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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

北朝鮮の「人工衛星」ならぬ「ミサイル」打ち上げと迎撃問題 PAC3と自衛隊配備に奔走する防衛省の真意

2012年04月10日 | 人権保障と平和

 

 北朝鮮が、2012年4月16日から22日の間の発射を予告している長距離弾道ミサイルとみられるロケットと、搭載するとしている衛星を外国メディアに初めて公開しました。ロケットは既に3段目まで発射台に設置され、発射準備はほぼ完了したということです。

(あからさまにテポドン2号の「人工衛星」)



 異例の公開に踏み切ったのは、打ち上げを「平和的な宇宙開発のため」として、国際社会の非難をかわす狙いでしょうが、弾道ミサイル技術を使った全ての発射を禁じた国連安保理決議違反は明白です。

(2012年4月8日、北朝鮮北西部・東倉里の発射場で、ミサイルに搭載される「人工衛星」を海外報道陣に説明する北朝鮮技術者=ロイター)



 これ以降ミサイルと人工衛星の間を取って「ロケット」と書きますが、このロケット発射は違法と言うだけでなく、非常に低い確率とはいえ日本の生命・財産に被害が出る可能性がなくもないわけです。

 これが本当に人工衛星の発射実験なら迷惑もお互い様なのですが、日本にとっては、ロケットの破片が沖縄県に降り注ぐ可能性があるというだけではなく、漁業者の不安、飛行機の飛行ルートの変更などなど、さまざまな意味で許せない話です。

 そして、この北朝鮮のロケット発射に乗じたというべき政府・防衛省・自衛隊の策動もあり、何重もの意味で迷惑な話になっています。

 日本国内ではこのロケット発射に備えた迎撃態勢をとるため、自衛隊法に基づく破壊措置命令が出されました。そして、海上自衛隊のイージス艦3隻と、航空自衛隊が地上配備する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を沖縄と、首都圏に配備しました。

 政府は「通常は日本領域内に落下することはない」としながらも、「万が一の事態に備える」というのですが、国民の安全を考えたという以上の意図があるのでしょう。



 そもそも、下の図のように、沖縄本島などに配備されるPAC3の空自部隊のほか、警備と救援活動の目的で、石垣島など先島諸島に陸上自衛隊の計約400人(批判を受け減員)が派遣されたことにそのことが現れていると言えるでしょう。

 だって、PAC3の警備は空自でできますし、万一の場合の救援活動と言っても、沖縄県民に被害が出たら、消防署の救急車で負傷者を病院に運べば良いし、火災が起きたら消防署が対処するわけで、陸上自衛隊が何百人も必要なわけがありません。

 野田内閣は武器輸出3原則の事実上の法規など軍拡内閣の側面も持っています。

 政府は2010年に決定した「防衛計画の大綱」で、南西諸島の防衛力強化を明記し、先島諸島に沿岸監視部隊や普通科部隊を配備する方針を打ち出しています。今回の大がかりな派遣が、部隊常駐への地ならしであることは疑いの余地がありません。

野田新内閣は軍拡政権 宇宙航空研究開発機構の「平和目的」を削除・秘密保全法案・武器輸出3原則見直し

 


 PAC3を今回沖縄へ配備したことについては、本当は軍事的な意義はなく、ミサイル防衛舞部隊の展開訓練と「先島(さきしま)諸島」と呼ばれる石垣島(石垣市)、宮古島(宮古島市)、与那国島(与那国町)への自衛隊進出の地ならしが目的でしょう。

 沖縄では、太平洋戦争末期、日本軍が住民を巻き込んだ激しい地上戦の結果、多くの犠牲者が出るなどしたため、自衛隊を旧日本軍と同一視して反発する住民も少なくありません。

 上の地図のように、石垣島や与那国島にもPAC3や自衛隊員数百人が派遣されますが、実はこの2島にはもともと自衛隊基地がないことに意味があるわけです。

 普天間基地移設問題で失態続きの防衛省が、沖縄県に「貸し」を作るという意味合いもあるでしょう。

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真部局長の宜野湾市長選挙「講話」問題は、沖縄差別で国家による犯罪であることが本質だ

 

 

