2003年4月、東京都出資の銀行設立を公約に掲げた石原慎太郎氏が東京都知事再選し、自治体による中小企業支援を目的に設立されたのが新銀行東京で、この銀行は地方自治体が初めて設立した銀行でした。
その石原都政の象徴とも言うべき新銀行東京が、その役目を事実上終える見通しになりました。これが実現すれば、東京都はこの銀行の経営から事実上退くことになります。 最近は黒字に戻したものの、結局将来的にみて、単独で生き残ることは困難と判断したということです。
目下、新銀行東京は東京都民銀行と八千代銀行による地方銀行グループ「東京TYフィナンシャルグループ」の傘下に入る方向で協議が進められていますが、今後は東京都が新銀行に投入した税金の行方や融資を受けていた中小企業への影響が焦点になります。
1000億円もの税金を使って設立した新銀行東京は設立当初から赤字が続き、開業3年目の2008年に400億円を追加出資が必要になりました。
石原都知事がこのまま潰してしまうとかえって都民に迷惑をかけると主張して、追加出資をすることになってしまったのですが、その際の補正予算案について東京都議会が可決した際、追加出資分を毀損(きそん)させないことを確約させる付帯決議をしたほどでした。
しかし、その400億円も元の1000億円も、今回の統合でどうなるかは予断を許しません。
新銀行東京は石原都知事の公約通り、中小企業への無担保無保証融資するとして営業を始めましたが、ずさんな融資ですぐに経営危機に陥り、最大10店あった店舗も相次いで閉鎖し、新宿の本店のみに縮小していました。
もともと、銀行の融資は融資先の経営状態や将来性の判断など高度の専門的なノウハウが必要なのに、そんな能力も人材もない地方自治体が、しかも徒手空拳と言うべき無担保無保証でやったらうまく行くわけがないと、多くの人に反対されました。
しかし、石原都知事は自分が当選したのだからこの公約を果たすのも民意だと、強引にこの銀行を作ってしまったのです。
それも1000億円も血税を使い、追加で400億円も出し、いくら還ってくるのか見当もつかないわけですが、石原氏はもうとっくに都知事を辞めていますから責任を追及することもできません。
妄執いまだ果てず、石原慎太郎都知事辞任!さあ衆議院選挙で落としちゃうチャンス到来!!
で、何が言いたいかというと、また橋下維新と大阪「都」構想批判です。
彼らは大阪市を解体して大阪府に統合して「ONE OSAKA」にするなどと言っていましたが、東京都や大阪「都」のような巨大自治体にすれば万事うまく行くというわけではない良い例が新銀行東京でしょう。
つまり、その自治体の首長が石原氏や橋下氏のように独裁的にふるまって、なおかつその方針を誤ると、とんでもない市民の税金の無駄遣いをするということです。
そもそも、権力は濫用(みだりに用いること)されると国民、市民の権利を大きく侵害します。そこで、権力の抑制と均衡を図る制度が必要になります。
その典型的な例が、国家権力を立法権・行政権・司法権を3つに分け、お互いに力が均衡して抑制し合うようにした憲法上の三権分立ですね。これは、市民革命前の絶対王政では王がこれらの権力を一手に持っていたため、市民が圧政に苦しんだ教訓から近代憲法に取り入れられた制度で、フランス人権宣言では
「権利の保障が確保されず,権力の分立が定められていない社会は,憲法を有しない」
としているほど重要な制度です。
また、衆議院と参議院が立法権をさらに分けて分担し均衡・抑制し合う二院制や、中央政府と地方自治体が統治権を分けて分担し均衡・抑制し合う地方自治なども、この権力分立の制度です。
このように、立憲主義では権力の濫用を防いで国民の自由と権利を守るために、権力を分けて違う機関に担わせ、互いの交渉の中で慎重に検討させ、お互いを均衡と抑制をさせるべきだという権力分立が統治機構の原理原則になっています。
いわば、権力の暴走を予防し、国民の権利侵害を防ぐための安全弁が権力分立です。
ところが、この権力分立を最も理解していない政治家が石原都知事であり、橋下大阪市長であるわけです。
老醜無残 石原慎太郎東京都知事が「日本維新の会」設立を妄想 恥を知れ
一見、大阪市と大阪府に権限が分配されていることは物事が簡単に決まりにくく効率が悪いように見えますが、お互いが討論と妥協を続ける中でより良い解決が見つけられるという意味で、結局、安全かつ合理的な仕組みになっているのです。
石原都政での新銀行東京が良い例ですが、巨大な権力を一手に握った独裁的な首長が自分の考えに囚われて突っ走ると、被害を被るのは納税者たる市民です。
橋下市長と大阪維新の会も、大阪を一つにしてやることと言ったらカジノの誘致だったわけですから、彼らに権力が集中しなくて本当に良かったのです。
かつての盟友で今も信頼し合っている石原元都知事と橋下市長は、年齢は離れていますが双子のような独裁型の政治家です。
もっと言うと、私が首相だから私が憲法解釈をすると言って集団的自衛権の行使を容認してしまい、戦争法制を作ろうとしている安倍首相も加えて、独裁ダンゴ三兄弟と言ってもいいでしょう。
石原氏を最後は選挙で落として引退させ、今また橋下市長に政治家引退記者会見をさせたように、次は安倍首相に政治の舞台から降りてもらわねばなりません。
橋下・安倍・石原「三国同盟」結成か。日本の民主主義が「第3の敗戦」を迎えませんように。希望はある!
