは『日本の子供』と言える」と述べ、米国に働きかけるよう外交面の協力を求めた。
ICCが逮捕状を出しているプーチン露大統領は2日からICC加盟国のモンゴルを訪問している。加盟国には身柄拘束の義務があり、カーン氏は「(ロシアに)便宜を図るより、原則に立つ勇気を持つ方が国のため、世界のためになる。国際法の義務の尊重を願う」と拘束執行を求めた。
Karim KHAN 英国北部エディンバラ出身。国際刑事法や国際人権法を専門とする弁護士。旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所やルワンダ国際刑事裁判所などで勤務し、イスラム過激派組織「イスラム国」の犯罪を裁く国連の捜査チームも率いた。2021年にICCの主任検察官に選出され、任期は30年まで。
ロシアのプーチン大統領がモンゴルを訪問し、首脳会談を行いました。
モンゴルは、プーチン大統領に対して戦争犯罪の疑いで逮捕状を出しているICC=国際刑事裁判所の加盟国ですが、逮捕はせず、両国関係を優先したとみられます。
ロシアのプーチン大統領は2日夜遅くモンゴルに到着し、3日フレルスフ大統領と首脳会談を行いました。
ウクライナヘの軍事侵攻をめぐり、ICC=国際刑事裁判所は、プーチン大統領に対して戦争犯罪の疑いで逮捕状を出していて、ICCの加盟国のモンゴルは、プーチン大統領が入国した場合、逮捕する義務があります。
しかし、モンゴル政府は逮捕はせず、首脳会談の前には歓迎式典も行われました。
ICCが2023年3月に逮捕状を出して以来、プーチン大統領がICCの加盟国を訪問するのはこれが初めてです。
ロシア国旗掲げ プーチン大統領の歓迎ムード演出
モンゴルの首都、ウランバートル中心部のチンギス・ハーン広場にある議会などの建物には、3日、モンゴルの国旗とともに巨大なロシアの国旗が掲げられていました。
広場の周辺の道路沿いにも、モンゴルとロシアの国旗が数多く見られ、プーチン大統領の歓迎ムードを演出しています。
ただ、地元の人たちによりますと、ほかの国の首脳が訪問する際には市内の広い範囲で旗が掲げられるのに対し、今回は広場周辺でしか見られず、対応の微妙な違いが感じ取れるということです。
一方、広場の周辺では、現地時間の正午ごろ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に抗議する市民グループのメンバー5人ほどが、ウクライナ国旗を持って集まりました。
しかし、すぐに治安部隊に取り囲まれ、もみ合いになりました。
そして、到着した警察の車両に押し込まれるように乗せられて、全員がその場から排除されました。
また、周辺では、これとは別に、顔に「NoWar」というペイントをした人も、治安部隊に拘束されたということです。
ロシア中国の間でバランス取る モンゴル外交
モンゴルは隣接する2つの大国、ロシアと中国の間でバランスを取りながら外交を続けてきました。
このうち、ロシアについては近年、5年に1度、ノモンハン事件の式典にあわせて大統領をモンゴルに招くことが慣例となっていました。
ただ、今回の訪問については、ICCがプーチン大統領の逮捕状を出した後だっただけに、欧米各国を中心に批判を招くことは予想されていました。
しかし、モンゴルにとってロシアは重要な貿易相手国です。
特に、石油や石油製品の輸入は90%以上をロシアに頼っているほか、モンゴル国内ではまかなえない電力をロシアから購入していて、モンゴルとしてはロシアとの関係を重視せざるを得ません。
モンゴル政府から説明はありませんが、こうした背景もあることから、慣例どおりプーチン大統領を招き、逮捕状を執行しないという判断に至ったものとみられます。
ICC主任検察官 “モンゴルにはプーチン大統領を逮捕する義務”
ICCのカーン主任検察官は2日、オランダのハーグでNHKの単独インタビューに応じました。
ICCは、ウクライナ情勢をめぐる捜査の過程で、ロシアのプーチン大統領など6人に、戦争犯罪などの疑いで逮捕状を出しています。
