
![]() |
冤罪を生まない刑事司法へ (GENJINブックレット) |
水谷 規男 (編集), 現代人文社編集部 (編集) | |
現代人文社 |

無罪の香りが濃厚 村木元厚生労働省局長 2010年2月1日
まず、取り調べを担当した6人の検察官が、2009年2月から2010年3月にかけて取り調べの際のメモを破棄していたことが発覚しています。
また、大阪地検特捜部検事を務めていた上田敏晴が、本事件の被告人である相手企業取締役に対し、脅迫的な取り調べをした疑いがあるとして、大阪地方裁判所は証拠採用請求されていた供述調書のうち、上田が作成した12通を却下しました。
こうして無事、2010年9月10日に村木さんに無罪判決が出て、村木さんは復職し、国家賠償請求事件でも勝訴しました。
おいおい 検察庁がメモ廃棄 郵便不正事件
郵便不正事件 「村木元局長は冤罪」 前任係長「指示」否定
上司 被告人本人 部下 業者全員否定 郵便不正事件

さらに、2010年9月21日に朝日新聞は朝刊の1面で、本事件の証拠物件であるフロッピーディスクの内容が改竄されていたことをスクープし、同日夜、大阪地検特捜部検事で本事件の主任検事・前田恒彦を証拠隠滅容疑で逮捕されました。
また、この前田検事をかばっていたということで同年10月1日には大阪地検元特捜部長・大坪弘道及び大阪地検元特捜部副部長・佐賀元明が犯人隠匿容疑で逮捕されました。
つまり、警察の違法捜査はよくある話ですが、検察庁も特捜検事が証拠を偽造・ねつ造したり、自分に不利な証拠を捨てて隠蔽したり、被疑者を脅迫して自白調書を取ったり、そんな違法捜査をした担当者をかばうようなところだということが白日の下にさらけだされたわけです。

再審無罪判決が出たことを報告する菅家さん。
また、2011年5月には、1967年に茨城県で起きた「布川事件」で強盗殺人の罪に問われた桜井昌司さんと杉山卓男さんが逮捕されてから44年後!に再審で無罪が確定するということがありました。
これら無罪が確定した布川事件、足利事件での強引な捜査や村木厚子さんの郵政不正事件での担当検事による証拠ねつ造などを受けた検察の改革策の一環として、最高検察庁は「無実の者を罰することがないよう真相解明に取り組む」といった検察の精神や基本姿勢を示した10か条の倫理規程を作りました。
最高検は、2011年9月30日、この規程を示した文書に笠間検事総長の「検察の使命と役割について自覚を深め、規程の精神を体現するよう努力することを期待する」というメッセージを添えて、すべての職員にメールしました。

東電OL殺人事件 検察「ただちに再審事由にならず」 DNA再鑑定で別の男性の体液・体毛 当然再審!
東電OL殺人事件 検察が証拠隠滅 別人の唾液・皮膚片を証拠開示せず DNA鑑定へ
東電OL殺害事件 再審前にさらに無罪ダメ押しの新証拠 なぜ証拠隠蔽と冤罪事件は起こったのか

釈放され、故郷ネパールでお母さんに迎えられたマイナリさん
![]() |
それでもボクは会議で闘う――ドキュメント刑事司法改革 |
周防正行 著 | |
岩波書店 |

![]() |
舵のない船 布川事件の不正義[新装版] |
伊佐千尋 著 | |
現代人文社 |


戦争法案11本にしてもそうですが、いろんな「改正」を関連法案っつって、一緒に出すからわかりにくい!
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
衆院 取り調べの”可視化”で参考人質疑

また、映画監督の周防正行氏は、
桜井氏「冤罪防げない」=取り調べ可視化法案
容疑者取り調べの録音・録画(可視化)を柱とする刑事司法制度改革関連法案を審議中の衆院法務委員会は10日午前、参考人質疑を行った。茨城県利根町布川で大工の男性が殺害された「布川事件」で再審無罪となった桜井昌司氏は、部分的な可視化では冤罪(えんざい)を防げないとの認識を示した。
同法案で可視化が義務付けられるのは、裁判員裁判対象事件などに限られる。このため、桜井氏は「一部(事件の)可視化で冤罪を防げるのか。私はそうは思わない」と述べ、全事件を可視化の対象にすべきだと訴えた。
また、同法案に盛り込まれた検察官が保管する証拠の一覧表を弁護側に交付する制度に関しては、「冤罪を防ぐためには検察が見られる証拠は当然、弁護人も見られるべきだ。何が書いてあるか分からないリスト(の提出)だけでは不十分だ」と語った。
映画監督の周防正行氏も「基本的に全事件で取り調べの過程を録音・録画すべきだ」と主張。ただ、法案の賛否については「反対はしない。ここで法律をつくらないと検察や警察が何をするか分からない」と指摘し、部分的な可視化でも早期に実施すべきだとの立場を示した。(時事通信 2015/06/10-11:58)
村木氏「可視化拡大を」 刑事司法改革法案

