山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

猫プラズマ細胞性肢端皮膚炎2

2021-11-06 15:59:47 | 診療よもやま

以前、猫プラズマ細胞性肢端皮膚炎のことを書きましたが、それを見て、これまたひどいケースの子が来院されました。

今まで診察した中でも、パッドの一部がここまでひどく飛び出してしまっている例は初めてです。

やはり10匹以上の多頭飼育の環境(レトロウイルスの関与が疑われる)であり、かなりメタボな猫ちゃんでした。

食が細い子もいれば太い子もおり、多頭飼育であるほど飼養管理が難しいんですよね。

ごはんの時だけ個別ケージにして一日摂取量をきちんと把握するのが理想ですが、多頭であるほどフードが常にてんこ盛り傾向となってしまうのでしょう(ナイト キャット & ビジー ドッグ)。

ここまで出っ張ってしまっていると外科的に切除した方がいいのか?とも思いましたが、取りあえず抗炎症作用のある抗菌薬で治療してみました。

しかし、一ヵ月以上投与してもほとんど変化がなかったので(10週ほどで8割は治るらしいのですが…)、この治療はやめて前回と同じ漢方薬ブレンド(抗菌薬もクラシックなものに変更しています)を使ってみました。

こういう症例では「ホントにそれで治ったのかよ…」とインチキ臭く感じることも多いでしょうから、徐々に治っていく過程の写真もしっかり載せます。

少し引っ込んできたけど、何か治療に対する反応が微妙…やはり外科切除?と思ったら、1日2回与えなければならない薬を1回しかやらなかったとのことでした。

薬袋にはちゃんと書いてあったのですが、前の薬が1日1回だったので、間違ってしまったようです。

習慣とは、恐ろしいですね!!

きちんと1日2回にしたら、3週間後(実は2週間分の薬しか出してなかったのです)、ほぼ平面になってきました!

でも、少し出血傾向…これはいい兆候なのか??

更にしっかり薬を投与してもらうと、2週間後、こんなに小さくなりました!

投薬コンプライアンスは、とても重要ですね。

みなさんも、しっかりと確認して投与量を守ってください!!

 

そのまた2週間後には赤い部分はなくなり、薄いカサブタのみとなりました!

 

飼い主さんは愛情ある方で、この子はとてもおとなしくていい子だったんですよね。

最初の頃は少々おびえている感じでしたが、治った後のこの写真では何か余裕を感じさせる表情となってくれました!!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする