最後列左から2番目、兵庫訴訟の故小林喜美子さんの遺影を掲げて持っておられるのが、近畿原爆症訴訟弁護団の弁護団長でもある藤原精吾先生です。
今日判決だと数日前にメールをいただきました。
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旧優生保護法(1948~96年)の下で2万5000人もの知的障害者や精神障害者の方々が不妊手術を強制されました(パイプカットや子宮切除!)
中には障害がないのに「間違えて」手術をされた方までいました。
旧優生保護法で強制的に不妊手術をされた女性が、国家賠償請求訴訟を提起!
そんな強制不妊手術を可能にした旧優生保護法は憲法違反だとして、障害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審で、最高裁大法廷は2024年7月3日、旧法を
「立法時点で違憲だった」
として、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。
戦後に日本国憲法が制定され、その中に違憲立法審査権が81条に規定されたのち、法令の適用や運用が違憲とされたのではなく、最高裁で法令自体が違憲とされたのは13件目。
しかし、最初から、立法時点からすでに違憲だと裁判所が判決したのは史上初めてです。
いかに、この旧優生保護法が酷い人権侵害立法だったかということがこの一点だけでもわかろうというものです。
これは最高裁15人の判事、全員一致の判決です。
今日の最高裁判決はまず、旧優生保護法の違憲性について
「不良な子孫の淘汰」
を目的に不妊手術を認める規定は、障害がある人などを
「不良」
とみなしていて、
「当時の社会状況をいかに勘案しても正当化できない」
と指摘しました。
そして、同法は立法目的のために障害者に生殖能力を失わせるという重大な犠牲を強制し、憲法13条が保障する
「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」
を侵害する、としました。
また、障害がある人らだけを手術の対象としたのは差別的取り扱いで、法の下の平等を定めた憲法14条にも違反する、としたんです。
さて、憲法の答案を書いたことのある方ならよくわかると思うんですが、普通、ある法令が違憲かどうか判断する場合、その法律が作られた立法目的に合理性があるか、そして立法目的を達成されるために採用された手段が立法目的から見て合理性があるか判断されます。
そして法令が違憲だという結論を出すにしても、立法目的には一応の合理性があるが、手段が目的と関連性がないとか、手段がやりすぎだとか、ほかに選択できるもっと人権を制約しない手段があるとか言って、法令を違憲だというものなんですよ。
これまでの12の法令違憲判決はみんなそうでした。
しかし、今回の最高裁判決では、そもそも立法目的自体に合理性がないと言ったのです。
だって、旧優生保護法の目的が
「不良な子孫の淘汰」
で、知的障害や精神障害のある人が子どもを作ったらそれは「不良品」を作ることだから、それを阻止するのがこの法律の目的だというんですからね。
どんなナチスですか、戦後日本という国は。
そして、いったい、人間には優れた血統と劣った血統があって、障害があったら人として価値が劣る、そんな不良な血統は絶やさないといけないという法律を作るこの国の国会は、どれだけ危険なファシストなんだということなんですよ。
日本という社会全体の恥。1996年まで行われていた旧優生保護法による強制不妊手術。裁判所は「旧優生保護法に基づく強制的な手術は憲法13条が保護する私生活上の自由を侵害する」。
ところが、国はこの旧優生保護法がそんな優性思想に毒されていて許されないと認めて廃止し、1998年に母体保護法にしたあとも、国に強制不妊手術をされた人々を救済しようとはしませんでした。
それどころか10年前に提訴されたこの裁判の中で、被害者の方々に国家賠償請求権があるとしても、それは民法724条が定める、不法行為から20年で賠償請求権が消える「除斥期間」の規定ですでに請求権は消滅してしまっているんだと争ったんですよ。
この最高裁判決のその日まで!
