時々来院されるこのような目をした子なのですが…まあ、見た目だけで何かおかしいと思いますよね。
これは瞳孔膜遺残と言って、胎児の時に目のレンズに当たる水晶体へ栄養を与えていた血管性の膜が残ってしまった状態なのです(通常は残っていたとしても4~5週齢で吸収されてなくなります。犬でもありますが、猫の方が多いですね)。
この糸のように伸びたものが角膜の内側に張りつくと、写真のように白くなってしまうのです(水晶体にくっついても白濁するようです)。
クモの巣状ではなく、このように虹彩から広範囲に角膜へ付着しているケースもあります(目の中にある虹彩から内側角膜へ張りついて見えるかがポイント)。
この角膜が白くなった状態が、角膜の外側の異常である角膜潰瘍や角膜炎などと同じように見えるためか?角膜治療の点眼薬などを処方されているケースが時々あります。
でも瞳孔膜遺残は、角膜の内側の問題なので、そのような点眼薬は全く効果がありません。
人(persistent-pupillary-membrane→人のケースの画像)では残存した瞳孔膜を取り除く手術が行われ、犬や猫でもできるようですが、写真の猫ちゃんのように角膜内側の白濁がある場合、なかなか難しそうですね。
重症度にもよりますが、全く見えないわけではないし、片目だけのケースが多いですからね。
犬や猫の場合、本を読んだりテレビを見たりするわけでもなく、両目が見えなくても優れた嗅覚や聴覚、ヒゲなどのセンサーで驚くべき適応力を発揮します。
(スペインで保護された猫シエテちゃん――よくある子猫の呼吸器感染に付随する眼結膜炎を悪化させ両目を失明…でも、まるで目が見えるかのよう猫じゃらしで遊んでいます。
◎目ヤニでまぶたとまぶたがくっつき目が閉じたままの状態を長時間放置してしまうと、失明の危機あり!こんな時は、お湯でびしょびしょに濡らしたタオルで目ヤニをふやかして、少々強引にでも目を開けてください。この病態では早期に対応すれば目薬などが効きます。)
瞳孔膜遺残の子を保護しても落ち込まず、効果のない点眼薬などはやめて、かわいがってあげましょう!!