さて寒くなってきましたね。
「ネ~コはコタツ~でまるく~なる~」と歌われたように猫ちゃんは寒いのが苦手です。
そのため最近、くしゃみ、鼻水、咳など風邪的な症状で来院する猫ちゃんが増えています。
食欲が低下していない初期の段階なら、漢方だけでもけっこう効くのですが、治療を中途半端でやめてしまったり、明らかな症状があるのに何日も放置したりすると、そう簡単には治せなくなってきます。
飼い主さんが多忙だったり、多頭飼育のため目が届いていなかったり、元気キャラだったから気づきにくかったり…とタイミングの悪いことが重なってしまうことがあるんですよね。
でも、治療する側としては――言ってもしょうがないことであっても――「もっと早くつれてきてくれれば…」と思わずにはいられないケースが……。
急性期の段階でしっかりと治療しないと、なんとか乗り越えたとしても、慢性の鼻炎や涙目が残ってしまったりすることが猫には多いのです(レトロウィルスの潜伏感染によって難しくなっているケースも…)。
そして、時に(稀)以下のような重症化も……
これは、多頭飼育だったため発見が遅れ、肺炎になってしまったケースです。
肺はスポンジのように空気を含んでいるので、レントゲン写真ではもっと黒く写るのですが、綿がついたようにモヤモヤして心臓もぼやけてしまっています。
これは膿胸といって胸腔(胸の中のスペース)に膿がたまっている状態です。
心臓のシルエットが全く見えなくなっています。
こうなると、大量の膿が肺のふくらみを邪魔するので、明らかに苦しそうな呼吸となります。
この子は、元気キャラだったため、来院が遅れてしまいました。
背中側から撮った膿胸の写真です。
向かって右側に膿がたまっているので、左側に比べて肺が窮屈そうに押しやられています。
胸腔にチューブを入れ、抜き取ってみると、こんなに大量の膿が!!
これは胸腔チューブを通し毎日洗浄して1週間後の写真です。
だいぶ心臓が見えるようになってきましたが、まだ下の方を中心にモヤモヤと白くぼやけています。
胸腔洗浄して回収された液体も、膿っぽさは減り、だいぶクリアになってきました。
これは、肺炎の子の2週間後の写真です。
まだ肺自体は白っぽいのですが、最初の写真に比べるとモヤモヤが減り、心臓のシルエットもはっきりしてきました。
この子が膿胸になってしまった猫ちゃんです――現在は元気いっぱいです。
膿胸になってしまうと、胸腔洗浄を1日2回しなければならず、少なくとも1週間は入院する必要があります(けっこう手間もかかるので、治療費も高額に!)。
寒暖の差が激しい季節の変わり目や、冷え込みの厳しい日が続く時は、くしゃみ、鼻水、咳などの症状が多くなります。
重症化や慢性化を防ぐために、なるべく早期の段階でしっかりと治しましょう!!