ちなみに、除斥期間制度の制度趣旨は法的安定性の維持や証拠の散逸による立証の困難などがあげられ、個別の事情は勘案されにくくて、これまで最高裁で除斥期間の適用排除が認められた例はたった2つしかありませんでした。
しかしこの日の最高裁判決は、除斥期間の適用についても、旧優性保護法による人権侵害の重大性に照らし
「今回適用するのは著しく正義・公平の理念に反する」
と判断したんです。
もう少し詳しく言いますと、最高裁は1989年に民法724条2項の制度は消滅時効ではなく除斥期間だと判断し、不法行為への損害賠償請求権は20年経てば時効と違って被告側が主張しなくても、機械的・絶対的に消滅すると判断しました。
そして、この裁判でも国側は民法724条2項を持ち出して
「半世紀以上前に手術を受けた原告らの請求権は消滅した」
と主張してきました。
しかし、最高裁大法廷は1989年の判例をくつがえして民法724条2項が除斥期間ではなく時効だ、とまでは言いませんでしたが、同項は
「被告側が主張して初めて請求権が消滅する」
と変更しました。
そのうえで、今日、最高裁は
1 当初から違憲と評価される立法で手術を進めた国の責任は極めて重大
2 障害がある原告らの権利行使には制約がある
3 1998年の旧法廃止後も「手術は適法だった」として被害補償をしなかった
ことなどをあげて、時間の経過で国が賠償責任を免れるのは
「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない」
として、国の除斥期間適用の主張は
「信義則に反し権利の乱用で許されない」
と判断して、被告国をコテンパンにやっつて、原告の権利は消滅しておらず、国には賠償責任があると結論づけたのです。
問題は、戦後の地球上でも稀に見る差別思想の法律によって、2万5000人もの障害者の方々に強制不妊手術をしておいて、しかも法改正した後にもろくに補償もしてこなかった被告国が、裁判で最高裁まで徹底的に争ったこと。
そしてとうとう最高裁で木っ端みじんに負けた後、岸田首相がやっと
「政府としても旧優生保護法を執行していた立場から、真摯に反省をし、心から深くお詫びを申し上げる次第です」
と述べて、不妊手術を強制された人たちへの賠償を速やかに行う考えを示した。。。
のは当たり前ですが、どの面下げて心からお詫びするとか、そういうことが言えたのかってことなんですよ。
そういう申し訳ないという気持ちは今日の最高裁判決で突然芽生えたんですか?
もしそういう気持ちがあるなら、どうして高齢の原告たちに最高裁まで戦わせたんですか。
裁判の途中で亡くなった原告も多数おられるんですよ。
しかも、岸田首相は記者団に、加藤こども政策担当大臣らに対して総理と原告側との面会を今月中にセットするよう指示したことを明らかにしたんですが、その絵をテレビに取らせてまた自分の支持率挽回に使おうという魂胆なわけですよね。
どこまで下衆なのかと呆れるほかありません。
最高裁が国会・行政という一応民意を背景にした「民主主義的機関」の判断を尊重する司法消極主義の呪縛から解き放たれ、たとえ立法府の判断でも積極的に違憲判断をする司法積極主義に転じてきたのかなと感じます。
それは今の政治がおかしすぎるという最高裁でもわかってきたからじゃないですかね。
いくら選挙でえらばれた国会議員たちといえども、その判断は尊重に値しないという怒りを今日の最高裁判決には感じました。
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【旧法の違憲性】
不妊手術は、生殖能力の喪失という重大な結果をもたらす身体への侵襲であり、不妊手術を強制することは憲法13条の保障する「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」に対する重大な制約だ。旧法は個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する。
憲法14条1項は差別的取り扱いを禁じている。特定の障害者を不妊手術の対象と定めて区別することは、合理的な根拠に基づかない差別的取り扱いだ。旧法は憲法13条、14条1項に違反していた。旧法の内容は国民に憲法上保障された権利を違法に侵害することが明白で、国会議員の立法行為は違法だ。
国は約48年もの長期間、特定の障害者を差別して重大な犠牲を求める施策を実施してきた。優生手術の際には身体の拘束、麻酔薬の使用や、うそをつくことも許される場合があるという通知を出して優生手術を積極的に推進した。少なくとも約2万5千人もの人が重大な被害を受けた。国の責任は極めて重大だ。