そのプーチン大統領がICCの加盟国のモンゴルを訪問していることについて、カーン主任検察官は「すべての加盟国は裁判所に協力する義務を負う」と述べ、モンゴルにはプーチン大統領を逮捕する義務があると指摘しました。
その上で「私たちは脅かされたり圧力をかけられたりしても、正義に反する行為に目をつぶることはできない。私たちはウクライナで進行中の紛争の証拠を追及していく」と述べ、今後、ほかの容疑についても捜査し、責任を追及する可能性もあると強調しました。
また、中東情勢をめぐりICCの検察局は、イスラエルのネタニヤフ首相やイスラム組織ハマスのシンワル最高幹部などに戦争犯罪や人道に対する犯罪の疑いで逮捕状を請求し、裁判官が証拠などをもとに検討を進めています。
これについてカーン主任検察官は「パレスチナとイスラエルを含むあらゆる状況について同じ法の基準を適用していないと思われたら、法の支配は崩壊してしまうだろう」と述べ、法にもとづいて平等に責任を追及する重要性を訴えました。
そして、日本がICCの最大の資金拠出国であることに触れ、「日本の立場や国際的な価値観がICCを守るために必要だ」として、日本が果たす役割に期待を示しました。
【ハーグ=酒井圭吾】読売新聞の単独インタビューに応じた国際刑事裁判所(ICC)のカリム・カーン主任検察官は、ロシアやパレスチナ自治区ガザでの戦闘に関する戦争犯罪捜査について「我々の責任は、主要な犯罪容疑が徹底的に調査されるまで(捜査の)資源を使うことだ」と述べた。対外圧力に屈せず、今後も新たな逮捕状を請求する姿勢を示したものだ。
ICCは2022年2月のウクライナ侵略開始直後からロシアに対する捜査を始めた。23年3月には、ウクライナの子供をロシアに強制移動させたことが戦争犯罪にあたるとして、プーチン露大統領らに逮捕状を出している。
一連の捜査を巡り、カーン氏はICCの証拠収集能力を強化してきたと強調した。従来の聞き取り調査に加え、人工知能(AI)やSNS、携帯電話から入手できるデータの収集・分析が効果を発揮していると説明し、「証拠の質と厳格さを高める努力をしてきた。公判を維持できる証拠を増やすという変化が出ている」と述べた。ICCが首都キーウに設立した現地事務所も「非常に多くの点で有用性を示している」と評価した。今年7月にキーウの小児病院が受けた爆撃では「捜査員は24時間以内に現場に入った」と明かし、立件に向けて捜査していることを示唆した。
ガザで戦闘を続けるイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状請求を巡っては「(逮捕状の発行や将来の有罪を)判断するのは裁判官だが、真実を明らかにするのは証拠だ」と捜査に自信をみせた。イスラエルが主張する自衛権には「触れるつもりはない」と明言し、「我々はガザで(イスラエルの)継続的な占領があったことを既に明らかにしている」と指摘した。
ロシアやイスラエルの政府幹部を侵略犯罪で訴追するようICCに求める声も多いが、現状では侵略犯罪は加盟国間の紛争にしか管轄権が及ばないのが原則だ。カーン氏は「(ICCに加盟していないロシアの)犯罪は成立しているが、管轄権の要件をクリアする必要がある。決めるのは国家だ」と述べ、加盟国に規定改革の議論を求めた。
ICCの捜査や訴追で最大の障壁となっているのが、容疑者の身柄拘束だ。ICC加盟国のモンゴルはプーチン氏を拘束する義務を履行していない。プーチン氏は10月に加盟国メキシコを訪問するとの報道も出ている。ロシアとウクライナの間で中立的な立場を示す新興・途上国「グローバル・サウス」を中心に、義務をないがしろにする国が続く恐れがある。
カーン氏は「全ての加盟国には(ICCの設立条約『ローマ規定』に)合意した責任がある。モンゴルやメキシコも加盟国だ」と協力を強く求めた。戦争犯罪には「時効がない。法律は忍耐強いものだ」と強調し、身柄拘束を求め続ける考えを示した。