取り調べの全面的な可視化を求める厚生労働省の村木厚子事務次官=4日、東京・衆院議員会館
文書偽造事件で逮捕され無罪となった厚生労働省の村木厚子事務次官が4日、刑事司法改革関連法案に関する野党議員の勉強会に招かれ、一部事件に限って取り調べの録音・録画(可視化)を義務付ける改正案について「残された課題は大きい。将来的に対象犯罪を拡大してほしい」と語った。改正案に盛り込まれた司法取引については「共犯者が(罪を逃れるため)うその供述をし、冤罪(えんざい)を生むリスクがあると思う」と懸念を示した。
村木氏は、取り調べで検事から「執行猶予が付けば大したことはないじゃないか」「長い裁判を考えてあきらめませんか」などと容疑を認めるよう迫られた経験を明かした。その上で「無理な取り調べをして、事実と異なる調書が作られる構造的な仕組みを早く変えてほしい」と訴えた。
村木氏は事件後、法制審議会(法務大臣の諮問機関)特別部会の委員に選ばれ、刑事司法制度の改革案を議論した。可視化の対象を全事件の約3%にすぎない裁判員裁判対象事件や検察の独自捜査事件に限定した答申に賛成した理由については「捜査機関の運用では都合のいいところだけ録音・録画される可能性がある。(一部の事件であっても)全過程で初めて義務化された」と説明した。
司法取引は、容疑者が第三者の犯罪について供述する見返りに、検察官が起訴猶予処分にしたり求刑を軽くしたりする制度。村木氏は「証言の信用性が大事になってくるので、活用するのなら義務化の対象外でも、全過程を録音・録画してほしい」と述べた。
=2015/06/05付 西日本新聞朝刊=

警察・検察による取り調べの録音録画(可視化)の義務づけなど、刑事司法改革の関連法案が国会で審議されていることを受け、衆院法務委員会の国会議員約20人が6月3日、原宿警察署と東京地検の「取調室」を視察した。このうち東京地検では、メディア取材が許可された。
可視化の義務づけは、警察・検察の取り調べに対して、自分がやってもいない罪を被疑者が「自白」する事件が相次ぎ、えん罪の温床になっていることなどから導入に向けた議論が進められてきた。法案が成立すれば、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で逮捕・勾留された容疑者の取り調べの全過程が対象になる。
警察や検察はすでに試行的に可視化を実施しており、議員たちは東京地検で、説明用に再現された取調室を見学し、録音・録画機材について説明を受けた。黒い箱の中に入った録音・録画用のカメラが部屋の奥に置かれていたが、被疑者や検察官に録画を意識させないため、一見しただけでは分からないようになっていた。
東京地検の担当者によると、再現された取調室は、実際の取調室と広さや備品もほぼ同じ。実際の取調室は、検事と事務官が2人1組で、出勤してから帰宅まで勤務する「執務室」でもある。奥の机に検事が座っており、それと相対する形で手前側に被疑者、サイドに事務官が座る。検察官と被疑者がしたやり取りを、事務官がパソコンに入力して、供述調書をつくる。被疑者は普段、手錠と腰縄をされているが、取り調べの間は、手錠を外されるそうだ。
視察した法務委員会のメンバーには法曹出身者も多く、元検察官の山尾志桜里議員(民主)は検察官用の机に座るよう、他の議員たちに促されていた。
●議員「警察と検察で大きな開きがある」
柴山昌彦議員(自民)は視察後に次のような感想を記者たちに述べた。
「百聞は一見にしかず。さきほど視察した原宿警察署の取り調べ室と、東京地検の取調室では、様子が大きく違うと思いました。録音録画のための設備は、東京地検では常設ですが、原宿警察署では使う都度、機材を出してセットするということでした。対応が遅れていると感じました。一次的な捜査機関である警察署で、いかに録音・録画が進んでいくか、もう少し時間がかかるのかなと感じました」
一方、山尾議員は次のように語っていた。
「可視化について、警察と検察で、現状でも大きな開きがあると、率直に実感しました。検察の方が試行が先行していることもありますし、立証して有罪を勝ち取るべき立場にある検察と、その前段階の警察ということで、施設や心理の面で開きがでているのかなあと感じました。
警察にしても検察にしても、可視化の制度化に向けて準備をしていることは事実です。取り調べをオープンにする流れの中で、今回(の法案では捜査手法としての)『通信傍受』が拡大されようとしていたり、『司法取引』という可視化の対象外であるクローズドな仕組みがスタートしようとしています。
オープンな流れの中で、クローズドな制度が始まろうとしているのが、しっくりこないなと思っています。ここから先、刑事手続はどっちの方向性に向かうのか。可視化を中心に、国民にオープンにすべき所をオープンにしていく必要があるのではないかと思いました」
この記事、非常に良くわかりました。
ブログ読み始めたのは1年ちょっと前からと記憶しているので、この記事も読んだのか? まだ毎日読んではいなかったのか。7月5日の森川弁護士の記事ははっきり覚えていますが。
コメントが一件もないのは、寂しいですね。
自分も含め、おおかたの関心というのはそんなものだろうと思います。
自分は犯罪に加担しないし、特定の思想・政治活動に参加しているわけでもないから、関係ない。
でも、ある日・・・ってやつです。
ただ、取り調べ全面可視化の話より、通信傍受法のほうが、もっと市民へのアピール度合は大きかったのではないかと思います。
私としては、そちらのほうがショックです。あくまで自分が逮捕されるような事態は、実感を持ちにくいのです。愚かかもしれませんが。
参考記事で、山尾志桜里議員が疑問を述べているのが、至極真っ当と思えました。今回、民進党はなぜ賛成したのでしょうか。
そういう点も含めて、新たな記事を書いて下さるとうれしいのですが。