山王アニマルクリニック

日々の診療、いろんな本や音楽などについて思い巡らしながら、潤いと温もりのバランスを取ってゆこうと思います。

はじめに

2024-12-30 07:26:31 | はじめに

12月31日(火)~1月3日(金)までは休診となります。1月4日(土)からは通常通りの診療となります。

不妊・去勢手術の予約ですが、1月の予約は、まだ空いていますので、お早めに!

不妊・去勢手術をご希望で当院を検索した方は、ネット上のガセ情報にだまされないためにも、こちらをお読み下さい???

当院の不妊・去勢手術は抜糸の必要がないため、術後にエリザベス・カラーや服もいらず、ストレスの少ない方法となっています。

電話番号043-483-2201(午前11:30~午後2時くらいまでは昼休憩と手術準備のため対応しにくくなっています 

 【診療時間】

午前9:00から12:00まで

午後は手術が多いため11:30で受付終了となります)

午後4:00から7:00まで

(同じく、受付終了は6:30となっています)

  【休 診 日】 木曜日  

日曜祝日は、基本的に午前中のみの診療となります(日祝は休診のこともあり)。

当院には3台分の駐車場があります。

 当院は、現代医療の過剰な側面に疑問を感じ、精神的にも経済的にも穏やかな診療を心掛けています。必要に応じて漢方薬を用いた診療を行っているので、病を深い視点でとらえることができ、選択の幅も拡がります(他院で処方された西洋医学的な治療との併用も可能です)。 

 また、捨てられてしまったネコちゃんやワンちゃんなどかわいそうな命を減らすべく日々奮闘されている様々なボランティアさんと協力しています(捨てられてしまったネコちゃんやワンちゃんの引き取りはしていません)。  

 ブログのタイトル(以前、山王アニマルクリニック 陰陽〈わんにゃん〉五行というタイトルでした)ですが、古代中国に由来する考えである陰陽とは……

陰とは、日陰(ひかげ)、抑制、滋潤(じじゅん)、女といったイメージ

陽とは、日向(ひなた)、活動、温煦(おんく)、男といったイメージ  

 ……という感じで、世界の中で互いに相対する傾向を持つものを、陰陽(YinYang(インヤン))の2つになんとなく分けてとらえる考えなのです。

 人間と共に歩んできた動物という枠組みで考えてみると……どちらかと言えば、猫は陰で「にゃん」、犬は陽で「わん」と動物病院なので少々?強引にこじつけ「にゃんわん」としてみました。    

 五行とは、木→火→土→金→水という流れで、木を燃やすと火を生じ、火が燃えると土となり、土が時を経ると鉱石(金)を含む山となり、金属を含む鉱脈からは水が湧きだし、水は木々を育む……といった感じでぐるぐると巡りゆくイメージです(相生(そうせい))。  

 その流れとは逆に、木は土の中に根を伸ばし、土は水を堰(せ)き止め、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属は斧(おの)となって木を切る……という互いを制約してゆく流れもあります(相剋(そうこく))。 

 このように、一見関係のなさそうなものとのつながりや相互関係を見出し、バランスを考えてゆく東洋医学(中医学)の根底となるとらえ方を陰陽五行と言います。  

 現代の科学理論が研ぎ澄ましてきた刃は――特に最先端(Cutting Edge)などとマスメディアにもてはやされるものほど――あらゆるものを極端なまでに切り離し続け、今や私たちの心さえも身体とのつながりを失いつつあります(だからこそ得られているものもたくさんあるのかもしれません)。           

 一方、その反発からくる直感によって「神秘的なもの大好き(理屈っぽいのは嫌い)」というような西洋医学を全否定する方向へ行ってしまう人もいます。が、それも多くは絶対的であるように盲信してしまいがちな「科学」という名を借りた極論の支配下にある幻影に過ぎないと思われます。    

 極論と極論がぶつかり合うことで世の中全体としてはバランスが取れるとも言えるので難しい所なのですが……当院では、そのような両極端に偏り過ぎないよう西洋医学と東洋医学のどちらの長所、短所にも向き合いながら――思考停止に陥らない動的な――バランスを取ってゆくことを目標としています。        

 どちらのアプローチがより正しいのか?と単一の方法論にこだわり過ぎる考えでは、失われたつながりを取り戻すことはできません。

 それを可能にするのは、飼い主さん、そしてワンちゃんやネコちゃんたちの声なき声に耳を傾けながら、病の長期的な過程や経済的なことをも視野に入れた結果を重視してゆくことなのではないでしょうか。

当ブログでは、いろいろな本やCDなどをアフィリエイトな形で記事に貼りつけてありますが、私の方に報酬が入るようにはなっていません。

 アマゾンには税金や運送会社との問題などあるようですが…私は日本人一般から見ればマイナーな音楽や本が好きな傾向なので、中古品や日本では発売のない輸入品が購入できたりするのは、とても喜ばしいのです。

 一方、本屋さんやCDショップを物色することが大好きでもあり、ネット販売だけになってしまうのも悲しいのです。

 そのようなわけで、どちらか一方だけになってしまわないことを望んでいます……私としては、どちらも一長一短であることをしっかりと見極め、ケース・バイ・ケースで使い分けていくことを強くオススメします!