損害を受けた人に、損害賠償請求権の行使を期待するのは極めて困難だった。1996年に旧法の規定が削除された後は、国会で速やかに補償の措置を講じることが強く期待されていたのに、国は長期間、補償はしないという立場を取り続けてきた。訴訟が起こされた後に一時金支給法が施行されたが、内容は一時金320万円を支給するにとどまるものだった。
以上から、除斥期間の経過後に提訴したことだけを理由に、国が賠償責任を免れることは著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない。
【除斥期間に関する判例変更】
改正前の民法724条後段は不法行為で発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めた規定で、除斥期間の経過により賠償請求権は法律上当然に消滅する。ただ「除斥期間が経過したという主張が信義則違反または権利乱用だ、という主張は失当」という89年の最高裁判決の法理を維持した場合、今回のような事案で容認できない結果をもたらすことになりかねない。
裁判所が除斥期間の経過により賠償請求権が消滅したと判断するには、当事者の主張がなければならないと解すべきだ。賠償請求権の消滅が容認できない場合には、裁判所は、除斥期間が経過したという主張が信義則に反し、または権利の乱用として許されない、と判断できると解するのが相当だ。89年判決、その他の最高裁判例はいずれも変更すべきだ。
今回、国が除斥期間の経過を主張することは信義則に反し、権利の乱用として許されない。
【個別意見】
▽三浦守裁判官の補足意見
今回の事案の内容や国の被害者対応、被害者の高齢化などを考慮すると、できるだけ速やかに適切な損害賠償が行われる仕組みが望まれる。国が必要な措置を講じ、全面解決が早期に実現することを期待する。
▽宇賀克也裁判官の意見
改正前の民法724条後段は除斥期間ではなく消滅時効を定めている。「除斥期間だと解さなければ賠償請求権が理論上永続することになる」という意見は現実性に乏しい。消滅時効だと解する場合には過去の最高裁判例を併せて変更することになるが、混乱を懸念するには及ばない。
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたとして被害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、旧法の規定が憲法に違反すると認めた。その上で、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」については、旧法の被害には一律に適用しないとし、被害者を全面救済する初の統一判断を示した。
5件全ての訴訟で国の賠償責任を認め、被害者側の勝訴とした。国は2019年に被害者に一時金320万円を支給する救済法を施行したが、これを大きく上回る被害者1人当たり1100万~1650万円(配偶者は220万円)の賠償責任が確定した。救済法の見直しを求める声が強まることは必至だ。
上告審で審理の対象になっていたのは、札幌、仙台、東京、大阪(2件)の各高裁で出た5件の判決。
各高裁はいずれも旧法の規定が憲法に反していたと認めたが、被害者が手術を受けたのは50~70年代ごろで、提訴まで20年以上が経過しており、仙台高裁は除斥期間を理由に被害者側の請求を棄却した。
一方、残りの4件で、各高裁は除斥期間の適用が「著しく正義・公平の理念に反する」として国に賠償を命じていた。
上告審で被害者側は、旧法によって「戦後最悪の人権侵害が行われた」と主張。障害者への差別や偏見が残る中、訴訟を起こすことは困難だったとし、「時の経過による国の免責は許されない」と訴えた。
国側は、除斥期間は被害者の認識に関係なく適用されると説明。適用の制限が認められるのは極めて例外的な場合で、今回はそうした事情がないと反論していた。【巽賢司】
旧優生保護法に基づき、障害などを理由に不妊手術を強制されたとして、全国の男女が国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、同法の規定を違憲とし、国の賠償責任を認めた。不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用については「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない」とし、実質的な原告全面勝訴とした。
5件のうち、二審で原告が勝訴した4件で国の上告を棄却し、判決を確定。訴えを退けた仙台高裁判決については破棄して審理を同高裁に差し戻した。裁判官15人全員一致の判断。
全国で起こされた同種訴訟への波及は必至で、国策による人権侵害の責任を改めて問う判決となった。被害者への一時金支給を定めた救済法は責任の主体が不明確で、金額の少なさなどにも批判があり、改正を求める声が高まる可能性もある。岸田文雄首相は3日、原告らと月内に面会する意向を示し、「反省とおわびの言葉を直接伝えたい」と述べた。
