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ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて1年となるのに合わせ、国連の193すべての加盟国が参加できる国連総会で、2日間にわたって緊急特別会合が開かれ、2023年2月23日、欧米各国や日本などが共同で提案した、ロシアに対する決議案について協議が行われました。
決議案の内容は
1 「武力による威嚇や武力行使による領土の獲得は合法と認められない
2 「国連憲章の原則に基づいてウクライナにおける永続的な平和が可能なかぎり早期に実現される必要がある」
としたうえで
3 ロシア軍に対し即時かつ無条件の撤退と、ウクライナの重要インフラ、学校や病院などの民間施設への攻撃の停止
などを求めています。
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵略以来、国連総会での決議採択は実に6回目ですが、今回の決議では初めて
4 ロシアの戦争犯罪に対する「調査と訴追」の必要性
を明記しました。
ロシアによるウクライナ侵略開始から1年(前編)。国連総会がロシア軍のウクライナの領土からの「即時、完全、無条件の撤退」を要求する決議案を準備しているのは当然だ。
【ロシアによるウクライナ侵略開始から1年(中編)】なぜロシアの侵略を止めなければいけないのか。なぜロシア市民に経済制裁の痛みを負わせ、ロシア選手にパリ五輪出場を禁止しなければいけないのか。
ロシアによるウクライナ侵略開始から1年(完結編)。日本が果たすべき役割は非軍事と人道的支援に徹底した関与と、核兵器禁止条約に参加して米ロなど核保有国と全世界が核兵器を廃絶することに貢献することだ。
この4つ目の項目はロシアに対して非常に厳しい内容ですが、2月24日、これまでで最も多かった143か国とほぼ同じ141か国が賛成し、ロシアの侵略に対する各国の批判が衰えていないことを表しています。
他方、中国やインドや南アなど32か国が棄権し、棄権と無投票を除く3分の2以上の圧倒的多数で、決議が採択されました。
反対したのはロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリアで2022年3月の決議に比べるとロシアの食料とエネルギーに依存するアフリカの2国が棄権から反対に回った形です。
そして、数日前に中国・ロシアと軍事演習をしたばかりで、これまでのロシア非難決議をすべて棄権している南アフリカの国連大使はロシアと関係の深い一部のアフリカ諸国の立場を代表するように
「この戦争は最もぜい弱な人々の生活に影響を与え、世界で食料やエネルギー、財政の危機を引き起こしている。そして、ウクライナへの武器の流入により、暴力行為と人的被害が拡大している」
と演説しました。
プーチン大統領によるウクライナ4州の併合条約調印に対して、ゼレンスキー大統領がNATO加盟手続きを加速する申請書に署名。この非は一方的にロシアにあり、プーチン大統領がまず4州併合を撤回するべきだ。
ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵略を正当化。「ナチスのイデオロギーが現代的な装いで再びわが国の安全保障に直接的な脅威をもたらしている」。現代のナチスは国内外の人民を弾圧・殺害するプーチン政権だ。
さて、南アはロシアを代弁するかのように
「ウクライナへの武器の流入により、暴力行為と人的被害が拡大している」
といいますが、世界の4分の3近い国は、ロシアが侵略を開始した責任があること、また重要インフラや学校・病院への無差別攻撃をしていることを許さないと言ったわけです。
さらに、141もの国々が、無差別殺戮や原発攻撃や強制連行などの戦争犯罪をロシア軍が続けていることを糾弾し、とうとうロシアの戦争犯罪に対する「調査と訴追」まで必要だという国連総会決議に賛成したわけです。
これはアメリカとロシアの力関係だけでこれだけの票の差になっているのではなく、やはりこれらの国々はロシアのやっている蛮行が事実であると判断し、国際法上許されない行為であると認めたことが大きいと言えるでしょう。
最近では欧米各国にウクライナへの支援疲れがあると言われるわけですが、ロシアのやっていることを見過ごすことを国際社会は良しとしていません。
ロシアが方針転換して再びウクライナの穀物輸出に同意!さらにウクライナが「汚い爆弾」を準備しているという説も放棄。国際社会がロシアに道理を通させる道はある。
国際司法裁判所がロシアに対し、ウクライナでの軍事行動を即時停止するよう命じる仮保全措置命令(法的拘束力あり)。「ロシアによる武力行使は国際法に照らして重大な問題を提起しており、深い懸念を抱く」