 防衛省にとっては、総額1兆円を超える「ミサイル防衛システム」の良い宣伝の機会にもなりました。

 そもそも、前回2009年の北朝鮮のロケット発射でも、破片が日本に落下する可能性を検討した結果、ほぼゼロだと考えられていました。今回、北朝鮮の技術もそれなりに上がったであろう事を考えると、ほとんど飛来の可能性はないものと思われます。

 しかし、鳴り物入りでPAC3を導入し、今後も予算を獲得しなければならない防衛省は、2009年の際も、「何もしないわけにはいかない」と主張し、政府として「万が一に備える意味」で、2009年は北朝鮮が発射する軌道の真下に当たるよう秋田、岩手と東京都心に配備しましたが、なにごともありませんでした。

 今回も日本政府はPAC3を東京・市ヶ谷の防衛省庁舎前と習志野・朝霞の自衛隊基地に配置しました。しかし、2009年の北朝鮮は日本海側にミサイルを発射したので東京都心にもPAC3を配置したことにも多少の意味がありましたが、今回は南に発射するので、東京とは全く関係ないわけです。

 日本の国民を守るのが目的なら、使える迎撃システムは軌道に近い沖縄や九州側に集中して配置するのがあたりまえです。それなのに明後日の方向に配備するなどというのも、ミサイル防衛・軍事力増強に対する国民の関心を高めるための措置としか言いようがありません。

 そもそも、今回、沖縄でも下の図のように予想される軌道から約300キロ東に外れた沖縄本島を含め、宮古島、石垣島と東西に広がる形でPAC3を配備しました。

 しかし、PAC3の射程は半径約20キロの範囲です。そんなに横長に配備しても図のようにPAC3は届かない地域が広く、沖縄本島の配備さえ無駄なわけです。

 

 

 今回の実戦配備は、北朝鮮による「衛星打ち上げ」を利用したMDの運用訓練との見方が強いです。ミサイル防衛の開発費を含む最終的な経費は1兆円規模ともみられ、こうした「高額な兵器をリアルな環境で試したい」(軍事評論家の前田哲男氏)という自衛隊側の要請が強いというのです。

 実際、MDの拠点として日米合同で作戦を練る「共同統合運用調整所」の運用が、2012年3月末から米軍横田基地(東京都)で始まり、防衛省幹部から「絶好のタイミング」と意気込む声も上がっているそうです。

 たとえば、2009年の北朝鮮のミサイル発射時、PAC3の移動には民間船を使用したが今回は海自輸送艦2隻も初めて投入しました。石垣島では自衛隊施設でない港の埋め立て地にPAC3を配備し、陸自隊員が小銃を携行して防護していますが、これも初の試みということです。

 たぶん、防衛省にとっては、今回の北朝鮮のロケット発射は成功してくれて、飛来物がないのが一番ありがたいのだと思います。それは日本国民のためというより、必ず当てるという自信がないからです。

 ミサイルの迎撃試験で成功事例を国が強調しても、「ピストルの弾をピストルの弾で撃ち落とすようなもの」と実戦能力を疑う日米の専門家は少なくありません。

 北朝鮮からロケットが発射されてから日本領海に入るのが7分ですから、今回のように事前に何週間も準備期間があっても当てるのは難しいです。まして何時どこからどこを狙ってくるか分からない、さらには相手が擬似弾などを使う可能性がある将来の実戦ではなおさら役に立たないのがミサイル防衛です。

 もともとお金の無駄で、軍需産業だけが喜んでいる代物です。



 まして、今回はロケット発射が失敗した場合の破片にあてるというのですから、「的」もさらに小さくなっています。

 さらに、そもそもPAC3は重力にしたがって計算通り落ちてくるミサイル本題を迎撃することしか想定しておらず、ロケットの破片のように空気抵抗で軌道を不規則に変えるものに当てるようには出来ていません。

 PAC3自体にもレーダーがついていて、飛来物との距離が直近になれば軌道修正も可能ですが、当てるのは至難の技です。

 もし万一、北朝鮮のロケットの破片が飛んできて、「ミサイル防衛」のミサイルが一つも当たらなかったら、どう言い訳するのか。万万が一、沖縄県民に被害が出たら。。。。防衛相が恥をかくと言うだけではすみません。

