レダック 広島中3自殺事件を斬る

2016-03-12 12:20:51 | 日記
広島中3自殺事件に見る倒錯した教育現場の発想を斬る
 かりに間違いでなかったとしても、推薦拒絶は二重処罰だ!

 3月8日付(毎日)朝刊に、「ぬれぎぬで推薦拒絶」、「学校側 別人の万引き記録」との見出しが躍っている。なんとなく不可解な部分を残しながらも、その後の追跡記事や、8日のTVでの論評を見ても、どうもおかしい。1年の万引き事件の関係生徒の名前を間違ってメモし、その後の会議では紙ベースでは訂正したのに原データは訂正しなかったとか、5回の進路指導・相談なるものが廊下での立ち話であったりとか、およそ現場での指導力の低下がここまで進んでいるのかと慄然とせざるをえない。
 「万引きした」という言葉を、誰が聞いているか分からない廊下で発することのできる無神経さ、それ以上に人権意識の欠如にも唖然とする。そもそも、万引き事件の指導が、直後に起こった問題行動への対処に追われてウヤムヤになったことで、教員の印象が薄くなったのだろうという推測が新聞にも掲載されていた。じつにエエカゲンである。
 今後も、事情が明らかになるにつれ、学校も町教委も課題が次々見つかるであろうし、それはそれで、きっちりやっていかれることに期待したい。


 しかし、私が問題にしたいのは、そんなことを超えてそもそも「1年の万引き」を理由に専願推薦をしないという在り様そのものだ。今回は冤罪型の失態に批判が集中しているしそれはそれで問題だが、(親御さんには耐え難い暴論に聞こえるかもしれないが)かりに実際に万引き事件を起こしていたとしても、「推薦をしない」という取り決めそのものが問題だと言っているのだ。
 つまり、学校内部での指導はそれはそれで完結すべきで、進路「指導」の資料にしてはならないということだ。この学校が指導を怠っていたという無様な事実も明らかになってきたが、本人の進路選択の幅を制限する「推薦拒絶」というのは、二重処罰ダブル・ペナルティではないか! そして、TVニュースなども注意してみているが、文科省のコメント含めて、それも問題だという識者にお目にかかれない。わずかに「報道ステーション」の古館がそれに近いことを匂わせた程度だ。

 中学時代の触法行為がある生徒に「校長推薦」を出さないのは当たり前だ、という意見はありうるし、それが「制度」として機能しているというのが実態である。そうなんです。ここでも「自己責任」論が生きています。内申に何を書かれるか分からないから、めったなことが言えないと自主規制する子ども・保護者の声もよく似た話だ。
 
 しかし、よく考えてみるべきだ。中学校の3年間というのは心身ともに飛躍的に成長する時期だという言わずもがなのことまで書くのは、同時にまだ尻の青い子どもが間違いを起こすことはありうるという時期でもあるということだ。間違いを繰り返しながら成長するとも言えないこともない。そこで重要なことは、間違いを起こした時に、学校―家庭(できれば地域社会も)がどれだけその子どものことを気にかけ「指導」したかということにつきる。高校進学という新たなスタート地点は、言ってみれば「ご破算に願いましては」誰にとっても白紙であってほしい。過ちを引きずらす形の「推薦拒絶」という学校の措置は、人権問題だ。

「 校長推薦」というのは、結局法的な代表者の校長という名称を使っているだけで実質は、子どもに関わっている3年生の学年にかかる教師の意向だ。異動があるにせよ3年間「指導」してきた生徒のなかに、高校に推薦できない生徒がいるという時点で、「指導」の不十分さが立証されたているのだ。そうはいっても、現実には推薦しがたいと思われる行動を繰り返してきた生徒もいるかもしれない。それならそれで、3年関係教員・進路指導の教員の会議で、推薦しがたい根拠について共通確認し、保護者・本人に、校長を通じて伝え了承を得る必要がある。そんな生徒を出さずに済んだということになれば、それがその学年担当教員の誇りでもあろう。それを、一片の「触法行為を起こした者」、それも「1年にさかのぼって」という基準だけが独り歩きし、「指導」不在、人権無視の状況下で今回の悲劇は起きたのだ。
 
 先生方も含めて、3年間で1回も過ちのない生活を送れた人ばっかりで社会は構成されているのでしょうか。何の権利があって、「推薦拒絶」なんどと傲慢に言えるのでしょう。
 町教委も文科省も、本人・保護者の希望に添えない「推薦拒絶」をうたっている学校に対し、その根拠と客観的合理性について指導したほうがいいのとちゃいますか。そのことはつまり、3年間かかって過ちも含めて指導がしっかり行われ、教員と生徒・保護者の信頼関係が築け、胸張って送りだせる学校体制づくりにつながるのだと思う。
 少なくともこの中学校の推薦拒絶規定は人権侵害だという視点もってもらいたい

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