最高裁が法律について違憲と判断したのは戦後13例目。
大法廷は判決で、強制不妊手術を可能とした旧優生保護法の規定が人格の尊重の精神に著しく反し、差別的だとして、憲法13条、同14条1項に違反すると指摘。国会による同法の立法行為についても、「憲法で保障されている国民の権利を侵害することは明白だ」として、初めて国家賠償法上違法と判断した。
除斥期間に関しては「請求権の消滅が著しく正義・公平の理念に反し、到底容認できない場合は、除斥期間の主張は許されない」との解釈を示し、判例を変更。その上で、国の主張は信義則違反、権利乱用に当たるとして除斥期間を適用しなかった。
5件の訴訟は札幌、仙台、東京、大阪、神戸の各地裁に起こされた。一審はいずれも除斥期間を適用し、原告の請求を棄却。二審はいずれも旧法を違憲とした上で、札幌、東京、大阪の3高裁4件が除斥期間の適用を制限して国に賠償を命じた一方、仙台高裁は訴えを退けていた。
最高裁で勝訴「67年間苦しんできた。こんなに嬉しいことない」14歳で"強制パイプカット"された夫、意を決して妻に秘密打ち明けた 旧優生保護法は憲法違反、国に賠償命令
24/07/03 19:33 MBS毎日放送
かつての優生保護法は、障害のある人などに強制的に不妊手術することを認め、およそ1万6000人が本人の同意を得ずに手術を受けたとされています。その中には、障害がない14歳の少年も含まれていました。
当時の少年らを含む原告らが訴えた裁判で、最高裁大法廷は7月3日午後、「旧優生保護法」は憲法に違反するとして、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。
◆母親が出産に反対、妻が中絶手術
兵庫県明石市に住む小林宝二さん、92歳。ともに裁判を闘ってきた妻の喜美子さんは、7月3日の判決を見ることなく、2022年この世を去りました。
「ひとりになってしまいました」「本当に寂しいですねぇ… まだまだ寂しい気持ちが続いています」(小林宝二さん)
ともに聴覚に障害があり、お見合いで出会った宝二さんと喜美子さん。絵に描いたようなおしどり夫婦でした。
しかし2人は笑顔の裏で、壮絶な苦しみを抱えてきました。1960年、結婚式を挙げた数か月後に喜美子さんの妊娠が判明します。2人はとても喜びましたが、宝二さんの母親が出産に反対。喜美子さんは中絶手術を受けさせられました。
◆”にぎやかな家庭を”夫婦の夢を奪った強制不妊手術
宝二さんと喜美子さんは同じ年に神戸地裁に提訴(1審は敗訴 2審で逆転勝訴)。そして、宝二さんはひとりで、最高裁判決を迎えることになったのです。
「聞こえても聞こえなくても構わないと思うんです。子どもを育てることはできると思います」(小林宝二さん)
◆差別的な理念掲げた旧法律 背景に当時の人口急増もあったという
戦後の人口急増などを背景に1948年に成立した旧優生保護法には、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」とあります。
差別的な理念を掲げたこの法律によって、(母体保護法に改正される1996年までに)少なくとも約2万5千件の不妊手術、すなわち「優生手術」が行われ、うち1万6千件あまりは本人の同意がない「強制」でした。
◆かつて、優生手術に携わった精神科医が実名で証言
優生手術に携わった経験のある精神科医がMBSの取材に実名で応じました。岡田靖雄さん、93歳です。1950年代から60年代にかけ、都立病院の精神科に勤めていました。
「同じような知的障害の人が生まれては困ると思って、医局の黒板に、その名前を書いて」(岡田靖雄さん)
岡田さんは、中度知的障害がある女性患者が、男性患者と性的な関係を持ったと知り、その女性の名前を黒板に記入。本人の同意は得ていませんでした。実際に手術が行われる際も助手を務めたといいます。
――ためらいみたいなものはなかったですか?
「いや、ですから、日常業務のひとつだったわけですね。言ってみれば、この患者さんに電気痙攣療法をやるかどうか決めるのと同じように、日常の仕事としてやったわけです」(岡田靖雄さん)
「加担の事実をはっきりさせることが、加担の責任を取る一番の方法だと」
「証言を求められれば、這ってでも行って証言する、それが僕の息がある間は責任だと思っています」(岡田靖雄さん)
◆14歳で「パイプカット」障害のない少年も手術対象
優生手術の被害を受けたのは障がいがある人だけではありません。北三郎さん(※活動名)81歳です。
仙台で生まれた北さんは生まれてすぐに母親を亡くしました。父親やその再婚相手との折り合いが悪く、学校にもなじめなかった北さんは、児童自立支援施設に入れられました。