 巨額の血税出費はなんだったのかということになりますから、防衛省にとっては北朝鮮のロケット発射は両刃の剣といえるわけです。彼らが一番北朝鮮のロケット発射成功を望んでいる人たちかもしれません。

 我々も沖縄の方々の安全を祈るしかありません。政府は最後の最後まで北朝鮮に発射を思いとどまらせる努力も怠らないようにすべきです。

新型迎撃ミサイル実験またも失敗! ミサイル防衛なんて不可能

 

 

 ところで、4月7日に那覇港浦添埠頭からPAC3が基地へ移送されるのを前に、自衛隊の広報官が報道陣に「今から出発しまーす」と声を掛けたそうです。

 出発直前には「カメラ の皆さん、準備できましたか」などの「好意的配慮」も見られたのだとか。もちろん、那覇基地内では内部の立ち入りも許可しました。「ちゃんと撮影できましたか」などと尋ねてくる場面もあったそうです。

 観光バスの添乗員さんじゃないんだから。

 自衛隊の部隊の配置は軍事行動ですから、米軍なら厳しく報道規制をするところです。

 たとえば沖縄県内では、これまでに米軍によるPAC3の移動訓練が数回行われていますが、これまで米軍は「訓練」でさえ詳細な実施時間は知らせず、基地の外でも取材記者に対し「ノーピクチャー」などと手をかざし威圧的行動も取ってきていたそうで、PAC3の取材に対する両者の姿勢は大きく異なります。

 軍隊としては米軍のありかたのほうが「正常」でしょう。

 それを一方で陸上自衛隊に銃を持たせてPAC3部隊を護衛させながら、他方では移動の日時場所も全て公開してしまうのですから、軍事行動としてもテロリスト対策としてもナンセンスです。

 本当に日本国民の生命と安全と財産の危機と思っているなら、今回の自衛隊ははしゃぎすぎです。

 そこまでしてもマスメディアに報道させようとする今回の「ミサイル防衛」騒動は、先島諸島で、そして日本全体で、自衛隊とミサイル防衛を国民が受け入れるための関係づくり、既成事実づくりを意図しているというべきでしょう。

 マスコミもそれに乗っかって無批判にお祭り騒ぎをしすぎです。

 ある意味、北朝鮮と中国と日本のそれぞれの軍部や軍需産業って持ちつ持たれつなんだなあと思わざるを得ません。

 

 

沖縄県民の人命と財産の危機とは本当に思っているように見えない自衛隊。

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毎日新聞 2012年04月10日 東京朝刊

 北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルの発射に備え、防衛相の破壊措置命令を受けた自衛隊 は9日、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦と地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC3)の配備を完了した。12~16日に 予告された発射を控え、「万一」の備えが整った。だが、日本の領海・領土に本体や部品が落下する可能性は「極めて低い」(防衛省幹部)。そうした状況下で の大がかりな部隊展開の裏には、防衛強化への思惑が透けて見える。

 日本の弾道ミサイル防衛(MD)は、SM3によって大気圏外で迎撃し、打ち損じた場合はPAC3で破壊する2段構えだ。自衛隊はPAC3を沖縄県内4カ所と首都圏3カ所に設置。イージス艦3隻を東シナ海と日本海上に配置した。

 ミサイルが発射されれば米軍の早期警戒衛星が熱源を赤外線探知。情報は米本土の司令部などを経て横田基 地(東京都福生市)内に先月移転した空自航空総隊司令部など日本側へ1分で届く。更に警戒管制レーダーFPS5やイージス艦のレーダーで追跡。着弾地点や 時刻を割り出し、MDを指揮する航空総隊司令官が迎撃の必要性を判断する。発射から日本到達までは7分程度。瞬時の判断が必要だ。

北朝鮮はミサイルの1段目は黄海、2段目はフィリピン東方沖の太平洋に落下すると予告しており、迎撃は2段目の故障や事故でミサイル本体や部品が日 本の領海・領土に落下する場合だけ。迎撃するには「ピストルの弾をピストルで撃ち落とすよりも一層のスピードが求められる」(防衛省)とされるが、命中す るのか−−。