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農薬中毒

2024-12-26 21:35:13 | 診療よもやま

緊急で来院したこの猫ちゃんなのですが……もだえ苦しみながら手足をばたつかせ、ひどい血便を垂れ流していました。

この子がいた近くには吐いた跡があり、この状態だったのですが、もう一匹いた猫ちゃんは既に亡くなっていたそうです。

眼を見ると、瞬膜が突出し、左右とも瞳孔が縮小しています。

このように左眼の方がひどく、縦線のようになっています。

このような典型的症状あれば、毒物を推測し拮抗する薬を投与できるのですが…なかなか難しいケースが多いですね。

 

飼い主さんによると、かなり前から近所でパンや肉団子に青い薬?がぬられものがばらまかれているようなのです。

近所には農家の方が多く、カラスやアライグマ、ハクビシンなどによる農作物の被害があるとのこと――その被害を食い止めることが目的なのか?

それによって時々カラスやタヌキが亡くなっていることがあるようなのですが、地域の猫ちゃんだけでなく、散歩中のワンちゃんも2匹犠牲になってしまっているようなのです。

(この地域は田んぼや畑だけでなく大きな森があり、なんとアライグマが10匹くらいはいるらしいのですが、なぜかアライグマが死んでいたという話は聞かないそうです)

そして、5年以上前にも同じ地域で青い薬をぬられたものがまかれており、それを食べたと思われる猫ちゃんが来院していたことを思い出しました(今回の子のような急性の症状ではない)。

飼い主さんは警察に相談し、青い薬がぬられたパンを提出したらしいのですが、上述のこともあってか、しっかり捜査してくれるかわからないようです(法律上こんなことが許されるのでしょうか?)。

近所には保育園もあるとのことで、飼い主さんはとても心配していました。

拮抗薬を注意深く投与したら次第に症状は落ち着いたものの、夜中に嘔吐しました。

嘔吐したものは投与した活性炭ために黒く、ついでに農薬の成分で死んだ回虫が4匹も出てきました(使われた農薬は、既に製造されていない害虫駆除のための薬と思われました)。

翌日には、横になってもだえ苦しんでいた状態から猫座りができるようになり、瞳孔の大きさも正常になりました。しかし、血液検査をしてみると、肝臓と腎臓の数値が高くなっていました。

かなり腸粘膜が傷つけられたらしく、血便がなかなか治まらなかったのですが、3日目には食欲も出てきて来ました。元気が出てくると、ゴロゴロと喉を鳴らしながら前肢をモミモミする、とても人懐っこくてかわいい子でした!

この子は元気に退院できましたが、食べてしまった量が多かったり、発見が遅れたりすると救命が難しくなってしまいます。

佐倉市馬渡(四街道市みそらも近いので要注意!)周辺に住む方は、ワンちゃんの散歩中も気をつけて下さい!そして青いパンや肉団子を見つけたら排除し、警察に提出&相談しましょう!!

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犬のノミアレルギー/ノミ・ダニ対策

2024-12-25 07:39:31 | 診療よもやま

暖冬とか言われて春気分でいたのに最近なぜか寒かったですね。

早く春らしくなってほしいと思うのですが、暖かくなってくると増えてくるのがノミとダニです。

犬に寄生するマダニなどは草むらに潜んでいて、体温、二酸化炭素、振動を感知して肢から這い上がり、口で排除されにくい首回りから上に吸いつくことが多いです。

草むらに行かなければつかないのでしょうが、散歩で草むらをクンクンするのが好きなワンちゃんが多いので難しいですね。

犬の場合、肉眼で明らかに確認できる大きさのダニがついて来院されるケースが多いのですが、上の写真はノミによるアレルギーの写真です。

犬の場合なぜか下半身を中心としたこのような脱毛となり、毛が薄くなっているためノミ――2~3mmの大きさで素早く動く――が見えたりします(猫はもっと複雑な脱毛パターン)。

これは他のワンちゃんのケースですが、同じような下半身脱毛ですね。

上の写真は慢性化したケースで、下の写真は早めに来院されたケースです(上は外で飼育、下は室内で飼育)。

こういうケースは都会ほど少なく地方ほど多い傾向なのでしょうが、地方でもそんなに多くないでしょうね。

なぜなら、その辺の草むらにたくさん潜むマダニなどと違い、ノミは猫を介して犬にも伝播していくことが多い…つまり外に出る猫を一緒に飼ったりしていなければあまりつくことはないのです。

CMなどの影響か?後肢で背中を搔いているとノミがいると勘違いして来院…というケースが多いですが、他の原因の方が多く、時々搔いていても皮膚病変がないのなら治療の必要はありません。

 

さて、ノミはどのようにある動物からある動物へ移っていくのか?