「『俺帰るよ、悪い所は別にない』と言ったんだよね」「看護婦さんに呼ばれて背骨に注射を打たれたんです。その時に意識朦朧としちゃって…」(北三郎さん)
予想もしていなかった手術を受け、激しい痛みに苦しんだ北さん。後日、施設の先輩から自分が受けた手術は、パイプカット=男性の不妊手術だと知り、がく然とします。
◆『子どもが何でできないのかな』と話す妻 意を決して秘密を打ち明けた
北さんは20代後半で結婚したものの、妻には、自分が子どもを作れない体だと打ち明けることはできませんでした。養子を迎え入れようと、持ちかけたこともあったといいます。
「ポツンと私に言いましたよ。『子どもが何でできないのかな』って」「(養子の候補を)どの子がいい?と女房に写真を見せたんだけれども、あなたの子どもでないとダメだということを言われた時には断念しましたよ」(北三郎さん)
妻が白血病に倒れて亡くなる直前、北さんは、意を決して“秘密”を打ち明けました。
「『産婦人科に連れていかれて、パイプカットをやられた』と。『そのために子どもができなかったので、本当に申し訳なかった』と言いましたよ」(北三郎さん)
「うつむいて、しばらくは黙っていて、『ご飯だけはちゃんと食べてね』と言って、まもなく(2、3日後に)息を引き取った」(北三郎さん)
夫の嘘を責めることはなかった妻。最期の会話でした。
2018年に仙台での裁判の報道を見て、ようやく自分が受けたのは優生手術だと認識し、訴えを起こした北さん。国の責任を認める判決を勝ち取り、人生のひとつの区切りにしたいと願ってきました。
「自分の体はもう取り返せない、人生も取り返せない」「一言でもいいから国に謝ってもらいたい気持ちがあります」(北三郎さん)
そして迎えた注目の判決。3日午後、最高裁は旧優生保護法について憲法違反と断定しました。
およそ50年間も、国家の施策として強制不妊を行った国の責任は極めて重大だとして、原告らに賠償を命じる判決を言い渡し、原告側が完全に勝訴した形となりました。
改正前の民法が定めた除斥期間(=賠償を請求する権利は不法行為から20年が経てば消滅するという原則)について、最高裁は、「今回の原告らに適用することは著しく正義・公正の理念に反し到底容認できない」と指摘。
8人の原告に対し、総額1億円あまりの賠償を国に命じました。(仙台訴訟は仙台高裁に差し戻し)
東京訴訟の原告・北三郎さん「こんな嬉しいことはありません」「(他にも被害者はいるし)まだ全面解決になっていないんじゃないか」「みなさんの全面解決をしてもらいたいという気持ちでおります」
兵庫訴訟の原告・小林宝二さん
「喜美子も天国から見て喜んでくれていると思います。この判決を待っていました、(提訴から)6年間長かったです」
最高裁は裁判官15人のうち、多数意見として、本人の同意があった不妊手術も「そうした同意を求めること自体が個人の尊厳に反する」として、強制にあたるという見解を示しました。
岸田総理
「政府としても旧優生保護法を執行していた立場から、真摯に反省をし、心から深くお詫びを申し上げる次第です」
岸田総理は記者団の質問に対し、このように述べるとともに、今後、不妊手術を強制された人たちへの賠償を速やかに行う考えを示しました。
また、加藤こども政策担当大臣らに対し、総理と原告側との面会を今月中にセットするよう指示したことを明らかにしました。
新たな補償についても国会とも相談しながら、可能な限り早急に結論を得られるよう検討を指示したとしています。
上下ともクリックしていただけると大変うれしいです。
宮武さんの言われる通りです。
自分が生き残ることにしか重きを置いていないこの総理には呆れて物が言えません。
次期イギリス首相(とされる労働党党首)は弁護士で検察局長もされた方ですね。
アメリカの連邦最高裁判事、故・ルース・B・ギンズバーグ氏も、学者、弁護士から連邦最高裁判事なりましたよね。
検察と裁判官に対する信頼を担保するためにも、法曹一元化と、法曹志望者に対する専門的教育、日本でも真面目に考え議論なければいけない時期に来ているのかと思われます。
そのために日本には「透明性」こそ必須ですね。
(「日本版・ロー・スクール」は、アメリカ(日米規制改革委員会)の「命令」だったのが失敗の原因の一つだったかと。)
良識を持った法曹の方々に活動をお願いしたいです。
私は「法曹一元化」は否定/肯定どちらとも決めかねています。
制度疲労を起こしてしまっている日本の司法・法曹とその教育・人材育成にかんして抜本的にどうするかの議論を真剣にすべきではないかと考えています。勿論、制度(特に権力)は急には変えられないですが
言葉足らずですみませんでした
(「裁判員制度」は開始前から現在まで絶対反対です
「陪審員」なら理解できますが…、しかし、どちらも導入するには憲法改正が必要だと思います)