それにしても、ロシアとウクライナができるだけ早く停戦して戦争の被害がこれ以上拡大しないことは誰にとっても利益であり望ましいことですが、これについては注目すべき動きがありました。
前述の通り、中国はロシアと軍事演習もするくらい緊密な関係を保っていて、中ロでの会談もしたばかりで、欧米諸国のロシアに対する経済制裁には参加せず貿易額をむしろ拡大していて、ロシアが戦争を継続するにあたって一番の支えになっている存在なのですが、その中国外務省は国連総会決議と同じ2月24日、ウクライナ危機に関する中国の立場を示す文書を発表しました。
これによると、中国はロシアとウクライナの双方に対し
「互いに歩み寄り、できるだけ早期に直接対話を再開することを支持する」
と表明し、全面的な停戦を目指すよう呼び掛けています。
また、プーチン大統領がこの戦争で核兵器を使うぞという威嚇をしていることに関しては
「使用や威嚇には反対すべきだ」
と表明し、逆にロシアがウクライナで準備されていると主張している生物化学兵器についても
「いかなる国がいかなる状況においても、研究開発や使用することに反対する」
と言っています。
ロシア・モスクワで、ウラジーミル・プーチン大統領(右)と握手を交わす中国外交トップ、王毅共産党政治局員(2023年2月22日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News(AFP=時事)
やはり仲介役は中国・トルコ・インド。
トルコ大統領から「一方的な停戦の宣言」を求められ「ウクライナが新しい占領地の現実を受け入れるならばロシアは真剣な対話にオープンだ」と言い放ったプーチン大統領が36時間だけのクリスマス休戦宣言(酷い)
さらに、中国のこの外交文書は、米国が主導するロシアに対する経済制裁を念頭に
「国連安全保障理事会による権限委託を受けていない一方的な制裁に反対する」
とけん制し、NATOの東方拡大に原因があるとするロシア側の主張を念頭に
「地域の安全は、軍事グループの強化や拡大によって保障することはできない」
と主張しながらも、
「各国の主権、独立、領土保全は適切に保障されなければならない」
と指摘して、侵略を受けているウクライナ側の立場にも配慮しています。
ところで、アメリカなどの産軍複合体がウクライナ戦争で大儲けしている一方で、中国は経済制裁を受けているロシアと貿易することでコロナ禍で打撃を受けた経済がひと息つけています。
また、アメリカなど西側諸国がウクライナ支援で疲弊することは中国にとって利益と彼らは考えているので、中国がウクライナ戦争で本気で仲介役をするか、戦争を止める側に回るかは、アメリカと同じで期待ばかりはできないところがあります。
しかし、中国がウクライナ戦争についてここまで踏み込んで発言したことは初めてですし、ロシアが依存する中国がウクライナにも目配りの聞いた公文書を戦争から1年目に公表したことは大きな影響がありますので、注目していきたいです。
国連が中国のウイグル自治区での深刻な人権侵害について報告書。中国共産党により拘束されているウイグルの人たちを解放するよう求め「人道に対する罪に該当する可能性がある」と指摘。
アメリカの産軍複合体はウクライナという新たな「市場」を見つけた。第二次大戦後、世界中で戦争をしまくり、イスラエルによる武力行使を放置するアメリカに、ロシアによるウクライナ侵略を非難する資格はない。
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白井邦彦青山学院大学教授特別寄稿「ロシア・ウクライナ戦争の即時停戦・和平交渉による解決を強く訴えます。 ー奪われた領土は取り戻せても、失われた命は二度と戻らないー」
白井邦彦青山学院大学教授特別寄稿「なによりもまず即時停戦、そして和平交渉へ ーウクライナ政権に軍事支援を行っている国の一市民としてー」
ロシア軍によるウクライナ侵略から半年。市民の死者は5500人以上、子どもたちの死傷者1000人、兵士の死者両軍合わせて3万人?戦争は始まったら容易に止められない。軍隊があっても戦争は止められない。
【2022年回顧1】ウクライナ戦争の教訓は軍備では戦争を防げず戦争が始まったら停戦は至難という事実。日本の最高の安全保障戦略は先制攻撃能力による抑止ではなく、憲法9条による平和外交での緊張緩和だ。
ウクライナとロシアのこの戦争での人的被害は、たった1年でそれぞれ死傷者が数十万人。
ウクライナから国外に避難した人が7~800万人、国内で避難民になっている人が500万人で、全人口が4400万人の国なのに、実に3人に1人が難民になってしまっています。