 海自がハワイ沖で行ったSM3の発射実験は4回のうち3回は成功したが、1回は弾頭部の不具合で失敗。空自のPAC3は米国での2回の試験で2回とも迎撃に成功した。だが、発射時刻をあらかじめ伝えるなど迎撃側に有利な設定で行われた感は否めない。

 SM3、PAC3は共に最後は弾頭をミサイル自身のレーダーなどで捉え直接当たる構造だが、PAC3は空気抵抗で落下が不規則になる可能性がある部品への対応は想定していない。迎撃に成功しても破片が落ちて被害が生じる恐れもある。

 弾道ミサイル防衛に詳しい元海自護衛艦隊司令官の金田秀昭・岡崎研究所理事は「難しいが、PAC3は大 気圏内で不規則に方向を変える目標にも対応する。2段構えや同時複数発射で命中率を上げることができる」と見る。しかし、防衛省幹部からは「やってみない と分からない。撃たないで済むなら、それに越したことはない」との本音も漏れる。

 ◇中国にらみ部隊派遣

「政府は万々が一に備える」と、藤村修官房長官は破壊措置命令が出た先月30日のコメントで強調した。だが、今回の部隊派遣には、軍事活動を活発化させる中国をにらんで、南西地域の防衛強化の追い風にしたい意図がにじんでいる。

 自衛隊が先島諸島に配置した人員は石垣島450人、宮古島200人、与那国島50人など計700人で、 このうち400人は被害確認や住民救助にあたる陸自隊員。当初は陸自だけで750人規模だったが、仲井真弘多(ひろかず)・沖縄県知事が「適正規模を」と 求め、防衛省内からも「やり過ぎ」との声が上がったことを考慮した。

 政府は10年末にまとめた防衛大綱で南西地域の防衛力強化を打ち出し、今年度予算に与那国島への沿岸監視部隊の配備費を計上。石垣島などに有事の初動対応部隊を置くことも検討している。

 ある制服組幹部は「南西防衛のシミュレーションになる。学べることは多い」と明かす。09年の北朝鮮の ミサイル発射時、PAC3の移動には民間船を使用したが今回は海自輸送艦2隻も初めて投入。石垣島では自衛隊施設でない港の埋め立て地にPAC3を配備 し、隊員が小銃を携行して防護している。これも初の試みという。

陸自は住民感情に配慮して、先島諸島への派遣は地元・沖縄の部隊に限定。石垣島では港にテントを立てて宿営し、迷彩服の隊員がむやみに出歩かないように気を付ける一方、食材などは地元で調達して「経済貢献」する。発射が終われば速やかに撤収する方針だ。

 「部隊常駐への地ならしを狙っているのではないか」との見方に対し、君塚栄治・陸上幕僚長は5日の記者会見で「地域の安全・安心に寄与していないということになれば(次に)悪影響を及ぼす」と今後を意識していることを隠さなかった。【鈴木泰広、北京・米村耕一】

 ◇北朝鮮、報復示唆し反発

 北朝鮮は、日米韓が迎撃態勢を取っていることに「(迎撃は)戦争行為であり、破滅的な悪影響をもたらす」と警告を発するなど強く反発している。「打ち上げ」予告期間の12~16日が近づくにつれ、情勢は緊迫の度合いを増している。

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の祖国平和統一委員会の報道官は5日、日本などが準備する迎撃態勢に対し て「どんな口実だとしても、われわれのロケットの残骸に対する迎撃や回収をするなら、無慈悲な攻撃で断固懲罰する」と威嚇した。6日付の朝鮮労働党機関紙 「労働新聞」(電子版)も「米国が人為的に事態を悪化させている」と批判した。


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4 コメント

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国連安保理決議違反と金科玉条のようにおっしゃいますが (Unknown)
2012-04-10 13:51:22
http://blog.goo.ne.jp/e-hori/e/c093fd5467d8aed69bb1ba7b1489d78d

上記ブログの記事の、「『宇宙空間は、すべての国がいかなる種類の差別もなく、平等の基礎に立ち、かつ、国際法に基づいて、自由に探査し及び利用することができる』と規定した宇宙条約にも反する乱暴な国際法蹂躙の犯罪行為」という指摘についてはどうお考えでしょうか?
返信する
Unknown (kei)
2012-04-10 22:59:27
こういう時の万が一には多額の軍事費を注ぎ込むくせに、原発事故の万が一にはケチる国って何なのでしょうね。

