博多交通センターからバスに乗り、行先は九州医療センター。
今日の最大の目的は、闘病中の友人に会うことだった。
日が傾きかけた午後、バスは博多から都市高速に乗り、ヤフオクドームを眺めて病院前へ向かう。
綺麗に晴れた冬の空がまぶしい。
病院に着いたときは、日没が近づいていた。
建物に入り、ナースステーションで部屋番号を訪ねる。
・・・どきどきしてくる。
「Kさん・・・」
「ああ・・」
マスクをしていたので、一瞬「ん?」と言った表情をされたが、名乗るとすぐに思い出された。
Kさんを見ると、胸がいっぱいになり、泣きそうになった。
涙をこらえていたが、涙を含めていろんなものが吹っ飛んで、お会いできてよかった・・この感情でいっぱいになった。
Kさんは、facebookの友人で、以前、共通の友人であるUさんが東京から来られた時に、初めてお会いした。
以降、fccebookを通じて、たくさん会話を重ね、非常にお世話になった。
「今日、ここに来る前に、鉄道神社に寄ってお参りしてきたんですよ。よかった・・・」
「ありがとうございます」
鉄道が好きなKさんが、もしかしたら気に入ってくださるかな?と思って、お守りに選んだのが、先に購入したSLのピンバッチだった。
「これで
ばっちりだね。」
ピンバッチを胸元にあてて、微笑むKさん。
・・・バッチでばっちりですよ!!
10月下旬、闘病生活に入ってからしばらくここの病院に入院されて、厳しい治療を受けられていた。
県外からも共通の友人が、Kさんのもとを訪れて、その様子を媒介していた。
地元在住の私は、近くてもなかなかに機会がなく、ようやく今日お会いすることができたのだ。
Kさんの治療は、それはつらいものだった。
一見は元気そうに見えるが、実は重篤患者であり、体内のことなので数値をもとに見えない敵と闘っておられた。
長かった髪をばっさりと切られ、ニット帽をかぶられていた。
ニット帽姿も、写真で拝見はしていたが、本当に似合っていた。
先にお見舞いに行かれた方の書き込みを読んでいたから、しばらくぶりにお会いするのに、そんな感じがしなかった。
Kさんの雑記帳には、今までお見舞いに来られた友人の、直筆の言葉が記されてあった。
・・・それを見て、また泣きそうになった。
あの人も、この人も・・・。
みんな、facebookで見たお名前がたくさんあり、この方たちもKさんい会いに、ここ福岡まで来られたんだ・・・。
そして彼らも、当然のことだけど、わかっていることだけど・・・ネットの世界だけではなくリアルに生きている人なんだ・・・と。
Kさんが年末に書かれた闘病記を、写真に収めた。
「私が、文章に書き起こして、みなさんにお知らせしますーーーーー」
1時間ほど、お邪魔した。
傾きかけていた日は、すでに日没を迎えていた。
「Kさん、また・・・」
「はい。ありがとうございました」
Kさんと握手を交わした。
小柄なKさんの手は、少し冷たかったが、その手はしっかり力が込められていた。
すっかり暗くなってしまった。
ホテルと福岡タワーが美しい。
私は、福岡の街が大好きだ。
ヤフオクドームが見える。
ここから羽ばたいて日本一になった若鷹のように、きっとKさんも元気になってまた戻ってくる。
そう信じてる。
記1月23日