Karim KHAN 英国北部エディンバラ出身。国際刑事法や国際人権法を専門とする弁護士。旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所やルワンダ国際刑事裁判所などで勤務し、イスラム過激派組織「イスラム国」の犯罪を裁く国連の捜査チームも率いた。2021年にICCの主任検察官に選出され、任期は30年まで。
インタビューの要旨
【ウクライナ侵略捜査】
▽捜査は継続中でさらなる逮捕状請求を示唆。
▽侵略開始以降、質の高い証拠収集能力を強化した。現地事務所や人工知能(AI)、SNSも活用し、公判を維持できるように多数の証拠を収集してきた。
▽ウクライナは近くICC加盟国になる。
▽侵略犯罪での立件には、管轄権の要件を改革する加盟国の決定が必要だ。
【パレスチナ紛争捜査】
▽イスラエルはパレスチナを継続的に占領してきた。
▽イスラエルが認めないICCの管轄権は、2021年にICC裁判部が認める決定を出している。
【プーチン氏のモンゴル訪問】
▽身柄拘束義務の執行を期待する。ロシアに便宜を図るより、原則に立つ勇気を持つ方が国のため、世界のためになる。
▽逮捕状の効力に時効はない。身柄拘束の努力を継続する。
【米下院の制裁法案可決】
▽裁判所への攻撃は許されない。ルールに基づいたシステムが成り立たなくなる。
▽ロシアやイスラエル(の支持者)から脅迫を受けている職員もいる。
▽日本はICCの加盟国の中で最大の資金拠出国で、米国との友好関係もある。外交的協力や働きかけを期待している。
【ウランバートル=出水翔太朗】国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出しているロシアのプーチン大統領のモンゴル訪問について、モンゴル政府の報道官は3日、米政治専門紙ポリティコに「ロシアにエネルギーを依存しており、プーチン氏の拘束は困難」との見解を表明した。
露大統領府は3日、プーチン氏が露極東ウラジオストクに到着したと発表した。ICC加盟国のモンゴルは、プーチン氏を拘束する義務を履行しなかった。
モンゴルは石油製品の9割超を隣国ロシアに依存し、電力の不足分もロシアから購入している。モンゴル政府の報道官はポリティコへの声明で「モンゴルは常に外交で中立政策を維持してきた」とも強調した。
プーチン氏は3日、オフナー・フレルスフ大統領と会談したほか、1939年に旧日本軍とモンゴルを支援した旧ソ連軍が武力衝突したノモンハン事件発生から85年の式典に出席した。
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モンゴルは小国ではないですが軍事力はウクライナの10分の1に過ぎないとのこと
でもモンゴルの取り得る立場はこれだけとも言えません
ノモンハンの式典にプーチンが来ることは前もって分かってるんだから諦めてICCを離脱するか、「プーチンの逮捕状は納得できない」とICCに抗議してその対応や処分を待つか、、、
大国の圧迫を受ける中小国の立場は可能な限り忖度されるべきですが、一方でICCがモンゴルに何の処分もしないならモンゴルに続く国の出来に歯止めは効かんでしょう
それなら一定の条件があれば義務を免除するといった規約の柔軟化も検討されるべきかと思います
モンゴルは非核宣言をしましたよね?
ウクライナ戦争勃発時もそうでしたが
モンゴルの非核が、日本の核武装を喧伝する極右勢力にとって格好の口実にならなければいいのですが
よしこちゃん達がさらに勇ましくなりそう…(_ _川)
櫻井よっちゃんも、「きょうの出来事」でニュース読んでる頃はマトモに見えたんですが、、、
今は顔面も含めほぼ別人です
日テレ深夜ニュース「きょうの出来事」は、まだ、まともだったとは思ってましたね。
そういう意味で、よしこちゃんがまともに見えたのかも?
一方、今の「ZERO」はニュース価値ゼロで、もはやワイドショーでしかないし、さらに、地方在住者から見れば東京中心ネタ満載で、視る価値ゼロ未満だと思います。
数学上、「ゼロ」と「マイナス」の概念を見つけた先人に感謝です(笑)