最初から無理って誰でもわかってたのに!
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東京を弄んだ男 「空疎な小皇帝」石原慎太郎 (講談社文庫) | |
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緊急出版! 石原都政が残した「爪痕」。三期十二年という長期に及んだ石原都政。表現の自由を脅かす青少年育成条例、巨額赤字を抱え破綻した新銀行東京、莫大な費用をどぶに捨てた五輪招致。さらには、執拗に繰り返される外国人や障がい者に対する差別発言。彼は東京に何を残したのか――。『空疎な小皇帝「石原慎太郎」という問題』を加筆改題。
石原慎太郎よ、退場せよ! (新書y) 斉藤貴男 吉田司 洋泉社
老害を撤き散らすだけなら退場せよ! 無責任体質全開の新銀行東京問題、花道にしたいだけの東京オリンピック招致、差別発言とともに進む社会的弱者切り捨て政策、教育現場から教員までもが逃げ出す教育改革、そして身内に甘いだけの人事と処世術…。この十年、新自由主義とナショナリズムの波に乗り、東京に君臨してきた「小皇帝」石原慎太郎だが、「時代に求められた男」の賞味期限はもう切れている。
石原慎太郎の『狂った果実』 (貧困なる精神25集) 本多勝一 金曜日
朝日新聞入社以来約50年以上、ジャーナリストとして書き続ける本多氏。
長年にわたり問題視している石原慎太郎氏を、同じ「日本維新の会」共同代表・橋下徹大阪市長とともにあらためて断罪。
また、体制・権力のチェック機能を失い、政権党広報になり下がっている新聞の体質を批判しつつ、あるべきジャーナリズムを模索するための論考も掲載。
誰も書けなかった石原慎太郎 (講談社文庫) 佐野眞一 講談社
なぜ、彼はこの半世紀、人びとの関心を集め続けてきたのか。「男が惚(ほ)れる男」だった父・潔と、「日本で最も愛された男」と言われた弟・裕次郎へのコンプレックスから、新銀行東京問題までを徹底取材。大衆の心にひそむ欲望を、無意識に、しかし過剰なまでに映し出す鏡であり続けてきた慎太郎の本質を暴く! (講談社文庫)
てっぺん野郎―本人も知らなかった石原慎太郎 | |
佐野眞一 | |
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石原慎太郎は、嫌悪の感情にせよ、期待の感情にせよ、彼を見つめる者自身にもおそらく説明できない意識下の感情に、力強く、しかも間違いなくふれてくる男である。(中略) 石原慎太郎を解剖することは、彼に向けられた人びとのまなざしを検証することと、ほぼ同義である。
毎日新聞 2015年05月26日 23時28分(最終更新 05月27日 08時05分)
東京都が出資する新銀行東京(新宿区)が、地方銀行グループ「東京TYフィナンシャルグループ」(同)と経営統合し、傘下に入る方向で交渉していることが関係者の話で分かった。石原慎太郎元知事の主導で都が設立した銀行だったが、経営統合が実現すれば、都は経営から事実上、退くことになる。
都は新銀行東京の株式を議決権ベースで80%超保有している。関係者によると、都が持つ株式と同グループの株式とを交換し、グループの傘下に入る方向で協議しているという。近く寺井宏隆社長が退任を発表し、週明けにも株主総会を開いて、経営統合と新社長を決める見通しだ。
新銀行東京は当時の石原知事の発案で、資金繰りに苦しむ中小企業を支援しようと設立された。都が1000億円を出資して2005年に開業した。しかし、ずさんな融資で経営が悪化し、08年3月期決算での累積赤字は1000億円を超え、同年に都から400億円の追加出資を受けた。07年には旧経営陣を刷新し、08年に最大10あった店舗を本店だけに統廃合するなど経営再建を進めてきた。
15年3月期の最終利益は15億円で6期連続の黒字となっており、都は再建に一定のメドが立ったと判断し、東京TYとの経営統合を判断したとみられる。15年3月期決算で預金残高は2615億円、融資残高は2007億円。
一方、東京TYは東京都民銀行と八千代銀行が経営統合し、14年10月に誕生した。【武本光政】
◇東京TYフィナンシャルグループ
東京都民銀行と八千代銀行が2014年10月に経営統合して発足した共同持ち株会社。両行が傘下に入る。両行を合わせた預金残高は4兆4913億円(15年3月時点)で、統合時は関東の地銀で6番目の規模だった。本社は東京都新宿区。
◇中小企業への影響懸念
石原都政の象徴として、自治体による中小企業支援を目的に設立された新銀行東京が、その役目を事実上終える見通しになった。地方銀行グループ「東京TYフィナンシャルグループ」の傘下に入る方向で協議が進められているが、今後は東京都が新銀行に投入した税金の行方や融資を受けていた中小企業への影響が焦点になる。
