Four Season Colors

現代詩と映画、読書、ゲーム、スポーツなど雑文を掲載
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読書のよもやま(2023.08.14)

2023-08-14 | 雑文
「ぼくの世界博物誌」日髙敏隆(集英社文庫)

動物行動学者であり、京都大学教授や滋賀県
立大学初代学長を務めた著者による、主に海
外での思い出を綴った短編エッセイ集。

といって、無知がはなはだしい自分は、著者
の書籍ははじめてであり、分野における功績
なども分からない。

それなら何故となれば、最近エッセイ読んで
ないな、なんか気楽に読めそうだなという感
じで、新刊コーナーで手に。

前半は、1960年代以降の著者の「諸国漫
遊」が一つ4ページくらいの短さで、どんど
んと続く。

中休みとして、恩師の先生との思い出を挟み、
後半は(恐らく)専門であろう生物について、
専門ではなく、雑談をどんどんと。

一つあたりがとても短く、そして一文の短い
リズムの良さから、読書はサクサクサクサク
と進み、あっという間に読み終わる。

なにか知識を多く得ることができるわけでも
なく、エンタメ的な娯楽に富んでいるわけで
もない。

著者の専門分野的な語りがあるわけではない
し、理論や学説を主張するものでもない。

ただ著者の初の海外にはじまる、本当にただ
「思い出」が、純粋な楽しさ、懐かしさのみ
で記録されている。

普通、旅の土産話的な、主観的な思い出話は、
それほど面白く、興味を惹かれるようなもの
になることは少ない。

面白おかしい、ちょっと普通でない旅の記録
ならまだしも、著者は学会のため、観光のた
めに海外へ行っている。

元々書籍化するためのものではなく、完全に
プライベートの旅行や留学の過去を、振り返
り愛しんでいる。

自分のような若輩の一般人が言うことではな
いが、この書籍にあるのは、著者の良すぎる
ほどの人柄と、穏やかさである。

暑くて何も考えたくない日に、暑さで眠りに
つけない日に、とある先生の思い出話など、
いかがでしょうか。

読書のよもやま(2023.08.07)

2023-08-07 | 雑文
「革命家チャンドラ・ボース」稲垣武(産経
NF文庫)

サブタイトルは、「日本人とともにインドを
独立させた男」となっている本書。

著者の書籍ははじめてであるが、元新聞社の
方らしく、クセのない読みやすいノンフィク
ション文体。

イギリス支配下の1900年代前半を、イン
ドの独立の為に生きたスバス・チャンドラ・
ボース。

親日というわけではなく、政治的かつ武力的
な手段として、日本と手を組んで植民地支配
に抵抗した。

その人生は、イギリスやドイツ、そして日本
の地も訪れ、インパール作戦時は国民軍とし
て戦地をも厭わない。

基本的には、インドの中で指導者として活動
したガンディー。

そのガンディーとの政治家としての対比、独
立へのアプローチの違いはとても面白く、そ
して勉強になる。

恐らく普通に高等学校までを終えれば、イン
ドの独立運動の著名な人物は、ガンディーや
ネルーになるのだろう。

名前は聞いたことがあっても、多くの人は、
人物像も知らず、日本とここまで大きな関り
を持っていたことも知らない。

植民地支配から独立直前までの動乱のインド
を、一人の革命家を中心に、国際情勢も込み
でざっくり知ることができる。

ややというか、かなりチャンドラ・ボースを
好意的にみており、人物のノンフィクション
としては公正ではないかもしれない。

実際そうであったのかもしれないが、それに
しても、本書においては、あまりにも完全超
人が過ぎているという感想。

とはいえ、こうして馴染みのない人物から、
日本を絡めて日本ではない歴史を学べるとい
うのは楽しい。

自分のように1900年代前半のというか、
インドそのものやチャンドラ・ボースという
人物に詳しくない人におススメ。

EARNEST

2023-08-03 | 
物理法則も知らずに

思考跳躍に身を任せ

独自理論を組み立て

模範解答に辿り着く

孤独退屈も無いほど

反復練習に明け暮れ

達成目標を乗り越え

永劫未来に名が残る

態度振舞も気どらず

栄誉栄光に興も無く

投影崇拝を跳ね除け

常態自然に振る舞う