漫画等でよく有る、仲間に好きな子を襲うフリさせて自分が倒して認めてもらう作戦みたいな、やらせモードをどうしても感じてしまう。
返信する
北朝鮮に対処すべき日本の処方は? (cafe藤原英夫  落ち着いて冷静にネ)
2012-04-12 04:20:36
 このような、ミサイル長距離大陸弾道弾ミサイル発射の人工衛星北朝鮮政府が、打ち上げる時にいつもあたふたして、防衛省・自衛隊がPAC3迎撃用ミサイルを配置しなければならないのか?

 その場当たりの北朝鮮対策で、日本全土と領海の安全保障を守れるのか?
 
 北朝鮮が、仮に一発のICBMを発射して、人工衛星の軌道に乗せられたからと云って、自衛隊の迎撃隊を配備するのは、どうも日本人の侍魂が臆病のようで、サムライの精神を失っているのではないだろうか?

 一発のミサイルを北朝鮮が地球を回る宇宙空間の軌道へ乗せて、気象観測に使用したいというのならば、「どうぞどうぞ、ところで日本も気象衛星で天候の予報をしてます。ご一緒に、極東地域の日本海周辺気象を、共同で観測して、情報交換しましょうか」と、云うのはどうか?

 何故、日本人は、これほどまで卑屈になって、自信を失っているのだろうか?ちょっと、考えてみてください。日本の工業力、技術水準は、世界の平均的水準を凌駕するから、ドーンと構えていればよいのだ。

 そもそもミサイル技術は、第二次世界大戦の最中に、ドイツの独裁者ヒットラーが、独力で開発したV2ロケットが最初で、英国の首都ロンドンへへ打ち込んだから、イギリス空軍が慌ててそのロケットを打ち落とそうと、追尾した話が有名でした。

 日本は、その頃、専ら肉弾三銃士の自爆兵器突撃、ゼロ・ファイターの自爆飛行機敵艦攻撃(荒鷲特攻隊)でした。また、戦艦大和も帰りの燃料油なしに瀬戸内海を南下し、五千名の乗組員らが自殺航行した、初めで最後の出撃だった。

 日本が、その世界を相手の戦争で失ったものは何だったか?敗戦の原因は、総合的な経済力と科学技術力の決定的な不足でした。現代戦は、総力戦の呈をなしている。産業と技術の底力と教育水準の高さが、国家安全保障のために求められる。

 その充実こそが、真の防衛力です。先ず、一番大切なのは、「人間の顔をした政治、経済、文化の豊かな教育社会を育てること」でしょう。

 そう、空を見上げるよりも、足下に着目して、日常生活を一歩一歩と、人間らしく人権思想を第一に!原爆、ミサイルなどは、総合力が開発の決め手になります。北朝鮮ミサイルの一つや二つ、また山中の原爆実験と失敗・成功したとて、その足元を見れば「アメリカへ穀物の無償提供=寄付をお願いしている貧しさです。」

 その北朝鮮による、”虚仮脅かし”に引っかかることはない。国際政治は、先ず外交力を強化することに尽きる。この点は、残念ながら日本が最大の弱点でして、「世界最低の外交」であると、歴史的に評価されてきた。

 これは、正しい評価でした。国際関係を学び、語学力を身につけた知識と教養に、励もうではないか?
 

 
返信する
自由と民主主義 (時々拝見)
2012-04-14 13:57:35
学問の自由、言論の自由、少数意見の尊重、等々、民主主義の基本がなってない国には、科学技術の発展は望めない、ということが証明されたような結果になりました。
「いつまでに打ち上げろ~」「何?不具合があっただと~?だったら公務員やめて、収容所に行きたいか?」式の上意下達は科学技術の大敵だと思います。(おそらく、長期の経済にとっても。)ロケットや列車の事故が起こって当然です。
国歌の強制は、おしまいの始まりでしょう。

先日の朝日新聞に赤川次郎氏の投稿がありました。橋下氏の文楽に対する発言を批判したものでした。
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