都が東京TYと新銀行東京の株式を交換するにあたり、どういった比率で協議が進められているのか、現時点で明らかになっていない。都の財産の処分を巡っては都議会の議決が必要となるだけに、今回の株式交換で、都がこれまでに投入した税金がどういった形で処理されるのかが注目点となる。
経営危機に陥った新銀行東京に対し、当初の1000億円に加え400億円を追加出資する補正予算案について、都議会が2008年に可決した際、追加出資分を毀損(きそん)させないことを確約させる付帯決議をした経緯がある。この点は都が東京TYとの交渉にあたり、最も重視したポイントだったとみられる。だが、グループ傘下に入ることは新銀行救済の側面が色濃いと言え、都のペースで協議を進めることは困難だ。
今後、経営統合の詳細が明らかにされることになるが、内容次第では、新たな都議会での「火種」となる可能性は否定できない。
一方、首都圏では、地銀最大手の横浜銀行(横浜市)と都内が地盤の東日本銀行(中央区)が16年4月の経営統合で合意するなど、銀行間の競争が激しさを増しており、そうした中での今回の動きは波紋を呼びそうだ。
元東京都副知事の青山佾(やすし)・明治大大学院教授は「銀行への不信感が募っていた当時、中小企業のためにとつくった銀行だったが、その目的を達したかというと厳しい評価をせざるを得ない。経営統合で長年の懸案にケリをつけるなら評価できる。新銀行東京により経営が支えられている中小企業もあり、統合したとしても支障がないよう努める必要がある」と指摘した。
醍醐聡・東京大名誉教授(財務会計論)は「開業当初から赤字が続いているなど、銀行としての存在価値はないに等しい。融資を受けたり預金したりしている中小企業が保護されるか、統合時の条件を見極めることが重要だ」と話した。【山本浩資、山下俊輔、高木香奈】
毎日新聞 2015年05月27日 12時06分(最終更新 05月27日 12時08分)
東京都が出資する新銀行東京(新宿区)と、東京都民銀行と八千代銀行を傘下に持つ東京TYフィナンシャルグループ(同)は27日、経営統合を検討しているとそれぞれ発表した。石原慎太郎元知事が主導して設立した新銀行だが、実現すれば、都は経営から事実上退くことになる。
都は新銀行東京の株式を議決権ベースで80%超保有している。関係者によると、都が持つ株式と東京TYの株式を交換し、新銀行東京が東京TYの傘下に入る方向で交渉しているという。新銀行東京の寺井宏隆社長は退任し、来月に株主総会を開いて経営統合と新社長を決める見通しだ。
新銀行東京は2005年、都が1000億円を出資して開業した。当時の石原知事の発案で、資金繰りに苦しむ中小企業を支援することが狙いだった。しかし、ずさんな融資で経営が悪化し、08年3月、都から400億円の追加出資を受けることが決まった。
08年3月期決算で累積赤字は1000億円を超え、同年6月、累積赤字を一掃する減資を決定。これに伴って都の出資金のうち約855億円が毀損(きそん)された。
一方で、都議会が同年3月に追加出資の補正予算案を可決した際、追加分の400億円は毀損させないことを確約させる付帯決議をしており、これが確実に回収されるかが焦点となりそうだ。
新銀行東京は最大10あった店舗を本店だけに統廃合するなど経営再建を進め、15年3月期の最終利益は15億円で6期連続の黒字。都は再建に一定のメドが立ったと判断し、東京TYとの経営統合を判断したとみられる。15年3月期決算で預金残高は2615億円、融資残高は2007億円。
一方、東京TYは東京都民銀行と八千代銀行が経営統合し、14年10月に誕生した。
27日午前、新宿区の新銀行東京本店を訪れた顧客の男性(77)は「ニュースで知り驚いた。10年近くへそくりを預けていたが、いいタイミングだと思い定期預金を解約しに来た。都民の税金で作った銀行は今後どうなるのだろうか」と話していた。【武本光政、山本浩資】
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引退したとはいえ、石原がこの責任を免れることは許されないでしょう。
マスコミは石原に公の場で釈明させるなり謝罪させるなりしたらどうですかね
弱者には強気だけど強者にはビビって何も言えないってかw
議会も承認したのだし、石原氏を選挙で選んだのは都民なのだから石原氏個人にばかりに責任はないのだという論法も成り立つのかもしれません。
しかし実際に責任を取るのかどうかは別にして、石原氏は記者会見でも開いて釈明なり陳謝してもおかしはないと思います。
もっとも例の尖閣購入発言で中国を挑発し軽率なナショナリズムの高揚に火をつけて政府をして尖閣国有化に踏み切らせ、中国の強硬派の発言力を決定的なものにするという罪に比べれば小さい罪かもしれません。
木村剛と竹中平蔵がつるんで設立した日本振興銀行です。
詰め腹切らされたのは木村だけで、竹中は逃げ切っています。