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今日は、大日本帝国が真珠湾攻撃に出て、太平洋戦争を開戦した日から73年目の「記念日」です。
そして、明後日の2014年12月10日、1年前に成立した特定秘密保護法が施行されます。戦前の軍機保護法に酷似する「報道の自由・知る権利侵害法」が成立したその日は、大げさではなく、ある意味歴史に残る日になるかもしれません。
あの日、あの時、日本は再び、戦争への道をまた一歩歩んでしまったのだと。
さて、今の第二次安部内閣は、閣議で秘密保護法施行日を12月10日とする政令を決定したわけです。衆院選は「2日公示で14日投開票」ですから、施行日は選挙戦の最中となっているわけです。しかし、政府は「施行日と解散は関係ない。粛々とやる」「争点は与党が決める」とうそぶきました。
ご存知の通り、今回の総選挙は、「大義がない」と言われます。民意を問うというなら、秘密保護法や集団的自衛権の無理筋解釈是非を問うべきだったからです。
なぜなら、過去、同法制定を公約に掲げた政党は、自民党を含めて一つもなかったのですから。
先鞭をつけたのは、やはり、第1次安倍内閣で、抽象的な「有事」に備えると言い出し、2007年、米国と安全保障情報を共有する協定を結び、秘密保護法制整備が事実上の対米「公約」にしてしまいました。
その後、福田、麻生内閣で検討を進め、途中で民主党に政権交代がありましたが、野田内閣は法案を準備しました。そして、2年前に返り咲いた第2次安倍内閣が宿願を果たさんとばかりに、2013年10月、今度の法律案を国会に出しました。
すなわち、安部内閣の宿願を、曲がりなりにも野党第一党の民主党が達成しようとしていたのですから、双方とも秘密保護法の是非を選挙の争点にするわけがありません。
さて、簡単に言うと、この法律ではこれから見るように、要は政府が特定秘密を意のままに指定し、都合の悪い情報を国民から遠ざけたり、アクセスしようとした市民を厳罰に問うたりするわけです。そして、その特定秘密保護法の特徴は、政府が必要と認めた情報を幅広く特定秘密に指定することができ、公務員らが漏らした場合の罰則を厳しくして、情報管理を徹底する両輪の仕組みにあります。
まず、罰則が現行各法規より大幅に強化されます。具体的にいうと、国家公務員法は、職務で知り得た情報を漏らした場合は最高懲役1年で、自衛隊法で定めた「防衛秘密」に限って最高懲役5年です。ただ、さらに例外的に、米軍関係の情報だけが刑事特別法などで最高懲役10年が設けられているのみです。
ところが、秘密保護法は、罰則対象の情報を「防衛」だけでなく「外交」「スパイの防止」「テロの防止」の計四分野に拡大し、しかも、「秘密」を漏らした場合は、四つのうちのどれでも、とにかく最高懲役10年です。
これでは、国民に真実を知らせたい公務員も軍需産業の会社員も、ジャーナリストや報道機関も、まさに萎縮してしまい、表現の自由・報道の自由を侵害され、結果、一般国民の知る権利も踏みにじられます。
さて、この秘密保護法は、政府が「安全保障」にかかわる軍事・外交・警察などの情報を「特定秘密」(国家機密)に指定して独占することを可能にします。
さらには、どの情報を特定秘密に指定するかの基準は、「国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある」などとあいまいで、時の権力の裁量に委ねられます。
これに対し、安部政権は、法成立後に法律を動かすルールである運用基準を策定し、四分野の指定対象を計55項目に細分化し、指定範囲を絞ったと説明します。しかし、秘密とは「安全保障に関し重要な情報」などなど、幅広く解釈できる表現で、際限なく範囲が広げられるのです。
つまり、首相には、「特定秘密」だとするものを最終的に指定し、「特定秘密」をチェックする独裁的な権限が与えられます。集団的自衛権を拡大するなど「海外で戦争する国」づくりを進める安倍首相と自公政権にとって、思いのままの秘密保護法運用がなしうるのです。
さて、冒頭に申し上げましたが、なぜ、この秘密保護法の成立と施行が戦争に直結するのか。それは、政府が秘密保護法を制定した狙いには、米軍との関係強化があるからです。
まず、この秘密保護法があれば、「国家安全保障会議(日本版NSC)を通じ、米国からより機密性の高い情報を受けられるようになります。
そして、安倍政権は、海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使を認めるとともに、海外での戦闘支援の要件を緩和することを閣議決定しています。さらには、自衛隊と米軍の軍事協力の強化を視野に入れており、その機密情報が漏れない制度が必要だというわけです。
裏を返せば、根拠となる情報を「秘密」に指定して、国民に知らせないまま、「国防軍」を海外の戦地に派兵するということも起こり得ます。
つまり、国民には情報を隠す一方、軍事同盟を結ぶ米国には簡単に「特定秘密」情報を提供する。他方、国民は「何が秘密かも秘密」とされる状況のなかに置かれ、秘密に近づいたと問題にされても情報の何が「特定秘密」だったのか、わからないまま処罰される恐れがあるという、とんでもない話なのです。
しかも、国会にチェック機関として設置する「情報監視審査会」のメンバー構成や、専従スタッフの調査権限などはまだ決まっていないのです。これでは、それでなくても形式的な歯止めさえないも同然です。
また、特定秘密の指定が適正かどうかは、内閣府に作られる独立公文書管理監がチェックするといいますが、そんなの、安部首相に逆らえず法の番人の役目を放棄し、集団的自衛権の憲法解釈を変えてしまった内閣法制局と同じで、時の政権の支配下。屁の突っ張りにもなりゃしません。
この世紀の悪法をまず事実上運用できないように追い込み、さらには廃止に持ち込むこと。
そこに、日本が自由と平和を維持し、決して再び戦争の惨禍を引き起こさないための最も重要な鍵があると、私は考えます。
特定秘密保護法
防衛、外交、スパイなどの防止、テロ防止の4分野の重要な情報として国が指定する「特定秘密」を守るため、漏らした公務員らに最長懲役10年の罰則を科す法律。逆に秘密を扱う人をだましたり、脅したりして特定秘密を聞き出しても同様の罰則を科す。秘密指定の権限は19省庁が持ち、5年ごとの区切りで最長30年まで延長が可能。ただし「やむを得ない」場合は60年、一部はそれ以上の秘密指定も可能。
政府が集団的自衛権を行使する場合は国会の承認を仰ぐ必要がある。その審議に必要だとして国会からの要請があっても強制力はなく、政府は特定秘密の提供を拒むことができる。よって、国会が十分な情報を得られないまま集団的自衛権の承認をしてしまう可能性がある
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