ピョ~ンと飛び移るイメージが強いですが、多くはそれよりもっとしたたかな形で増えていくのです。

例えばノミが100匹ついている犬や猫が来院して、病院で100匹パーフェクトに取れたとします(小さな子猫以外、実際には難しい)。

身体についているノミはいない…それでもお家に帰ってしばらくすると、なぜかまたノミがいるではありませんか!他の個体と全く接触していないのになぜ?

 

ノミ♀は一日最高50個(平均30個)も卵をみます                                         

        ↓

卵は犬や猫がいつもいる場所へ大量に落下

        ↓

卵から幼虫が孵化――ノミ成虫が吸血してできた糞や環境中の有機物を食べて成長

        ↓

サナギとなってその場所で潜伏

(条件によってはサナギのまま半年以上も生存可能、燻煙式の殺虫剤にも強い)

        ↓

犬や猫がその場所に来た時、体温、二酸化炭素、振動を感知するとサナギから羽化して体に寄生

 

…というライフサイクルで、一度ノミが寄生すると、いつも犬や猫がくつろいでいる場所には、肉眼では一見確認しにくい幼虫、サナギがたくさん潜んでいるのです。

特に直射日光や雨が当たらず、ノミの最盛期である夏場涼めるような場所にノミのパラダイスがあったりします。

ガレージや納屋、家の軒下にもぐり込めるような形であると、定期的にノラちゃんが涼みに来てノミ卵を落としている可能性が高いのです。

ノラ猫との直接の接触はなくても、サナギが潜んでいるそのような場所にワンちゃんが涼むために入って寝転がるとノミが寄生してしまうのです。

 

以上のことから、猫はいろんな所にもぐり込むのが得意なので、外に出している限りノミの根絶が難しく、犬の場合、時々でもガレージなどに寝転がるような環境か外猫と同じ部屋にいない限りノミが寄生することは少ないのです。

対策としては、室内であれば、いつも犬や猫がいて直射日光が当たらない場所を中心に掃除して下に潜んでいるノミの卵、幼虫、サナギを物理的に取り除くことです。

丁寧に掃除機をかけ、洗える敷物は洗って天日干しし、カーペットなどは何度もコロコロをかけるかスチームアイロンをかける(35℃以上でサナギ死亡)と良いでしょう。

(ここだけの話ですが、外に全く出ない子であれば、上述のポイントを踏まえた掃除をしっかり繰り返すだけでノミはいなくなります)

時にトリミングの後からノミがついてしまったというケースがあったりもするので、トリマーさんはトリミング・ルームの下などを卵、幼虫、サナギをしっかり取る意識を持って掃除して下さい。

掃除が不完全でサナギが残っていればノミがついてしまうので、カットが終わった後などトリミング・ルームの下に犬を放さない方がいいと思います。

 

最後にノミダニの予防薬なのですが、なかなか難しい時代で、新しい予防薬ほどある意味キレは良いが高価で時に予期せぬ副作用があるという傾向なのです。

つい最近も当院では推奨していない予防薬を与えると、活発な大型犬なのに元気がなくなるし、食べるのも嫌がるという方が来院されました。

リスクを説明しても「CMでやってる予防薬を…」と言うので取り寄せたのに、明らかに元気がなくなって当院推奨の予防薬に戻したケースもあります。予防薬を飲ませてから神経症状が出て障害が残ってしまったり、ごくまれなのかもしれませんが、亡くなってしまった例さえあります。

医療現場では「様々な論文により有効性や安全性は証明されている」と言われる薬を良かれと思って処方したのに、体を害する、まれではあるが亡くなってしまうケースもあります――それはそもそも老化や重い病によって絶えつつある命だったのか、科学の暴走を防ぐための受け入れがたき不合理なのか?

ある一面では明確な即効性を発揮するが、まれに重い副作用が起こる…また延命はできるけれど驚くほど高価な薬(長いが必読→ゾルゲンスマという薬は一回の投与で日本では1億6700万円!さらに薬価4億円超 世界一高額の新薬、米FDAが承認)…そんな傾向は、医学の進歩と共に強くなってしまうのでしょうか。

医療だけでなく、原発・エコカーなどエネルギー問題、人種や民族紛争などの政治問題もネットのせいで正邪ごちゃまぜとなり、世界的に舵取りが難しい時代だと思います。

メリットがデメリットを上回るのなら正当化される(個体差あり)のでしょうが、ノミダニ予防薬を与えると元気がなくなったりするなどは当院にご相談下さい。

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