これもすべてロシアが侵略戦争を始めたのが悪いわけですし、最終的には戦争犯罪は今後の世界で同じことが起きないように裁かれねばなりませんから、ロシアの戦争犯罪を追及するという今回の決議内容自体はいいのです。
しかし、責任追及を優先すると、それこそロシア内部の戦争犯罪人になりそうな人が自らの罪を免れるのを優先して、あくまで、勝つまで、戦争を続けるというマインドになってしまいます。
だから、今回の国連総会の決議のうち、ロシアの即時・無条件・完全な撤退とその前段階の市民への攻撃停止を戦争犯罪の追及より優先していくのが現実的です。
そうでないと、どれだけ戦争が長期化し、犠牲者が増えるかわかりません。
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国連総会(193カ国)は23日、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる緊急特別会合で、ロシア軍の即時撤退などを求める決議案を141カ国の賛成多数で採択した。侵攻が長期化する中、国連憲章や国際法に違反する行為は許されないと改めて確認した。
国連総会の決議に法的拘束力はないが、国際社会の政治的な意思を示すものになる。決議案はウクライナが提出し、日本も共同提案国に加わった。採決では中国やインド、南アフリカなど32カ国が棄権に回った。シリアやベラルーシなど7カ国は反対した。
ウクライナのクレバ外相は米ニューヨークの国連本部で記者団に対し「加盟国はウクライナの領土と主権に対する明確な支持を改めて表明した」と評価した。
決議は、武力によるいかなる領土の取得も認められないと再確認。ロシア軍の「即時、完全、無条件」の撤退を要求した。領土保全など、国連憲章に合致した形での和平を達成する必要性も盛り込んだ。また、国際法上の犯罪には「適切かつ公正で独立した調査と訴追」が必要だと強調した。
国連総会は昨年3月以降、ロシアによるウクライナ東・南部4州の一方的な併合を認めないとする決議(10月)など3本の決議を約140カ国の賛成で採択。一方、ロシアに損害賠償を求める決議(11月)など2本の決議では、新興国や開発途上国などを中心にロシアに配慮する国も多く、賛成は約90カ国にとどまった。
今回、各国にとって不可欠な国連憲章の原則に改めて焦点を当てたことで、加盟国の3分の2以上の大多数から賛成を得た。
採択に先立ち、日本の林芳正外相は「我々はみなウクライナの平和を望んでいる。しかし、平和は原則に基づくものでなければならない」と演説。「想像してほしい。もし、ある常任理事国があなたの国を侵略し、領土を奪った後で敵対行為を停止し、平和を呼びかけてきたとしたら」と呼びかけ、「私はこれを不当な平和と呼びたい。このような行為が許されるのであれば、それは侵略者の勝利となってしまう」と訴えた。【ニューヨーク隅俊之】
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて1年となるのに合わせ、国連総会では、ロシア軍の即時撤退とウクライナでの永続的な平和などを求める決議案の採決が行われ、欧米や日本など141か国が賛成して採択されました。
国連の193すべての加盟国が参加できる国連総会では、2日間にわたって緊急特別会合が開かれ、23日、欧米各国や日本などが共同で提案した、ロシアに対する決議案について協議が行われました。
▼「武力による威嚇や武力行使による領土の獲得は合法と認められない」とした上で、
▼「国連憲章の原則に基づいてウクライナにおける永続的な平和が可能なかぎり早期に実現される必要がある」としています。
そしてロシア軍に対し即時かつ無条件の撤退と、ウクライナの重要インフラ、学校や病院などの民間施設への攻撃の停止などを求めています。
▼欧米各国や日本など141か国が賛成、
▼ロシアや北朝鮮など7か国が反対、
▼中国やインドなど32か国が棄権し、
棄権と無投票を除く3分の2以上の賛成で、決議が採択されました。
この1年間に国連総会でロシアに対する決議が採択されたのは6回目で、賛成した国の数はこれまでで最も多かった143か国とほぼ同じで、ロシアの軍事侵攻に対する各国の批判を反映したものとなりました。
一方で、反対や棄権などに回りロシアへの配慮を示した国もおよそ50か国にのぼり、国際社会の分断も改めて浮き彫りにされました。
ウクライナ クレバ外相「ウクライナ支持 西側諸国だけでない」
中国 戴兵国連次席大使「一方的な制裁やめるべき」
同じく、採決を棄権した南アフリカの国連大使は「この戦争は最もぜい弱な人々の生活に影響を与え、世界で食料やエネルギー、財政の危機を引き起こしている。そして、ウクライナへの武器の流入により、暴力行為と人的被害が拡大している」と述べました。
林外相 ウクライナの平和求める決議案に賛成を呼びかけ
この中で、林大臣は「193の国連加盟国は異なる立場を代表し多様な意見があるが、ウクライナの平和を望むという一点では一致できると信じている」と述べた上で、ウクライナが提出し日本などが共同提案国となった、ウクライナの平和を求める決議案に賛成するよう呼びかけました。
また、ロシアに対し即時に無条件で軍を撤退させるよう改めて求めるとともに、核兵器の使用や威嚇は決して許されないと強調し、ほかの国は、直接的にも間接的にもロシアへの支援を控えるべきだと訴えました。
さらに、国連の信頼を回復する必要があると指摘し、安全保障理事会の改革だけでなく国連全体の機能強化が必要だと訴えました。
その上で「平和とは単に敵対行為が停止すればよいものではない。主権や領土の一体性といった国連憲章の原則に基づく、包括的で公正でかつ永続的な平和でなければならない。その前提は、ロシア軍が即時に完全にかつ無条件に撤退することだ。同時に、ロシアの侵略による世界的な食料やエネルギー供給などへの影響に対処するための国際的な連携も必要だ」と強調しました。
ドイツ ベアボック外相「抑圧者と孤立か、平和のため団結か」
中国、ロシアとウクライナに和平協議再開呼び掛け 核兵器使用には反対
2023年2月24日 13:23 発信地:北京/中国 [ 中国 中国・台湾 ]
【2月24日 AFP】ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年となった24日、中国政府は両国に対し、早急の和平協議開催を呼び掛けるとともに、ロシアの核兵器使用に反対を表明した。
中国は外務省公式サイトで、ウクライナ危機の「政治的解決」をめぐる自国の立場について、12項目から成る文書を発表。この中で関係各方面は「ロシアとウクライナが同じ方向を向き、できるだけ早期に直接対話を再開するよう」支援すべきだと主張した。 またロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が使用を示唆している核兵器については「用いてはならないし、核戦争を起こしてはならない」と強調し、使用のみならず配備にも反対する姿勢を鮮明にした。
中国はさらに民間人保護の必要性も強調。「紛争当事国は国際人道法を厳守し、民間人や民間施設への攻撃を避けるべきだ」とした。
ウクライナ侵攻をめぐって中国はこれまで、戦略的パートナーであるロシアとの緊密な関係を維持しつつ、中立的な立場を取ってきた。22日には中国外交トップ、王毅(Wang Yi)共産党政治局員が、プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相とモスクワで会談した。ロシア政府は中国から今回の文書の提示があったとしている。
一方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は23日、中国の和平案を見たことはないとしつつも「中国がウクライナについて語り始め、サインを送ったことは非常に良いことだ」と述べ、中国側との会談を希望した。
米国と北大西洋条約機構(NATO)は、中国がロシアへの兵器供給を検討しているのではないかと懸念している。(c)AFP
2023/2/24 11:25 産経新聞
【北京=三塚聖平】中国外務省は24日、ウクライナ危機に関する中国の立場を示す文書を発表した。ロシアとウクライナの双方に対し「互いに歩み寄り、できるだけ早期に直接対話を再開することを支持する」と表明し、全面的な停戦を目指すよう呼び掛けた。
文書では、ロシアが使用をちらつかせる核兵器について「使用や威嚇には反対すべきだ」と表明。生物化学兵器についても「いかなる国がいかなる状況においても、研究開発や使用することに反対する」との考えを示した。
米国が主導する対露制裁を念頭に「国連安全保障理事会による権限委託を受けていない一方的な制裁に反対する」と牽制(けんせい)した。
文書は「各国の主権、独立、領土保全は適切に保障されなければならない」と指摘し、侵略を受けたウクライナ側の立場に配慮した。同時に、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に原因があるとするロシア側の主張を念頭に、「地域の安全は、軍事グループの強化や拡大によって保障することはできない」と主張した。
中国は、米国との対立激化をにらみ、ロシアとの連携を強化する一方で、ウクライナ問題では過度にロシア寄りの姿勢をとって国際的に孤立することを避けようとしている。
これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!!!